風に吹かれて

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Category: 外国映画

Tags: 戦争映画  

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映画「マイ・ブラザー」

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戦争で受けた傷、戦争後遺症を描いた映画である。
優等生で家族思い、部下たちからの信頼も篤く優秀な兵士、元海兵隊員の父にとっても自慢の息子、そんな優れた人物が戦争という狂気の中で圧殺されていく理不尽さと怖さ。
その姿はまさに現代アメリカの悲劇である。
それを映画は冷徹に見つめていく。

かつてアメリカが描く戦争映画は、愛国心にあふれたヒーローが活躍する戦争映画だった。
しかしベトナム戦争以後はそうしたヒーローはいなくなり、戦争に苦悩する兵士たちの物語へと移行してゆく。
ハル・アシュビーの「帰郷」、マイケル・チミノの「ディア・ハンター」、フランシス・フォード・コッポラの「地獄の黙示録」、スタンリー・キューブリックの「フルメタル・ジャケット」、そしてオリバー・ストーンの「プラトーン」と「7月4日に生まれて」、いずれの作品も混迷するアメリカの現実に真正面から向き合った映画であった。
そしてそうした姿勢は今も変わらず続いており、混迷の度合いはますます深く、さらに複雑なものとなっている。
「マイ・ブラザー」もそうした流れの中に位置する映画である。
観るのが辛く、痛々しくなる映画である。

それにしてもトビー・マグワイアとジェイク・ギレンホールは顔がよく似ている。
トビー・マグワイアが体重を落として劇痩せしているので、それほどでもないが、まだ彼らが少年だった頃、「遠い空の向こうに」で初めてジェイク・ギレンホールを見たときは、てっきりトビー・マグワイアだと思い込んでしまったほど。
そんなふたりが兄弟を演じているから、ほんとうの兄弟に見えてしまう。

トビー・マグワイアは映画に出るたびに、その肉体を変貌させる俳優である。
「スパイダーマン」ではハードなトレーニングによって筋肉質な体に作り変え、「シービスケット」では体重を落とし、また今回もその時以上に体重を落として役に挑んでいる。
このように目まぐるしく肉体改造を行うのは、彼のほかにはクリスチャン・ベールがいる。
ふたりが双璧だろう。
そうした肉体改造には、賛否両論があるかもしれないが、いずれにしてもうした姿勢で役に臨む彼らの熱意が画面から確実に伝わってくる。

監督のジム・シェリダンは、アイルランドを舞台に映画を撮ることで知られた監督だ。
「マイ・レフトフット」「父の祈りを」「ボクサー」といった代表作はいずれもアイルランドを舞台にしており、しかも主演はいずれもダニエル・デイ=ルイス、このふたりのコンビはアイルランド最強のコンビといえよう。
そんなジム・シェリダンが舞台をアイルランドからアメリカに、そしてアフガニスタンに移して戦争の狂気を真正面から描いている。
戦争はひとり兵士だけの問題ではなく、いやおうなく家族やその隣人たちをも巻き込んでいってしまう。
そんなひとりひとりの苦悩が、ジム・シェリダンらしい肌理の細かさで描かれていくにしたがって、悲劇の輪がじわじわと広がっていく。
そして混乱の後、先の見えない重いテーマを提示して映画は終わるが、果たしてその先にあるのは希望か絶望か。
闇の暗さは計り知れないほど深い。





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テーマ : DVDで見た映画  ジャンル : 映画

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Comments


こんにちは。とても興味深い映画ですね。紹介して頂きありがとうございます。いつもレンタルショップに立ち寄ると、ロマンティックコメディーなどの軽いジャンルばかり選んでしまい、ついつい重いテーマのものは避けてしまうので、今度挑戦してみたいと思います。

映画とは関係のないことで申し訳ないのですが、先日留学先でホエールウォッチングに行った際、船上からカメラを海に落としてしまいました。バックアップを一切取っていなかったので、留学中のほとんどの思い出を一瞬にして失ってしまいました。思った以上にショックは大きいのですが、たかがカメラくらい、となかなか友達には話せないでいます。私もcooldaddyさんのように、写真をたくさんのせたブログを始めてみようかと思っていた矢先だったのでとてもショックは大きいです。こんなことを書いてしまい申し訳ございません。
落ち込まないで!
yukiさん、こんばんは。
カメラを海に落としてしまったとのこと。
読んでいて、こちらもショックを受けました。
なんと慰めればいいか、言葉が思い浮かびません。
時間が逆戻りすればいいのにと、詮無いことを考えてしまいました。
しばらくはこの痛手を引きずってしまうことでしょうが、あまり落ち込まず、できるだけ前向きになるように頑張ってください。
これからもきっといい写真が撮れますよ。

ありがとうございます。形あるものはいつかは自分の元からなくなってしまうものなんだと考えるようにして、前向きに頑張っていきます。励ましのお言葉、本当にありがとうございました。とても気持ちが楽になりました。

このブログに載せられている写真の美しさに、毎回感動しております。ほとんど雪がない地域で育ったせいもありますが、日常風景がこんなにも美しいものなんだ、と改めて気づくことができました。これからも、楽しみに読ませて頂きます。
Re: タイトルなし
心配していましたが、少しはお役に立てたようで、よかったです。
誰にも失敗や後悔はつきものです。
でもそのことにあまりとらわれ過ぎないことだと思います。
難しい事かもしれませんが、忘れることがいちばんですね。
好きな映画のなかに、こんなセリフがありました。
「忘れるこった。忘れて日が暮れりゃあ、明日になる。ああ、明日も天気か。」

ありがとうございます。本当にありがとうございます。過去のことにとらわれず、前を向いて頑張っていきます。






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Author:cooldaddy
住んでいるところ:青森県弘前市
出身地:香川県
年齢:今年(2008年)還暦です。
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還暦という節目を迎え、何か新しいことを始めようとブログを開設しました。
趣味のこと、生活のこと、心に残ったことなど、My Favorite thingsを、気ままに書いていこうと思います。
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