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風に吹かれて

My Life & My Favorite things

Category: 読書

Tags: エッセイ・評論  

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山田風太郎「人間臨終図巻」

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死に様はある意味で生き様でもあるかもしれない。
この本を読んでいるうちに、そんなことを思った。

共通しているのはいい意味でも悪い意味でも、中身の濃い人生。
その総仕上げとしての死。
だから臨終の様子を読みながらも、関心は自然とその人物の人生へと変わっていく。

山田風太郎の筆に詠嘆はない。
淡々とその事実を書き連ねているだけだ。
それだけに、かえってそれぞれの死の重さが伝わってくるようにも思う。

15 歳の八百屋お七、大石主税(ちから)から、121 歳の泉重千代まで、取り上げられた「死」の数は、923人にのぼる。
政治家、軍人、実業家、芸術家、犯罪者、古今東西のさまざまな人たちの死が、享年別に粛々と続いていく。

この本を手にとって最初に読んだのは、現在の自分と同じ年齢の項である。
開いてみると、そこにはマホメット、李白、空海をはじめ、宮本武蔵、三遊亭円朝ら23人の名前が並んでいる。
今の自分と同年齢で死んだ人たち、ちょっと奇妙な感慨にとらわれながら読んだ。
こういった本は、必ずしも冒頭から読み進めるばかりではなく、こうやって年齢や人物を選び、適当なページを開いて、拾い読みしていくというのもひとつの読み方だろう。

こうしてたくさんの死を読んでいくうちに、思うことは「どんな人間も死から免れることはない。」「死に方はいろいろだが、やはり人間、死ぬときはひとり」といったごく当たり前の事実である。
死ぬということは、特別でもなんでもない、誰にでもいつかは必ず訪れるごく当たり前のことだが、普段は縁がなく、つい特別なものとして遠くに追いやってしまっている。
そうではなく、もっと死を身近に置いて、それについて考えてみようというのが、この本が謂わんとしていることなのかもしれない。
メメント・モリ(Memento mori)、「死を想え」である。
また「死」を追い続けるということは、結局は「生」を深く追求したいという欲求の裏返しのようにも思える。
「死」を知ることで、よりよい「生」を生きようというのが、その底に流れる真意なのかもしれない。

この本は時々、読み返すことになるだろうと思う。

さて最後に、それぞれの年齢の冒頭に、死についての短い言葉が、日めくりカレンダーのように書かれているが、そのなかのいくつかを書き抜いておくことにする。

「親も、友達も、みんな死んでゆきました。
それくらいのこと、私にだって出来るでしょう。」 田中澄江

「人間は正視することの出来ないものが二つある。太陽と死だ。」 ラ・ロシュフーコー

「死をはじめて想う。それを青春という。」
「最愛の人が死んだ日にも、人間は晩飯を食う。」
「生は有限の道づれ旅、死は無限のひとり旅」
「同じ夜に何千人死のうと、人はただひとりで死んでゆく。」 山田風太郎



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テーマ : 図書館で借りた本  ジャンル : 本・雑誌

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