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風に吹かれて

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Category: 落語

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三遊亭円生 「火事息子」

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先日、古今亭志ん朝 の「二番せんじ」を聴いたので、火事つながりで今度は円生の「火事息子」を聴いてみた。
「江戸の華は火事と喧嘩」というように、江戸時代には火事が多く、そのために火事道楽などという輩までいたそうである。
火事が起きると、まず半鐘が鳴らされるが、その打ち方には近場と遠方とでは違いがあった。
ひとつだけ打つのは遠方、二つだともう少し近場、三つ鳴らすとかなり近くになり、それ以上近い場合はスリ番といって、半鐘をスリあげるようにたたく、という。
その鐘の鳴り方を聞き分けて、火事道楽は現場へと駆けつけて火事見物をする。
何とも不謹慎な話ではあるが、それだけ火事というものには人をひきつける魔力があるようで、この噺の登場人物の若旦那も火事の魔力の虜になり、親の反対を押し切って火消しになったという人物である。
当然親からは勘当され、今ではどこでどう生きているのかも分からないといった按配である。
その息子が実家である質屋の大店、伊勢屋の間近で火事があり、延焼の危険にさらされたとき、突然現れて、窮地を救う。
しかし勘当した手前、親父は素直に息子を受け入れることができない。
そこへ母親が現れて、ふたりの間を取り持つ、といったストーリーである。
親子対面が噺のクライマックスになるわけだが、そこへ至るまでの火事場の様子や、江戸の火事に関する薀蓄がおもしろおかしく語られて興味深い。
たとえば火消しには町火消しと定火消しがあり、町火消しは「いろは」順に四十七組の町火消しが設置された、いわば町人による自警団である。
いっぽう定火消しのほうは、幕府が定めた旗本による火消しであるが、そこに属した火消し人足は治外法権を理由に、かなり質の悪い無頼漢の集まりであった。
いわゆる命知らずの男たちの集団で、俗に「臥煙(がえん)」と呼ばれ、後にガラの悪い男の総称としてこの言葉が使われたほどであった。
ところが、その「臥煙」になるための条件というのがけっこう厳しくて、まずは「江戸っ子」であること、そして「色の白いこと」さらには「背の高い者」「男っぷりのいいこと」「腕っ節の強い者」などといったものであった。
この噺の若旦那がなったのは、こちらの「臥煙」のほうで、それだけでも若旦那の男っぷりのよさが目に浮かんでくるようである。
おそらく自慢の息子だったにちがいないのである。
そんな息子が全身くまなく刺青を入れ、ふんどしに半纏一丁という姿で現れたのだから、父親が仰天して他人行儀の冷たい対応をするのも分からなくはない。
だが母親にはそんなこだわりはなく、息子に会えた喜びに、助け舟を出して、なんとか丸く収めるということになるのである。
そんな親子の情愛が、江戸の華やいだ風俗をバックに、しみじみと味わえる噺である。
それが円生の粋な江戸弁で語られると、いっきに江戸の町へとタイムスリップしてしまう。


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テーマ : 落語  ジャンル : お笑い

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