風に吹かれて

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Category: 外国映画

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映画「ザ・ウォーク」

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1974年、当時世界一の高さを誇ったニューヨークのワールド・トレード・センタービルの間を、命綱なしで綱渡りに挑んだフランス人フィリップ・プティの実話を映画化した作品である。
見たことのない世界を見せてくれるのが、映画の魅力のひとつだとすれば、この映画はまさにそうした魅力に溢れた映画である。

フィリップの45分に渡る空中でのパフォーマンスは、手に汗を握るスリルと、不可能に挑戦しようとした者だけが持つ輝きに満ちている。
高所恐怖症ではあるが、そのパフォーマンスを見ているうちに、いつか高さの恐怖から解放され、フィリップとともに空中を浮遊しているような気分になってきた。
高さ411メートルをカメラは自在に行き来し、あり得ない角度からの映像をつぎつぎと見せてくれる。
こうした体験は現実ではけっして味わえないもの。
まさに映画ならではだ。

無意味なことに命を懸け、それに邁進する、そうした常軌を逸した行動をするのは、気が強く、独断的で、我が道を行くというタイプの人間でなければ成し得ないこと。
フィリップはまさに、そうした人間である。
自ら綱渡りテロリストと呼ぶように、誰に何と言われようとも、自分の信じる道を突き進んでいく。
それは、傲慢とも狂気とも映る。
時には協力しようとする者さえ引いてしまうほどである。
だが、フィリップはそうしたことは意に介せず、ひたすら前に向かって進んでいく。
その姿を見ているうちに、やがて誰もがそれに従ってしまう。
こうした強引さがあればこその快挙なのである。

観る前は、これほど面白い映画だとは思ってもいなかった。
綱渡りをするだけの映画のどこが面白いのだろうという疑問があったが、監督がロバート・ゼメキスということで観ることにした。
ところがその選択が大当たり、観ているうちにどんどん引き込まれていった。
そして誰もなし得ることのできないことを成し遂げたフィリップの栄光と矜持に満ちた表情を見ているうちに、無謀で非常識と思われていた綱渡りが、神へ近づこうとする崇高な行為だったのかもしれないと思えてきたのである。
そう思うと感動がさらに深いものとなってきた。
さすがはロバート・ゼメキス、信頼のおける名監督である。

「あなたはタワーに命を吹き込んだわ」、これは最後に恋人がフィリップに投げかけたセリフである。
その言葉を聞き、さらにふたつのワールド・トレード・センタービルが聳え立つ映像を見ていると、言い表せない悲しみと淋しさに襲われてきた。
そして考えたのである。
ひょっとすると今はなきワールド・トレード・センタービルが、この映画のもうひとつの主役なのではなかろうか、と。
そうしたオマージュが、この映画には込められているのかもしれない。


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