風に吹かれて

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Category: 読書

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平野啓一郎「マチネの終りに」

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平野啓一郎の小説を読んだ。
評論集は以前読んだことがあるが、小説を読むのはこれが初めて。

読む前は難解な小説という先入観があったが、そうではなかった。
読み易いというわけではないが、まるで詩を読んでいるような華麗な文体に魅了された。
物語の展開の妙、登場人物の魅力など、読ませる要素はいろいろ揃っているが、何よりもまず最初に惹かれたのは文章のうまさである。
繊細な心理描写、哲学的な考察、そうしたものが散りばめられ、文学の香りが匂い立ってくるような文章である。
その一言一句を噛みしめながら読んでいった。

物語は天才的なギタリストと、国際政治の記者である女性の出会いと別れを描いた恋愛小説ではあるが、それだけには留まらず、様々な社会問題を絡ませながら展開していく。
例えばそれはイラク戦争、難民問題、ユーゴスラビア紛争、リーマンショック、長崎の被爆、そして東日本大震災。
そうした国際的な問題が、トーマス・マンの『ヴェニスに死す』やリルケの『ドゥイノの悲歌』といった文学を引用しながら描かれていく。
さらにギタリストである主人公の奏でる音楽がそこに加わることで、深い彩りを与えていく。
単なる恋愛小説というだけではない拡がりを感じるのは、そのためである。

「人は、変えられるのは未来だけだと思い込んでいる。だけど、実際は、未来は常に過去を変えているんです。変えられるともいえるし、変わってしまうともいえる。過去は、それくらい繊細で、感じやすいものじゃないですか?」
繰り返し語られるこの言葉が印象に残る。
そうしたさまざまな言葉に込められた意味をさらにもう一歩踏み込んで知るためにも、またもういちど読み返してみようかなと考えている。


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還暦という節目を迎え、何か新しいことを始めようとブログを開設しました。
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