風に吹かれて

My Life & My Favorite things

Category: 読書

Tags: 短編小説集  

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桜木紫乃「星々たち」

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連作短編集ではあるが、どの話も塚本千春という女性と彼女と関わりをもった人たちの物語になっている。
また同時に彼女の母親、そして娘と繋がる女三代の物語にもなっており、そういう意味では長編小説として読むこともできる。
なかなかユニークな構成である。

塚本千春の母親、咲子は奔放な女である。
娘の千春を実家に預けたまま、遠く離れた街で水商売の女として生きている。
そうした母親と娘の暮らしを描いているのが、冒頭の「ひとりワルツ」と「渚のひと」である。
そして続く「隠れ家」「月見坂」「逃げてきました」では、その後の千春の姿が描かれ、「冬向日葵」では咲子の最期の日々が描かれる。
さらに「トリコロール」「やや子」では千春の娘のやや子の人生が描かれていく。
結局三代の女たちは家庭という共通の場を持つことなく、離れ離れのまま生きていく。
千春もやや子もどちらも親に捨てられた子供である。
世間一般の常識からいえば、親の愛情を知らずに育った不幸な人たちということになる。
しかし、そんな常識とは無縁に、自分たちの人生をただただ愚直に生きていく。
どんな相手に対しても過剰な期待はしない。
傷つけ傷けられながらも、誰を恨むでもなく、嘆くでもない。
それはどこまでも堕ちてゆくしかない不器用な人生である。
だがそこには悲惨というだけではない力強さと温かさがある。
人とは何と脆いものか、そしてまた何と強いものであるか。
そうした脆さ強さが、抱きしめたいほど愛しく思えてくる。
桜木紫乃のうまさ、巧みさに心底唸らされたのである。

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年齢:今年(2008年)還暦です。
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還暦という節目を迎え、何か新しいことを始めようとブログを開設しました。
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