Category: 日本映画
映画「坂道のアポロン」

この歳(72歳)になると、高校生が主人公の青春映画を観るなどということは、かなり憚れる。
今さらという気になるが、時代が1966年で、さらにジャズを演奏する高校生が主人公ということになると、気持ちが動く。
そこで試しに観てみようとなったのである。
ところがこれが思わぬ拾い物、気持ちよく泣かされてしまった。
1966年といえば私が高校を卒業して大学に入学した年なので、主人公たちは1学年下ということになる。
ほぼ同年代といってもいい。
そういうわけで自分自身の高校時代を思い出しながら楽しんだ。
1966年の再現は、大分県・豊後高田市にある「昭和の町」でのロケによって行われている。
郷愁を誘う街並みだ。
そこを3人の主人公たちが歩いてゆくと、自然とその時代へと連れ戻される。
もうそれだけでこの映画を観た甲斐があるという気になってしまう。
そしてレコード店の地下室や文化祭でのジャム・セッションが始まると、その気持ちがさらに高まる。
演奏されるのは「モーニン」と「マイ・フェイバリット・シングス」。
あの時代に繰り返し聴いた馴染のジャズナンバーだ。
それらを背景に、恋と友情の物語が展開されてゆく。
時に恥ずかしく時に懐かしい。
そんな真っ直ぐさに引かれながら、知らず知らずのうちに物語世界に嵌ってしまった。
こうやって予想を覆させられるのは、なかなかの快感だ。
思い切って観たのは、無駄ではなかった。
いい映画だった。


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