風に吹かれて

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Category: 日本映画

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映画「そこのみにて光輝く」

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海炭市叙景」に続く佐藤泰志の小説の映画化作品。
昨年度のキネマ旬報日本映画のベスト1に選ばれた作品である。
「海炭市」を観たのは、2012年のこと。
暗く沈んだ内容に、些か辟易しながら観た記憶があるが、この映画も印象は変わらない。
どちらも佐藤泰志の故郷・函館を舞台にしている。
「海炭市」は季節が冬だったが、こちらは夏の函館を舞台に描かれている。
その違いが、内容の悲惨な印象を幾分和らげてくれてはいるが、それでも全体の印象は沈んで暗い。
それがラストのふたりに降り注ぐ朝焼けによって、微かな希望の光を象徴させるという仕掛けになっているのだろうが、その狙いには乗ることはできかった。
その大きな原因のひとつは、細部に納得できないものが多すぎたということである。
それがいかにも作り物めいたものばかりで、登場人物たちの生きにくさ、絶望感に説得力がなく、薄っぺらいものにしか感じられなかったのである。
そうなると、もう映画の世界に入って行くことは困難であった。
そして最後までそうした気分を拭えないままに、映画は終わってしまったのである。

それでも見るべきものが、まったくなかったというわけではない
そのひとつが主役ふたりと、準主役の菅田将暉の熱演である。
とくに菅田将暉の存在感には、目を見張るものがあった。
見たことのある俳優だとは思ったが、最後まで思い出せなかった。
後で調べてみると朝ドラ「ごちそうさん」で、主人公たちの長男役を演じた役者だった。
まったく正反対の役柄だったこともあって、すぐには思い出せなかったのだ。
このキャラクターを見ているうちに、ふと昔観た映画「祭りの準備」を思い出した。
年齢は違うものの、この映画で演じた原田芳雄のイメージに重なって見えてきたのである。
若くして落ちこぼれ、主人公に野良犬のように纏わりつくやくざな若者を、活き活きと演じている。
何の能力もなく、ただ日々を無為に過ごすだけの行き場のない若者。
けっしてうまい演技というわけではなく、時にオーバーになりながらも、その熱演から目が離せなかった。

原作の小説は、1990年に佐藤泰志が書いた初の、そして唯一の長編小説である。
第2回三島由紀夫賞の候補となったが、落選であった。
ちなみに彼は芥川賞にも5回候補になりながら、結局受賞することはなかった。
「海炭市叙景」「そこのみにて光輝く」と、これらの映画化作品には、満足することはできなかったが、佐藤泰志という作家にはなぜか強く惹かれるものがある。
その心の闇を覗いてみたいという気持ちが強くなってきた。
近々これらの原作を読んでみたいと思っている。


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