風に吹かれて

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Category: 日本映画

Tags: 戦争映画  

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映画「真空地帯」

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旧軍隊内部に巣食う新兵いじめ、虐待を描くことで、戦争という巨大な暴力を告発しようとした作品。
原作は自身も軍隊刑務所入りの経験のある野間宏、監督は軍隊で過酷な暴力の洗礼を受けたことのある山本薩夫である。
山本監督が東宝争議によって解雇された後、独立プロで撮った第2作目の作品であり、初期の代表作でもある。

とにかく全編、軍隊内部の非人間的な日常の描写に終始する。
原作の小説で野間宏が書いているように、「兵営ハ條文ト柵トニトリマカレタ 一丁四方ノ空間ニシテ 人間ハコノナカニアッテ 人間ノ要素ヲ取リ去ラレ 兵隊ニナル」のである。
その一部始終があますことなく描かれていく。
初年兵教育の名のもとに行われる陰湿で歪んだ制裁、上官にはけっして逆らうことの出来ない軍隊の規律を楯に、一方的ないじめが日常的に繰り返されていく。
しかも初年兵ひとりのささいなミスは、初年兵全員の責となり、鉄拳制裁が全員に加えられる。
こうして軍隊未経験の青年たちが次第に人間性を剥奪され、圧殺されていく。
その様がこれでもかというぐあいに描かれていく。
そうした不条理な状況に、しだいに激しい憤りをおぼえてしまう。
しかし、これが軍隊というものの実態なのであろう。
けっして誇張されたものでないことは、同じような軍隊経験をもつ山本薩夫監督がこの映画を撮ったということでも分かる。
この映画が作られたのが、1952年、昭和27年のこと。
まだ戦争の記憶も生々しい時期に撮られただけに、ドキュメンタリーを見ているようなリアルさがある。
撮影されたのは、山本薩夫監督が戦時中入営していた千葉県佐倉市の佐倉連隊の旧兵舎である。
そしてスタッフ、キャストのなかにも軍隊経験者が少なからずいただろうということを考えあわせると、これはある種のドキュメンタリーともいえる側面をもった映画といってもいいかもしれない。
実際、映画の中で手加減せずにほんとうに殴っているのではないかと思われる鉄拳制裁を見ているだけでも、そうした考えがあながち的外れなものでもないなという気になってくるのである。


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