Category: 日本映画
映画「溺れるナイフ」

夜中に目が醒め、テレビをつけたら、ちょうどこの映画が始まるところだった。
何気なく観ていたが、気がつくと曰く言い難い魅力に嵌り、とうとう最後まで観てしまった。
原作はジョージ朝倉による少女漫画。
東京で雑誌モデルをしていた少女が、親の都合で辺鄙な田舎町に引っ越して住むことになる。
そしてそこで知り合った個性的な少年と出会い恋に落ちるというもの。
よくあるストーリーだが、それが個性的なキャラクターや神話的な要素をもつストーリーで展開されると、単なる青春映画という枠を超えて輝き始める。
説明的なものを省略しているため、理解不能なところもあるが、そんなことには頓着せずにどんどんと物語は進んでいく。
そうした潔さが心地いい。
また舞台となる土地が和歌山というのも、この映画を魅力的なものにしているところ。
熊野を舞台に神話的な小説を書いた中上健次的な要素がそこここに見られ、それが10代の少年少女がもつ複雑な内面と呼応して一種独特の世界を形作っているのだ。
少女漫画を原作にした青春映画などといえば、おじさん世代にとってはおよびもつかない無縁な世界だが、そんなおじさんでも時間を忘れて観てしまうという魅力あふれる映画だったのである。


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