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佐々木譲「警官の血」

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佐々木譲の小説「警官の血」上・下巻を読み終わった。
昭和23年(1948年)から平成19年(2007年)までの60年間にわたる親子3代の物語である。
この小説は2007年日本冒険小説協会大賞を受賞、第138回直木賞の候補にもなった。
また2008年の「このミステリーがすごい!」では第1位になっている。
そうした事実が示すように、これは上質のエンターテインメントであり、上下巻で800ページほどになる長編小説だったが、その面白さに一気に読み終えた。

戦後の混乱期に警察官になり、ある事件に関ったために謎の死を遂げた祖父、その死の真相を探ろうと警察官になった父親はスパイとなって赤軍派に潜入、過酷な捜査によって精神を冒されてしまう。
しかしそれを克服して警察官として復帰するが、結局最後は後遺症が引き金となって、事件の中で犯人に撃たれ殉職してしまう。
また息子も父親の意思を継ぎ、祖父の汚名を晴らそうと警官になる。
そして警察内部の犯罪捜査を命じられることになる。
そうした3代にわたる警察官としての物語が、それぞれの時代背景を映し出しながら語られていく。

昭和23年といえば、私の生まれた年である。
まだ戦後の混乱が続くその年から始まるという物語は、まさに自分がこれまで歩んできた人生の時間軸と重なるものであった。
物語の舞台が上野、下谷といった環境の違いはあるものの、自分の歩いてきた時代が、どういったものであったか、そうしたことの一端が、この小説を読むことでおぼろげに浮かび上がってきたのである。
そうしたことも手伝って、面白さはさらに興味深いものになっていった。

作者の佐々木譲は昭和25年(1950年)生まれの61歳、同世代である。
北海道、札幌市出身、高校卒業後、地元の広告代理店に勤務、その後、京都や東京などでフリーターをしていたが、1979年「鉄騎兵、跳んだ」でオール讀物新人賞を受賞し、作家デビューを果たしている。
ミステリー、サスペンス、冒険小説、歴史時代物、現代小説とあらゆるジャンルの小説を書く作家である。
なかでも警察小説の分野では代表的な小説家ということである。
この「警官の血」以外にも「笑う警官」などの「道警」シリーズ、「制服捜査」などの「駐在警官・川久保篤」シリーズを持っている。
彼の小説を読むのはこれが初めてだが、警察内部のことがかなり詳しく書かれているのも、これで納得、彼の得意分野であったというわけである。

時代の闇、人間の闇に深く踏み込み、そこで悪戦苦闘しながらも正義を貫こうとする主人公たちの姿を描くのが佐々木譲の基本姿勢のようである。
その弱さと強さをあわせ持つ人間くさい姿に、深い共感を覚えた。
こころに残る小説であった。

佐々木譲の公式HP「佐々木譲資料館」はこちら


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テーマ : 読書記録  ジャンル : 小説・文学

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