風に吹かれて

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Category: 読書

Tags: 時代小説  

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のぼうの城

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四国に帰省した際に持っていった小説「三屋清左衛門残日録」を往きの列車のなかで読んでしまったので、帰りは何を読もうかと本屋で物色して選んだのがこの小説であった。
2009年の本屋大賞の第2位に選ばれたベストセラーということで、以前から読んでみたいと思っていた小説である。
しかし話題の本ということもあって図書館では予約待ちでいっぱいで、いつ借りることができるか分からないといった状態であった。
そこでこの機会に読んでみることにしようと、これを選んだ。

時は戦国時代、信長の死後、その後継者としての立場を確立した秀吉は天下取りへと乗り出していく。
そしてその最終段階ともいえる関東攻めへと駒を勧め、関東の覇者北条氏と相対する。
所謂小田原攻めといわれるもので、その戦のひとつである忍(おし)城(現在の埼玉県行田市)での攻防戦を描いたのがこの小説である。

秀吉の命を受けた石田三成は2万の大軍を擁して忍城を目指す。
それを迎え撃つ忍城の兵はわずか500人、勝敗は明白、戦わずして城を明け渡すと思われたが、大方の予想に反して徹底抗戦を宣言する。
そして無謀とも思えたこの戦いが、意外な展開を見せて石田三成の軍を手こずらせることになる。
その戦の指揮を執るのが「のぼう様(でくのぼうの意)」と呼ばれ、兵、領民から慕われた忍城の城代、成田長親であった。

史実を紐解き、おもしろい人物像を造型した着想は興味深いが、人物の掘り下げ方が浅く、描写も表面的でいささか物足りない。
とくに主人公である成田長親の「のぼう」ぶりがあまりにもとらえどころがないために、兵、領民が彼のために命を投げ出そうとする展開が不自然で、説得力を感じないのである。
この人物像がもっと魅力的に書き込まれていれば、印象はもっと違ったものになったかもしれない。

この小説は作者の和田竜のデビュー作ということだが、もともとこれは作者自身が「忍ぶの城」という題名で書いたシナリオをノベライスしたものだそうだ。
(このシナリオは城戸賞の新人賞を受賞している。)
そのせいか、ただ筋書きを追うだけで精一杯といった印象なのである。
着想が奇抜なだけにそれなりに面白く読んだが、物語の醍醐味を味わうといったところまではいかない。
ただあまり歴史小説に馴染みのない者が読めば、そこそこ楽しめるかもしれないが。

今回は話題性にひかれてこの本を読んだが、残念ながら期待外れに終わってしまった。

野村萬斎主演で映画化もされたそうだが、「水攻め」のシーンがあることから大震災のことを考慮して上映は延期になったそうである。
果たしてこの小説がどのように映像化されているか、ちょっと興味深いものがある。


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テーマ : 歴史小説  ジャンル : 小説・文学

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