風に吹かれて

My Life & My Favorite things

Category: 日本映画

Comment (0)  Trackback (0)

原田芳雄を偲んで

俳優の原田芳雄が亡くなった。
享年71歳、つい先日(11日)最後の主演映画となった「大鹿村騒動記」の完成試写会に、入院中の病院から医師の反対を押し切って、車いすで登壇したばかりだったが、それからわずか1週間で帰らぬ人となってしまった。
この日の登壇はおそらく死期を悟った彼なりの、最後の別れだったのだろう。
別人のようにやせ細った姿を目にした時は、正直絶句してしまった。
しかし、そんな痛々しい姿になりながらも敢えて舞台に登壇しようと決意した心情を思うと、胸に迫るものがあった。
同時に壮絶な役者魂を、見たようにも思った。

原田芳雄の存在を初めて知ったのは、1969年(昭和44年)の俳優座第91回公演、清水邦夫作「狂人なおもて往生をとぐ」を観た時であった。
この舞台に主演俳優として若き日の原田芳雄が出演していたのである。
後にトレードマークとなったサングラスをかけた姿であった。
その俳優座らしからぬ外見と、遠くからでも分かる二枚目ぶりから、きっと近い将来人気俳優になるにちがいないと予感した。
同年、その予感を裏付けるように、日活(当時はダイニチ映配)映画「反逆のメロディー」で映画初主演、さらに1971年には俳優座の体制を批判、市原悦子、中村敦夫らとともに俳優座を退団(当時よく使われた言葉でいえば、造反)、以後舞台から映画、テレビへと活躍の場を移して、次第にその世界には無くてはならない個性的な俳優としての地位を築いていくことになる。

この頃の映画でいちばん印象に残っているのは、「野良猫ロック 暴走集団’71」。
監督は藤田敏八、かなりアナーキーな映画で、原田芳雄はドテラにゲタ履きという奇抜な格好でフーテンを演じており、最後はダイナマイトを身体に巻きつけて敵もろとも爆死する。
そのアナーキーぶりは、ほんとうに板についていた。
おそらくこうした反権力的な特質は、生来的に身についていたものだと思うが、以後その持ち味を生かしたアウトローとして独特のキャラクターを演じていくことになる。
さらにこの作品から数年を経た後の映画「竜馬暗殺」(74年)や「祭りの準備」(75年)も忘れがたい映画だった。
とくに「祭りの準備」で演じたやくざな遊び人の、複雑に屈折した優しさと純情は、今でも強烈に心に焼きついている。

祭りの準備

この2本の映画を監督したのは、黒木和雄だが、原田芳雄を語るときには切っても切れない存在の監督である。
この他にも「浪人街」「スリ」「父と暮らせば」といった黒木作品に出演しており、いずれも原田芳雄の代表作になっている。
(同じく「原子力戦争」「TOMORROW 明日」「美しい夏キリシマ」といった黒木作品にも出演)
また若松孝二監督とも関わりが深い。
「われに撃つ用意あり」(90年)や「寝盗られ宗介」(92年)での主演、そして「実録・連合赤軍 あさま山荘への道程(みち)」 (2007年)ではナレーションも務めている。
とにかく原田芳雄という俳優は、主役にこだわることなく、作品や監督に惚れ込めば、どんな小さな役(たとえ台詞がなかろうとも)でもやるといったスタンスの俳優であった。
そうした男気、人間性が、多くの友人たち、さらには後輩たちから慕われたところであり、原田芳雄という俳優の大いなる魅力でもあった。
これらの作品以外の代表作といえば「ツィゴイネルワイゼン」がある。
こちらは鈴木清順の代表作、車椅子姿で先日の原田芳雄の葬儀に参列していた姿が目を引いた。
最近のものでは、映画「たみおのしあわせ」とTVドラマ「火の魚」が印象深い。
「たみおのしあわせ」は作品の出来についてはいささか評価の分かれるところだが、原田芳雄が演じた「たみお」の父親役は、とぼけた味があってなかなかよかった。
そしてTVドラマの「火の魚」、こちらは以前このブログにも書いたが、頑迷で孤独な老作家を絶妙に演じていた。
人嫌いで世捨て人のように生きる老作家が、新しく担当になった若い女性編集者との交流を通して、次第に心を開いていく様子を、時にシリアスに時にコミカルに演じて、心に残った。
かつてはギラギラとしたアウトローを演じて男の哀愁を漂わせていた原田芳雄だったが、近年はこうした老境を迎えた渋い役で、さらに存在感を見せていただけに、突然の死によってそれが中断されたことは如何にも残念である。
惜しい役者をなくしたものである。つくづくとそう思う。
最後になるが、ネットで見つけた動画を見ながら、彼の生前を偲びたい。


あまり知られていないが、彼は俳優のほかに、ブルースシンガーでもあった。彼を慕った松田優作がブルースシンガーになったのも、原田芳雄の影響が大きい。


「野良猫ロック 暴走集団’71」のなかのワンシーン、映画の本筋とはまったく関係なく、突然「モップス」が現れて演奏するというもの。
そんないい加減さ、好き勝手にやるところが、この映画の大きな魅力であった。


TVドラマ「火の魚」


ブログランキング・にほんブログ村へ 
  ↑ クリック、お願いします。 ↑
スポンサーサイト
テーマ : 俳優・男優  ジャンル : 映画

Newer Entry孫の写真 Older Entry革秀寺のハスの花
Comments






カレンダー
09 | 2017/10 | 11
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31 - - - -
プロフィール

cooldaddy

Author:cooldaddy
住んでいるところ:青森県弘前市
出身地:香川県
年齢:今年(2008年)還暦です。
性別:男

還暦という節目を迎え、何か新しいことを始めようとブログを開設しました。
趣味のこと、生活のこと、心に残ったことなど、My Favorite thingsを、気ままに書いていこうと思います。
末永くおつき合いください。

映画サイト「マイ・シネマ館」もやっています。
こちらもよろしく。

ランキングサイトに参加しています。
もしよければクリック、お願いします。↓
ブログランキング・にほんブログ村へ 

cooldaddyの本棚
FC2ブログランキング
ブログ内検索
QRコード
QRコード

1234567891011121314151617181920212223242526272829303110 2017