風に吹かれて

My Life & My Favorite things

Category: 読書

Tags: 村上春樹  短編小説集  

Comment (0)  Trackback (0)

村上春樹「カンガルー日和」

kangaruu.jpg

中国行きのスロウボート』に続く短編集。
18の短編が収録されているが、最後の「図書館奇譚」以外は、ごくごく短いショート・ストーリーばかり。
400字づめ原稿用紙にすると、8枚から14枚くらいという長さである。
村上春樹によると、「他人の目をあまり気にせずに、のんびりとして楽しんで」書いたものだ。
そして「図書館奇譚」は連続ものの活劇が読みたいという奥さんのリクエストにこたえて書かれたものである。
6回連続で雑誌に連載された。
この短編には先日読んだ『羊をめぐる冒険』と同様に、羊男が登場してくる。
そして図書館の地下牢に閉じ込められた「僕」が、羊男と美しい少女の3人で、地下牢からの脱出を試みる。
こうした地下からの脱出という話は、村上作品で繰り返し使われるシチュエーションである。
その原型がここにある。

「4月のある晴れた朝に100パーセントの女の子に出会うことについて」はとてもチャーミングな話である。

<たいして綺麗な女の子ではない。素敵な服を着ているわけでもない。髪の後ろの方には寝ぐせがついたままだし、歳だっておそらくもう三十に近いはずだ。しかし五十メートルも先から僕にはちゃんとわかっていた。彼女は僕にとっての100パーセントの女の子なのだ。彼女の姿を目にした瞬間から僕の胸は不規則に震え、口の中は砂漠みたいにカラカラに乾いてしまう。>

しかし僕はひと言も喋れないままにすれ違い、彼女は人混みの中へと消えていく。
そしてその後、<「昔々」で始まり、「悲しい話だと思いませんか」で終わる>話を思いつく。
妄想のような話が淡々と語られるが、なるほどこういうことって案外あるかもしれない、と思わせるものがそこにはある。
そしてそこから滲み出てくる人生の不思議や悲しみは、まことに味わい深いものがある。

またこれらの短編には、ガンガルーやあしかやかいつぶり、そして羊など、いろんな動物が登場してくるが、これも動物園好きの村上春樹ならではのものといえよう。


にほんブログ村 本ブログへ 
↑ クリック、お願いします。 ↑
スポンサーサイト
テーマ : 読んだ本の感想等  ジャンル : 小説・文学

Newer Entry村上春樹「螢・納屋を焼く・その他の短編」 Older Entry今月観た映画と読んだ本(2015年11月)
Comments






カレンダー
05 | 2017/06 | 07
- - - - 1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30 -
プロフィール

cooldaddy

Author:cooldaddy
住んでいるところ:青森県弘前市
出身地:香川県
年齢:今年(2008年)還暦です。
性別:男

還暦という節目を迎え、何か新しいことを始めようとブログを開設しました。
趣味のこと、生活のこと、心に残ったことなど、My Favorite thingsを、気ままに書いていこうと思います。
末永くおつき合いください。

映画サイト「マイ・シネマ館」もやっています。
こちらもよろしく。

ランキングサイトに参加しています。
もしよければクリック、お願いします。↓
ブログランキング・にほんブログ村へ 

cooldaddyの本棚
FC2ブログランキング
ブログ内検索
QRコード
QRコード

12345678910111213141516171819202122232425262728293006 2017