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Category: 読書

Tags: 藤沢周平  時代小説  短編小説集  

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藤沢周平「海坂藩大全・下」

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藤沢周平の武家小説のなかで「海坂藩」が舞台になった、いわゆる「海坂もの」と呼ばれる小説を集めた作品集である。
「海坂藩」は、藤沢周平の読者には馴染み深い名前で、いまさら説明の必要もなさそうだが、おさらいの意味もこめて書いてみることにする。
まず「海坂藩」という名称だが、藤沢周平が結核療養所時代に、たびたび投稿していた俳誌の名前から借りたものである。
故郷である山形県鶴岡市の風景をもとにした架空の城下町に、結核療養の支えになった俳誌の名前をつけたことに、藤沢周平の限りない愛着を読み取ることができる。

この名前がはじめて登場したのは、第六作目の「暗殺の年輪」のなかであった。
その描写はつぎのようなもの。

丘というには幅が膨大な台地が、町の西方にひろがっていて、その緩慢な傾斜の途中が足軽屋敷が密集している町に入り、そこから七万石海坂藩の城下町がひろがっている。城は町の真中を貫いて流れる五間川の西岸にあって、美しい五層の天守閣が町の四方から眺められる。

まずこのような情景描写から始まった「海坂藩」はその後、作品の舞台としてくりかえし使われることでしだいにその姿が固まっていった。
そして読者それぞれがイメージする「海坂藩」が形作られていったのである。
この美しい城下町を舞台に、武士や武家の女たちがそれぞれの人生を懸命に生きようとする姿を、この本のなかに見ることが出来る。

ここで取り上げられた作品のうち「梅薫る」と「泣くな、けい」は先日読んだ短編集「夜の橋」にも掲載されていた作品である。
このほかには「泣く母」「山桜」「報復」「切腹」「花のあと」など計11篇が収録されており、それぞれに曰く言いがたい味わいがある。
親と子、男と女、主と従者、友人同志、さまざまな情愛の形が描かれている。
その読後感は爽やかである。
ここ数日、一日一、二篇づつを惜しむようにして読んでいる。
一気に読んでしまうのが惜しいような、そんな気持ちで、ひとつひとつをじっくりと噛み締めながら読んでいる。

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テーマ : 小説  ジャンル : 小説・文学

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還暦(10年前)という節目を迎え、何か新しいことを始めようとブログを開設しました。
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末永くおつき合いください。

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