風に吹かれて

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「男の隠れ家 日本の映画監督」

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雑誌「男の隠れ家」が「日本の映画監督」という特集をやっている。
雑誌を買うことはほとんどなくなってしまったが、こういう特集号に出会うとつい手が出てしまう。
しばらく立ち読みしていたが、ゆっくり読みたくなって買ってしまった。

内容を紹介すると、

第一章
戦前黄金期を創った草創期の名監督たち
牧野省三/衣笠貞之助/内田吐夢/伊藤大輔/ 清水宏/マキノ雅広/山中貞雄

第二章
日本映画三人の巨匠
溝口健二/成瀬巳喜男/黒澤 明

第三章
戦後昭和を彩った七人の名監督
木下恵介/市川 崑/増村保造/中平 康/今村昌平/大島 渚/寺山修司

第四章
日本アニメの巨匠たち
手塚治虫/高畑 勲//宮崎 駿/富野由悠季/ 大友克洋/押井 守/庵野秀明/今 敏/細田 守

第五章
現代の、そしてこれからの名監督
北野 武/黒沢 清/周防正行/中島哲也/西川美和

そして

周防正行監督が語る「小津安二郎」
世界に影響を与えた日本映画の名監督たち
特撮の巨匠「円谷英二」物語

ようこそ映画館へ

懐かしの昭和の映画館

大人の空間 名画座

というもの。
映画の草創期から現在までを、主要な監督を繋げながら紹介しており、おもしろく読んだが、川島雄三、加藤泰、そして鈴木清順といった個性的な監督たちが入っていないことが、いささか不満ではあった。
画竜点睛を欠いているようにも思えたが、それでもやはりこうした特集は楽しめる。
なかでも監督インタビュー「周防正行監督が語る小津安二郎」はとくにおもしろかった。
周防正行監督が小津安二郎監督を敬愛していることは、つとに有名な話。
インタビューのなかでも、「もし今、小津さんが僕の作った映画を観たら、なんて仰るんだろうと考えるだけでも恐ろしい。小津さんに批判なんてされたら、生きていけない(笑)」と語るほどの傾倒ぶり。
また彼のデビュー作「変態家族 兄貴の嫁さん」が、「晩春」の原節子演じる紀子が変態の家族に嫁いでしまったら、という設定で撮った映画なのだから、何とも大胆かつユニーク。
しかもこの映画のスタイルは全編小津映画のコピーというから、その徹底ぶりは見事というしかない。
この映画を撮った後、小津のお墓参りをして、謝った、というからそちらも微笑ましい。
機会があれば(おそらくかなり難しいことだとは思うが)いちど観てみたいものである。

さてこのインタビューから、印象に残った部分をいくつか拾って紹介してみることにした。
つぎのようなもの。

<小津作品をずっと観ているうちに、ああ、小津ってそういうことなのかと思ったのは、人はひとりで生まれて、ひとりで死んでゆく。だけどひとりでは生きていけない。だからこそ、誰かと一緒にいて、わかりあいたいと思う。だけどわかりあえない。孤独を噛みしめる。孤独であるがゆえに人を求めざるをえない。家族ってその最小の単位ですよね。小津ってそういうことを描き続けた映画監督なのかなと思うんです。>

<その眼差しがクールなんだけど、だからこそ温かい。人の孤独をきちんと見据えているからこそ優しくなれる。「孤独」に絶望するんじゃなくて、「孤独」を知るからこそ、他人を思いやれる。僕は小津さんの映画に、そういうことを感じてきたような気がします。>

<見たことがない作品でも、ワンカットを見ただけで、これ小津さんでしょってわかる。そんな映画監督が他にいるのかって。どれもある程度、生活に余裕のある人たちの話で。もちろん、ちょっと違った作品もあるんだけれど、考えてみれば、繰り返しの人ですよね。台詞もカットバックも繰り返し。全部を繰り返している。でも、まさに生きるというのは、そういうことだと思うんです。日常は繰り返しで出来ていますから。ただ、繰り返しっていうけれど、二度と同じことは起きていないわけですからね。小津映画だって似たような話だけれど、同じではない。本当に世界でも稀ですよね。超個性的な監督だと思います。>

<ルールとか様式といったものが僕は好きなのかもしれない。ルールってその世界に属する人たちが、自分たちのために築き上げたものですよね。まさに法律なんかもそうですけれど。規則ってそこに住む人のありようがすべて出る。そこに住む人たちの気持ちなしには成り立たないものじゃないですか。試行錯誤して、時間を経て、洗練されていった型。そこには人間の歴史が詰まっている。小津さんの映画も、小津さんの法則性、小津さんのルールに支配されている。映画であそこまで一見わかりやすいルールがあって、それがこんなに露骨に作品に出ている監督もめずらしい。.......小津さんの映画というのはきわめて基本的なこと、人間のルールを描いている。だから古びないし、面白いんじゃないでしょうか。>

小津映画が好きで好きで仕方がないという気持ちが、話の中からひしひしと伝わってくる。
そして実作者ならではの視点から語られるこうした話には、強い説得力があり、思わず「そうだ、そうだ」と頷いてしまった。
インタビューを読んでいるうちに、またもういちど小津映画を観てみたいと、無性に思ったのであった。


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