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Category: 読書

Tags: 藤沢周平  時代小説  短編小説集  

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藤沢周平「夜の橋」

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先日、藤沢周平原作の映画「山桜」を観て、藤沢作品をまた読み返してみたくなった。
そこで図書館から何冊かの小説本を借りてきて、年末から年始にかけて読んでいる。
まず最初に読み始めたのは短編集「夜の橋」。
藤沢周平が49~51歳の頃に書いた短編を集めたもので、表題作「夜の橋」のほか「鬼気」「裏切り」「一夢の敗北」「冬の足音」「梅薫る」「孫十の逆襲」「泣くな、けい」「暗い鏡」の9編が収められている。
ひさしぶりに読んだ藤沢作品は、妙に懐かしく、そして以前と変わらぬ感動を味わった。
というか、以前読んだ時から、かなりの時間が経過しているために、内容はほとんど忘れていて、そのために、初めて読む作品のような気分で読むことができたのである。
もしかりに内容を憶えていたとしても、藤沢作品は変わらぬ感動を与えてくれたはずである。
再読に耐える小説、さらには繰り返し読むことで新しい発見をすることができるのが、藤沢作品なのだと思う。

なかでも「泣くな、けい」の女主人公、けいの献身ぶりには泣かされた。
ハラハラ、ドキドキさせられて、最後に奇跡のような結末を用意する藤沢周平の物語作家としての巧みさには、毎度の事ながら感嘆してしまう。
けいの姿には「山桜」の野江に通じる一途さがある。
人間とは、なんていいものなんだろう、信じるに足るものだ、と暖かな気持ちにさせられた。

また表題作「夜の橋」の賭博に溺れた男の立ち直ろうとする姿に、生きることの苦さや希望を、「暗い鏡」の不運な女の姿に、人生の皮肉と哀れさを感じた。

この本のあとがきに藤沢周平は、短編には「神の助けが必要」と書いている。
そして続けて「神の力を必要とする仕事といえば、即座に思い出されるのは牧師だが、一方で賭博師も神の助けを必要としているだろう。罪深い小説書きである私が牧師に似ることはあるまいから、ひとまず賭博師に似たとして、この短編集の中に、はたして神の加護によってうまいカードを引きあてたものがあるかどうかは、お読みになる方に判断していただきたい。」と書いているが、いいカードを引きあてているのは、もちろん言うまでもないことだ。

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テーマ : 短編小説  ジャンル : 小説・文学

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