風に吹かれて

My Life & My Favorite things

Category: 読書

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宮下奈都「羊と鋼の森」

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昨年度の本屋大賞を受賞した小説ということで、図書館に予約したのが2か月前のこと。
ようやく順番がまわってきた。
本屋大賞受賞ということと同時に興味をそそられたのは、そのちょっと謎めいた題名である。
読んでみてわかったが、これはピアノのことを表した言葉であった。
羊はピアノの弦を叩くハンマーに付いている羊毛のこと、鋼はピアノの弦、そして森はピアノ本体の木材を指している。
その言葉が示すように、この小説はピアノの調律に魅せられた青年が調律師となり、一人前の調律師へと成長していく物語である。
その姿を通して調律師の世界やピアノという楽器のもつ奥深さ、そして同時に音楽の豊かさや美しさを描いている。

どんな世界にも表に出ることなく、陰で支える人たちというのが存在する。
そうした人たちがいて初めて表に立つ人の活躍が可能になるわけで、調律師もそうした存在である。
しかもその仕事はけっしてたやすいものではなく、果てしないほど奥深い。
その仕事に熟練するためには、近道などはなく、律儀にコツコツと積み上げていくしかない。
結局仕事というものの多くはそういうものだということが、文章の端々から伝わってくる。
そうしたところが多くの人たちの共感を呼んだのではなかろうか。

ところで調律師の話ということですぐに連想したのが村上春樹の短編小説「偶然の旅人」である。
ただしこちらは主人公が調律師の仕事をしているというだけで、特別その仕事の内容に深く踏み込んでいるわけではない。
さらに「羊と鋼の森」にはかなり多くの比喩が使われているが、そのことからも村上春樹のことを連想してしまったわけである。
またこれは余計なことかもしれないが、題名に「羊」という言葉が使われているところもそうした連想を後押しした。
そして思ったのは、文章表現としての比喩の難しさ、使い方ひとつで効果的にもなるが、それが邪魔をしてしまうこともあるのだということ。
この小説ではそれが美点にもなっているが、流れを阻害する弱点にもなっている。
そんなことを思いながらこの小説を読んだ。


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