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風に吹かれて

My Life & My Favorite things

Category: 読書

Tags: 葉室麟  時代小説  

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葉室麟「秋月記」

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葉室麟の小説を読むのは、これが二冊目である。
ちょうど1年前、昨年の5月に「銀漢の賦」を読んで以来のことになる。
今回の「秋月記」も「銀漢の賦」と同様のお家騒動を中心にした、小藩の苦闘の歴史を描いたものである。

福岡県の山間に位置する町、秋月(あきづき)がその舞台。
秋月藩は江戸時代初期に黒田長政の三男・長興が5万石を分知されて福岡藩から分かれた小藩である。
以来福岡藩との間で支配、独立を巡る確執が長く続くことになる。
そうした背景のなかでの藩政のあれこれが主人公、間(はざま)小四郎(のちの余楽斎)の成長とともに描かれる。
主人公は、後に藩政の中心となって働き、最後は謀反罪として捕らえられることになるが、なぜそうした結末を迎えねばならなかったかが、数十年の物語として語られていく。

孤り幽谷の裏に生じ
豈世人の知るを願はんや
時に清風の至る有れば
芬芳自ずから持し難し

これは小説のなかに書かれた広瀬淡窓という詩人の「蘭」という詩である。
「蘭は奥深い谷間に独り生え、世間に知られることを願わない。しかし、一たび、清々しい風が吹けば、その香りを自ら隠そうとしても隠せない」という意味である。
この小説の底には、こうした詩情が強く貫かれている。

「ひとはおのれの道を最後まで行くしかないのだ。たとえ1人になろうともな」という小四郎の言葉、そして「ひとは美しい光景を見ると心が落ち着く。なぜなのかわかるか」・・・・・「山は山であることを迷わぬ。雲は雲であることを疑わぬ。ひとだけが、おのれであることを迷う。それゆえ、風景を見ると心が落ち着くのだ」という政敵、織部の言葉が忘れられない。
捨石として終わることを厭わなかった、ふたりの武士の覚悟と潔さに、人が生きることの深い意味を見たように思う。


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テーマ : 時代小説  ジャンル : 小説・文学

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