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Category: 読書

Tags: 太宰治  

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太宰治「人間失格」

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今年は太宰治生誕100年という年である。
それを記念した催しが各地で行われているが、太宰の生地、津軽でも各種の催しが盛んに行われている。
弘前に住む身としては、いやがうえにもそれらを目にする機会が多くなる。
そんななかで、いちどは太宰作品を読んでみなければという、強迫観念にも似た衝動を覚えることが、しばしばであった。
いわば宿題のようなものでもあったわけだが、ちょうど昨日妻から太宰の「人間失格」を読んだと聞かされた。
娘(次女)が読もうと思って買って持っていたのを、たまたま目にした妻がそれを借りて読んだのである。
そしてその感想が「昔読んだときには気づかなかった面白さを感じた。太宰を誤解していた。太宰のイメージが少し変わった。」というものだった。
そこで、これはいい機会だと思い、さっそく便乗して読むことにした。
今朝がた読み始めたが、その面白さに一気に読んでしまった。

この小説が執筆されたのは、昭和23年3月から5月にかけてのこと。
そして6月には玉川上水に身を投げて自殺をしたので、死の直前の作品ということになる。
そうした時系列と、自らの人生を投影したような内容を考えると、これはいわば遺書のような作品といえるかもしれない。
作家、 杉森久英が太宰をモデルにして書いた小説に「苦悩の旗手 太宰治」というのがあるが、まさに太宰は苦悩し続けた作家であった。
「人間失格」はそうした太宰の苦悩の半生を、どうしても書かずにはいられない、切迫した衝動に突き動かされて書いた小説である。
巻末の奥野建男の解説を読むと、「常に読者への奉仕、読者をよろばせ、たのしまそうとつとめてきた太宰治が、はじめて自分のためだけに書いた作品であり、内面的真実の精神的自叙伝である。」
さらに続けて「この世から本質的に疎外され、自閉的世界に住む人間の、魂の底からの人間への求愛、求信の訴えである。太宰治の全作品が消えても、『人間失格』だけは人々にながく繰返し読まれ、感動を与え続ける、文学を超えた魂の告白と言えよう。」と書いている。

若い者ならいざ知らず、何を今更60面を下げて「太宰」でもあるまい、などといった訳知り顔な言葉が飛んできそうな気もするが、それでもあえて太宰を読んでみたのである。
そしてその素晴らしさを、遅まきながら今になってようやく知ったというわけである。
「人間失格」は「青春の書」という限定つきの文学だけのものではない、もっと深い、誰もが大なり小なり抱え持つ人間のダメさ加減、人とかかわることへの不安や恐怖といった、根源的な問題を内包している小説である。
人間関係が希薄になり、コミュニケーションの不足が叫ばれる現代だからこそ、太宰の作品がさらに輝きを増しているのかもしれない。

このつぎは「斜陽」「晩年」「ヴィヨンの妻」といったところも読んでみようか、と考えている。


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還暦(10年前)という節目を迎え、何か新しいことを始めようとブログを開設しました。
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