風に吹かれて

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Category: 読書

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佐藤愛子「九十歳。何がめでたい」

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大正12年生まれ、九十歳を越えた作家、佐藤愛子が書いたベストセラー。
図書館で予約したのがいつだったか、忘れてしまうほど長く待たされたが、ようやく順番がまわってきて借りることができた。

女性セブンに連載されたエッセイをまとめたものである。
2014年に始まった連載だが、、当時彼女は作家生活の集大成として長編小説『晩鐘』を書き上げたばかりで、これを最後に筆を断ち、のんびりと生活しようとしたところ。
「書くべきことは書きつくして、もう空っぽになりました。作家としての私は、これで幕が下りた」という心境であった。
ところがその「のんびりとした生活」のせいで、やることがなくなると、とたんに老人性ウツ病のような状態になってしまった。
そんなとき、この連載の依頼が舞い込んだのである。
そして
<この秋には九十三歳になる私には、もうひとに勇気を与える力はなくなりました。なくなった力をふるい起すために、しばしば私はヤケクソにならなければなりませんでした。ヤケクソの力で連載はつづき、そのおかげで、脳細胞の錆はいくらか削れてなくなりかけていた力が戻って来たと思います。人間は「のんびりしよう」なんて考えてはダメだということが、九十歳を過ぎてよくわかりました。>
という結論に至ったのである。

ヤケクソで書いたエッセイは怒りや嘆き、毒舌のオンパレード。
少々八つ当たり気味のところがなきにしもあらずだが、一本筋が通っているだけに思わず納得、艱難辛苦を乗り越え、満身創痍の人生を生きてきた人ならではの強さである。
そうしたヤケクソぶりは、本書の題名を見れば一目瞭然。
いかにも佐藤愛子らしい意表を突く題名である。
このインパクトのある題名にひかれて、本書を手に取った人も多いのではなかろうか。
この題名は連載が始まったとき、すでに考えていたそうで、本書の最初のエッセイ「こみ上げる憤怒の孤独」のなかでも、
<「九十といえば卒寿というんですか。まあ!(感きわまった感嘆詞)おめでとうございます。白寿を目ざしてどうか頑張って下さいませ」満面の笑みと共にそんな挨拶をされると、「はあ・・・・ありがとうございます・・・・」これも浮世の義理、と思ってそう答えはするけれど内心は、「卒寿?ナニがめでてえ!」と思っている。>
と書いている。
始まりから、もうすでに愛子節炸裂である。
しかし、そうはいってもそこはやはり九十歳。
最後は
<讀者の皆さま、有難う。ここで休ませていただくのは、闘うべき矢玉(やだま)が盡(つ)きたからです。決してのんびりしたいからではありませんよ。>
となる。
それでいてそれが弱音を吐いたようには聞こえない。
まだまだ余力を残しているように感じるのは、やはり佐藤愛子という作家の魅力ゆえのことであろうと思う。


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還暦という節目を迎え、何か新しいことを始めようとブログを開設しました。
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