風に吹かれて

My Life & My Favorite things

Category: SONGS

Comment (0)  Trackback (0)

昭和歌謡黄金時代 作曲家 浜圭介の世界

入院中はテレビをいっさい見なかった。
そして退院した一昨日、久しぶりに見たのが、この夜NHK BS第2で放送された「昭和歌謡黄金時代 作曲家 浜圭介の世界」だった。
浜圭介のファンとしては、これは何ともタイムリーで、ありがたい放送だった。

まずは番組で紹介された彼の生い立ちから紹介すると。

本名は金野孝(こんのたかし)、昭和21年に満州で生まれたが、1歳のときに満州から引き揚げ、青森県大鰐町に住む。
小学校2年のとき、家族とともに札幌に移住、15歳で高校を中退、歌手を目指して上京し、森山加代子と同じ事務所に所属して彼女の付き人になる。
昭和39年、牧幸次の芸名で18歳で歌手デビュー、だがヒット曲に恵まれず、低迷、その後所属事務所を移り、芸名も大木賢に変えて再出発を図るが、ここでもまた挫折を味わうことになる。
そして23歳のとき、なかば歌手を諦めた彼は、傷心のまま知り合いを頼って弘前へと向かう。
そこで桜まつりの露天を手伝っていたある日、鍛治町の居酒屋でひとりの中年の女性と隣り合わせになり、問わず語りに身の上話を聞かされる。
その話を聞くうちに、無性に曲を作りたくなり、彼女の半生を基にできたのが「おんな道」であった。
その歌を引き下げて再び上京した彼は、「浜真二」の芸名で再デビュー、この歌は30万枚のヒットとなった。
だがこの後はまたこれといったヒット曲が出ず、結局歌手としての限界を感じ始めた彼は作曲家として立つことを考えるようになっていく。
やがて「終着駅」(奥村チヨ)を作曲、それがヒットしたことが大きな転機となって、その後も「雨」(三善英史)、「そして神戸」(内山田洋とクールファイブ)、「折鶴」(千葉紘子)、「街の灯り」(堺正章)とつぎつぎとヒット曲を生み出していくことになる。
これがヒットメーカー浜圭介が生み出されるまでの苦節の足跡であった。
今では日本を代表する歌謡曲の作曲家である浜圭介にも、こうした長い雌伏のときがあったのである。

ところで私が彼の存在を知ったのは、浜真二で再デビューを図ったときのこと。
テレビから流れる「おんな道」を聴いて、その暗く悲しい情念の世界に演歌の真髄を感じ、たちまちファンになってしまったのである。
そしてすぐにレコードを買っては、繰り返し飽きずに聴いていた。そのレコードは今も手元にある。
そのころのことであったが、家内とふたりで時々行っていた新宿の酒場に家内が友人とふたりで出かけた。
そこでたまたま浜真二が店に入ってきて、彼女の座った席の向かいの席に座った。
そして酒を呑むうちに、やおら店にあったギターを手にとると、「おんな道」を歌い始めたのである。
まだそれほどこの歌がヒットしていなかった頃ではあったが、家内も私同様にこの歌のファンだったことから、目の前で聴いたその感激は格別なものだったようだ。
帰ってきてその時の情景を上気した顔で話すのを聞き、その場に居合わせなかったことの残念さで歯軋りしたことを今でもよく覚えている。
そんな体験も手伝って、この歌には特別に深い思い入れがあるのだ。
番組のなかでも、彼自身がこの歌をギターの弾き語りで歌ったが、昔とかわらぬよさに聞き惚れてしまった。



ところで彼の作曲した曲の中で私にとってのベスト3は「石狩挽歌」と「舟唄」と「心凍らせて」である。
当然番組のなかでもこの3曲は歌われた。

「石狩挽歌」は、なかにし礼がニシン漁で一攫千金を夢見た実兄との確執を基に書いた会心の歌であった。
その作曲をなかにし礼は浜圭介に依頼した。
「この歌を書けるのは浜圭介しかいない。」との思いをこめて。
なかにし礼も浜圭介も、旧満州生まれの引揚者であり、どちらも北海道で育っている。
そうした共通の生い立ちから生まれる強いシンパシーを感じたうえでの依頼であったのかもしれない。
その期待を裏切らないような「最高のメロディーを付けたい」と浜圭介は思った。
だがそうした思いとは逆に、なかなか納得ゆくメロディーは出てこない。
そして苦しみぬいた末にたどり着いたのが「ソーラン節」であった。
それを糸口につぎつぎとイメージが膨らみ始め、ついにはあの力強いメロディーが生まれたのである。
1975年のことであった。



「舟唄」は1979年に作られた名曲。
八代演歌の頂点を極めた曲だと言ってもいいだろう。
この曲で印象にのこるのは、やはり映画「駅・STATION」のなかで流れるシーンである。
大晦日の夜、どこへも行く当てのない男と女が、お互いの孤独を暖めあうように体を寄せ合ってテレビから流れるこの歌を聴くシーンの切なさは、数ある映画の名シーンのなかでも忘れられないもののひとつである。



高山厳が歌う「心凍らせて」は荒木とよひさの作詞である。
浜圭介は自らこの曲を「5本の指に入る曲」と語っている。
この歌でヒット曲に恵まれず低迷していた高山厳が人気歌手の仲間入り。
歌手として辛酸を味わった過去をもつ浜圭介の、埋もれた歌手を何とか売り出そうとする熱意が、大きく花開いたものであった。



浜圭介の作る歌の底には津軽の情念が流れている。
わずか7年間ではあったが、幼い日を津軽で過ごしたことは、彼の中に間違いなく津軽の心を植えつけたのではなかろうか。
その心から紡ぎ出される歌には津軽の情念を感じることができる。
だがけっして泥臭いばかりではない。
そこには青年時代に親しんだロカビリーやジャズといったモダンな感覚が裏打ちされており、そうしたものの融合が斬新で心打つメロディーを紡ぎ出しているのである。
彼の曲がもつ独特の哀愁は、そんなところに根ざしてるように思う。

そうした名曲の数々を堪能し、心ゆくまで楽しんだ1時間半であった。


ブログランキング・にほんブログ村へ 
  ↑ クリック、お願いします。 ↑
スポンサーサイト
テーマ : お気に入りの曲♪  ジャンル : 音楽

Newer Entry映画『ハート・ロッカー』 Older Entry久しぶりの外食
Comments






カレンダー
07 | 2017/08 | 09
- - 1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31 - -
プロフィール

cooldaddy

Author:cooldaddy
住んでいるところ:青森県弘前市
出身地:香川県
年齢:今年(2008年)還暦です。
性別:男

還暦という節目を迎え、何か新しいことを始めようとブログを開設しました。
趣味のこと、生活のこと、心に残ったことなど、My Favorite thingsを、気ままに書いていこうと思います。
末永くおつき合いください。

映画サイト「マイ・シネマ館」もやっています。
こちらもよろしく。

ランキングサイトに参加しています。
もしよければクリック、お願いします。↓
ブログランキング・にほんブログ村へ 

cooldaddyの本棚
FC2ブログランキング
ブログ内検索
QRコード
QRコード

1234567891011121314151617181920212223242526272829303108 2017