風に吹かれて

My Life & My Favorite things

Category: 読書

Tags: 角田光代  

Comment (0)  Trackback (0)

角田光代 「平凡」

heibon.jpg

「もうひとつ」「月が笑う」「こともなし」「いつかの一歩」「平凡」「どこかべつのところで」の6つの短編が収録されている。
文芸誌の年始号に年に1作づつ、6年間にわたって書かれたものである。

人生は様々な選択の積み重ねである。
その選択が違っていたならば、もしあの時、ああいう選択をしなかったなら、今とはまた違った人生を歩んでいるかもしれない。
そんな「もしかしたら」をテーマに書かれた短編集である。

後悔のない人生なんてない。
どんな風にやろうとも人間は後悔するようにできている。
また考えても詮無いことなのに考えてしまうというのは、人間の弱さであり諦めの悪さである。
この小説の登場人物たちは、それぞれ今の状況に不安や苛立ちを感じている。
そんな精神状態が自然と過去の選択に疑問を投げかけることになっていく。
そしてあったかもしれない架空の人生と現在の自分との間で思い惑うのである。
謂わば後ろ向きの思考だが、時にはそれが救いになることもある。
「月が笑う」「どこかべつのところで」がそれである。
こういう話を読むと、心の中に灯りが点されたような気分になってくる。

そういえば同じような着想で作られた映画を以前観たことがあった。
グウィネス・パルトロー主演の「スライディング・ドア」という映画である。
ドアが閉まりかけた地下鉄に乗ることができた自分と、乗れなかった自分を同時進行で描いた映画だったが、この小説を読んで、まず最初に思ったのはその映画のことであった。
洋の東西を問わず、人は同じようなことを夢想するものである。

深刻にならず、しかし軽くもなく、それでいて人生のあれこれをじっくりと考えさせてくれる上質の短編集であった。


にほんブログ村 本ブログへ 
↑ クリック、お願いします。 ↑
スポンサーサイト
テーマ : 読んだ本の感想等  ジャンル : 小説・文学

Newer Entry小沢昭一「思えばいとしや“出たとこ勝負”」 Older Entry薪小屋をもうひとつ
Comments






カレンダー
04 | 2017/05 | 06
- 1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30 31 - - -
プロフィール

cooldaddy

Author:cooldaddy
住んでいるところ:青森県弘前市
出身地:香川県
年齢:今年(2008年)還暦です。
性別:男

還暦という節目を迎え、何か新しいことを始めようとブログを開設しました。
趣味のこと、生活のこと、心に残ったことなど、My Favorite thingsを、気ままに書いていこうと思います。
末永くおつき合いください。

映画サイト「マイ・シネマ館」もやっています。
こちらもよろしく。

ランキングサイトに参加しています。
もしよければクリック、お願いします。↓
ブログランキング・にほんブログ村へ 

cooldaddyの本棚
FC2ブログランキング
ブログ内検索
QRコード
QRコード

1234567891011121314151617181920212223242526272829303105 2017