Category: 日本映画
映画「実録・連合赤軍 あさま山荘への道程(みち)」

不毛な戦い、いやこれはもう戦いなどと呼べるものではない。
果てしなく続く不毛の荒野に足を踏み入れてしまった者たちの悲しい道程の映画である。
この事件当時、同じ学生で、こうした運動の周辺に存在していたひとりとして、まったく無縁ともいえない事件である。
監督の若松孝二は、過去にも連合赤軍を扱った映画「赤軍-PFLP世界戦争宣言」を作っている。
さらに、あさま山荘での銃撃戦の直後に、テロリスト集団の戦いを描いた「天使の恍惚」を発表している。
また若松映画のシナリオや製作に深く関わっていた足立正生が、後に日本赤軍に加わるなど、日本赤軍との関係が深い監督である。
そういった意味では、こうした作品が生み出されたのは、必然のことのように思う。
いつかは作品化しなければならない、と考え続けていた映画なのではないだろうか。
追い詰められたなかで顕在化していく幼児性むきだしの恐怖政治。
けっして総括することのできない「総括」という名の、いじめとリンチ。
出口のない、無間地獄に陥った人間たちの無力さと慄きに胸が締め付けられる。
人間が持つ悪魔的なエネルギーが、果てしなく剥き出しにされていく。
思わず目をそむけたくなるような場面の連続に、戦慄が走る。
理想をかかげ、社会を変えようという生真面目な情熱にかられた若者たちが、革命という名のもとに、なぜ自滅していかざるをえなかったのか、その答えはどこまでいっても闇のなかだ。
3時間10分はけっして長くはなかったが、始終息苦しさを感じながらの時間だった。
この時代に多かれ少なかれ、幾分かでも関わった人間は、これを観ることで自らの生き方の総括を、いまいちど冷静に行う必要があるのかもしれない。
そんなことを考えさせられた映画だった。


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