風に吹かれて

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Category: 読書

Tags: 時代小説  

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船山馨「お登勢」

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幕末の阿波徳島藩で起きた事件に、庚午事変と呼ばれるものがある。
明治3年(1870年)、当時の徳島藩淡路洲本城下で、洲本在住の蜂須賀家臣が、筆頭家老稲田邦植の別邸や学問所などを襲った事件である。

徳島藩は蜂須賀家が治めていたが、淡路島は戦国期に蜂須賀家と同格の盟友だった稲田家が統治していた。
稲田氏は徳島藩の家老ということになってはいたが、1万4千石という大名並みの禄高があり、多くの家臣をかかえていた。
いわば独立した藩のような立場であり、そのため主家である徳島蜂須賀家との間には、長年に渡る確執や差別があった。
それが顕在化したのが、幕末の動乱であった。
阿波徳島蜂須賀家は佐幕派であったが、稲田家は尊王派となって、討幕運動に積極的に加担していた。
そのため両者の対立は、さらに深刻なものとなっていった。
そして維新後版籍奉還が行われた際、稲田家が分離独立を画策するや、対立は決定的なものとなり、事件は起こったのである。

以上が庚午事変のあらましであるが、結局この事件は維新政府の逆鱗に触れることとなり、徳島藩、稲田家双方に対して厳しい処分が下されることになる。
蜂須賀側は首謀者10人が切腹、20数人が八丈島へ流され、稲田家は北海道日高国静内郡への移住開拓が申し渡された。
以後、稲田家の家臣たちによる酷寒の地での厳しい開拓者生活が始まるのである。
こうした歴史的背景を基に書かれたのが、「お登勢」という小説である。
貧農の娘・お登勢が、運命に翻弄されながらも、力強く一途に生き抜いていく姿を追うことで、明治という激動の時代を描こうとしたものである。
正・続合わせて1700枚に及ぶ長編で、正編は1968年から69年にかけて毎日新聞に連載、続編は1972年から73年にかけて北海道新聞に連載された。
また2001年にはNHK金曜時代劇として、ドラマ化されている。
なかなか良質のドラマで、強く印象に残っている。
このドラマを観たことで、初めて庚午事変について知ったわけだが、今回原作を読むことで、さらに詳しく知ることができた。
また維新後の北海道の開拓の厳しい歴史についても同様で、興味は尽きない。

なお2006年に映画化された吉永小百合主演の「北の零年」も、同様の歴史を背景に作られたものである。

それにしても明治維新については、まだまだ知らないことがたくさんある。
今回この小説を読んで改めて思った次第である。


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