映画「フィッシュストーリー」
落語の三題噺のような映画である。
ただしここでの題は3つではなく、映画「ベストキッド」、「沈黙の戦艦」、「アルマゲドン」、そしてパンクロック、さらに原作者、伊坂幸太郎自らの小説「終末のフール」の5つの題を繋ぎ合わせた物語である。
「FISH STORY」とは「ホラ話」という意味である。
まったく関係のないエピソードを強引に繋げて作った「ホラ話」。
まさに「風が吹けば桶屋が儲かる」式の話であるが、それが最後にピタリと繋がったときの快感は、やはり伊坂ワールド独特のものだ。
最初に観た時は、もどかしさに途中でいささか退屈しかけたが、最後の謎解きになると一気に映画の世界に引きずりこまれた。
そしてさらにもういちど観なおしたときは、感動ではからずも涙を流してしまったのである。
作中で大森南朋がつぶやくセリフ、「そういうことって、あってもいいんじゃないのかなあ」という言葉に素直に頷いてしまった。
日常の小さな出来事が、時間空間を越えて繋がって、最後は人類滅亡の危機を救うという壮大な物語を観ていると、意味のないように思える日常の出来事が、とても大切なことに思えてくる。
大げさに言うならば、そうした小さな積み重ねが地球規模のものにも繋がっているということだ。
そう思うと、なぜか強く勇気づけられるような気がしてくるから不思議だ。
そしてあだやおろそかにはできないな、とあらためて考えさせられた。
音楽担当は斎藤和義、彼の作った主題歌「FISH STORY」が劇中何度も繰り返して歌われるが、「ぼくの孤独が魚だったら」というフレーズとともにこの曲がいつまでも頭から離れない。
監督は中村義洋、「アヒルと鴨のコインロッカー」に続く伊坂幸太郎作品の映画化である。
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