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Tags: ミステリー  

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ピエール・ルメートル「その女アレックス」

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村上春樹の全小説読破の後は、以前から読みたかったミステリー「その女アレックス」を読んだ。
この小説は「このミステリーがすごい!2015」、「週刊文春ミステリーベスト10」、「ミステリが読みたい!」などの海外部門で軒並み第1位を獲得した話題の小説である。
物語の発端は、ある看護師の女性が誘拐され、残酷な状態で監禁されるという事件から始まる。
猟奇事件かと思わせられるが、実はそうではない。
その裏には隠された秘密があるようだ。
しかしそれが明かされることがないまま犯人は警察に追いつめられ、その挙句に橋の上から身を投げて自ら命を落としてしまう。
そして誘拐された女性は監禁されたまま救出されることはない。
読み始めた当初は誘拐監禁がこの小説の本筋かと思って読んでいたが、ここで大きく肩すかしをくってしまった。
結局この事件は序章に過ぎず、これに続いてさらなる事件がつぎつぎと持ち上がり、捜査のなかで誘拐監禁事件の裏に隠された謎が次第に解明されていくことになる。
このように予想もつかないような展開が、ダイナミックに二転三転していくのが、この小説の見所のひとつである。

事件を追うのが、パリ警視庁犯罪捜査部班長のカミーユ・ヴェルーヴェンという警部。
身長145センチという小男で、その身長ゆえに初対面の相手からは軽く見られがちだが、外見とは違って優秀なヤリ手の警部である。
彼の亡くなった母親は著名な画家で、彼自身も絵を描くことを得意としている。
また妻を誘拐されて殺されるという辛い過去を背負っている。
その事件については、この小説の前作である「悲しみのイレーヌ」で詳しく書かれているようだ。
そうした傷から未だ癒えないカミーユに、この事件を担当させることで立ち直らせようと仕組んだのが、大男の上司ル・グエンである。
小男のカミーユと大男のル・グエンという組み合わせが、なかなか秀逸。
上司と部下という立場を越えたふたりの歯に衣着せぬやり取りが面白い。
さらに彼をサポートする部下が、資産家でハンサムなルイと、ケチで「守銭奴」のアルマンというまったく対照的なふたり。
こうした個性あふれる面々が、タッグを組んで捜査を進めていくことになる。
その過程で、謎の女アレックスの様々な姿が浮かび上がり、事件の裏に隠された真相が次第に解き明かされていくことになるが、それとともに謎の女アレックスに対するわれわれ読者の印象も、二転三転と変化していくことになる。
そうしたストーリーのさじ加減が、なかなか見事である。
読後の印象は苦く重いものがあるが、さすが話題作というだけあって、濃い内容をもった読み応えのあるミステリーであった。

著者ピエール・ルメートルについては、カバー裏の紹介記事を転載しておく。
<1951年、パリに生まれる。教職を経て、2006年、カミーユ・ヴェルーヴェン警部シリーズ第1作 Travail soigne でデビュー、同作でコニャック・ミステリ大賞ほか4つのミステリ賞を受賞した。本作『その女アレックス』はヴェルーヴェン・シリーズ第2作で、イギリスで話題となり、イギリス推理作家協会インターナショナル・ダガー賞の受賞作となった。2013年、はじめて発表した文学作品 Au revoir la-haut で、フランスを代表する文学賞ゴンクール賞を受賞する。>


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