風に吹かれて

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Category: 読書

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佐藤泰志「黄金の服」

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先日観た映画『オーバー・フェンス』の原作が収録された短編集である。
映画の後、原作も読んでみたいと図書館で借りてきた。
「オーバー・フェンス」「撃つ夏」「黄金の服」の3篇が収められており、「オーバー・フェンス」は1985年の文学界に、「撃つ夏」は1981年の北方文芸に、そして「黄金の服」は1983年の文学界に発表されたものである。
小説「オーバー・フェンス」は、佐藤泰志自身が東京から函館へ戻り、職業訓練校に入校して学んだという実体験をもとに書かれたもので、芥川賞の候補にもなっている。
ちなみにこれが5度目の芥川賞の候補で、結局受賞はならなかった。
映画『オーバー・フェンス』はその小説をほぼベースにしているが、大きく違うところは3点、まず主人公の白岩は小説では20代だが、映画では40代になっている。
ふたつ目は、映画では白岩が別れた奥さんと再会するシーンが出てくるが、小説にはこれがない。
そしていちばん違っているのは3つ目の聡のキャラクターである。
小説に出てくる聡は花屋に勤めるごく普通の女性だが、映画の聡は相当の変わり者。
鳥になりたいと願い、鳥のダンスを踊るキャバクラのホステスである。
情緒不安定で、突然怒ったり泣いたりと予測のつかない行動をとる。
これは小説集のなかの「黄金の服」に出てくるアキという女性がモデルになっており、それをさらに膨らませたもの。
映画ではそのキャラクターがあまりに過激で、引いてしまったが、考えてみればこの存在があるからこそ、白岩の駄目さ加減が炙り出され、また変わろうとする原動力にもなっており、けっして奇を衒ったというわけではない。
重要なポイントになる役だ。
それを蒼井優が熱演しているが、成功したかどうかは評価の分かれるところ。
それほどの難役なのである。

こうやって見てくると、やはり映画と小説とは別物なのだとつくづく思う。
こうした映画的改変が行われるのは、当たり前のこと。
そしてこの映画では、そうした改変が小説をより大きく膨らませることになっており、映画の成功に大きく結びついている。
原作を読んで、そのことがよく分かった。
いい勉強になった。


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