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Category: 読書

Tags: エッセイ・評論  

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平野啓一郎「本の読み方 スロー・リーディングの実践」

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本についてのエッセイや評論を時々無性に読みたくなる。
読書というのは基本的には、面白く読めればそれでいいと思うが、それでもさらに深く読みたい、もっとよく知りたいと思う気持ちも一方にはある。
そうした気持ちに応えてくれるのがこうした本である。
最近読んだその種の本には、松岡正剛「多読術」、齋藤慎爾「読書という迷宮」、久世光彦「書林逍遥」などがあり、いずれも興味深く読んだ。
そして今回手に取ったのが、平野啓一郎著「本の読み方 スロー・リーディングの実践」という新書版である。
小説家・平野啓一郎が、これまでの読書遍歴のなかで、<これは有効だったという読書方法>を紹介したものである。

平野啓一郎と云えば、京都大学在学中に書いた小説「日蝕」で芥川賞を受賞、「三島由紀夫の再来」と謂われた作家である。
難解な小説を書く作家と言われている。
気になる作家ではあるが、そんな評価からこれまで手に取ることはなかった。
だがこの本は小説とは違って、「新書」であり、また小説家がどんな本の読み方をしているのかという興味もあって読んでみたのである。

この本の言わんとするところは、「スロー・リーディングの勧め」ということである。
「スロー・リーディング」とは即ち精読、熟読、さらには同じ本を二度、三度と繰り返し読むことである。
特に小説を読む際には、有用な方法だと説いている。
そしてそのことの方法と有効性を、様々な例を挙げて実践的に説いている。
ことさら目新しい説というわけではないが、小説家らしい本の書き方や読み方が散見されて興味深い。
「なるほど小説には、こういう工夫や仕掛けがしてあるのか」といった発見があって、今後の読書の参考になりそうだ。
いくつかヒントになる言葉や示唆に富んだ文章などがあるので、参考のために記しておく。
普段何気なく無意識ににやっていることなどもあるが、こうやって書かれたものを読んでみると、改めて納得してしまう。

<文章がうまくなりたいと思う人は、スロー・リーディングしながら、特に好きな作家の助詞や助動詞の使い方に注意することをおすすめする。それでリズムが変わるし、説得力も何倍にもなる。(p61)>

<本を読む喜びの一つは、他者と出会うことである。自分と異なる意見に耳を傾け、自分の考えをより柔軟にする。そのためには、一方で自由な「誤読」を楽しみつつ、他方で「作者の意図」を考える。という作業を、同時に行わなければならない、これは、スロー・リーディングの極意とも言えるだろう。(p70) 「創造的な誤読」>

<スロー・リーディングの有効な技術の一つとして、人に話すことを想定して読むというのがある。読後に誰かに説明することを前提に本を読んでいくと、分からない部分は読み返すようになり、理解する能力も自然に高まっていく。(p86)>

<小説の読み方に「正解」はない。「作者の意図を探る」ことは間違いなく有意義だが、必ずしもそれだけに拘束される必要はない。作者の意図を理解しようとするアプローチと、自分なりの解釈を試みようとするアプローチ、常にこの二本立てで本を読み、作品によってはその比重を変える。これが恐らくは、最もスマートな戦術だ。(p158)>


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還暦という節目を迎え、何か新しいことを始めようとブログを開設しました。
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