風に吹かれて

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Category: 読書

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原田マハ「楽園のカンヴァス」

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以前から読みたかった原田マハの「楽園のカンヴァス」。
人気作ゆえに図書館ではなかなかお目にかかることがなかったが、ようやく書棚に並んだので借りてきた。

ルソーとピカソという20世紀を代表するふたりの天才画家の関係を描いたアートミステリーである。

作者の原田マハは、かつて美術館のキュレーターとして働いていたことがあるそうだ。
その経験に裏打ちされた内容は、美術ファンならずとも、大いに好奇心を刺激されるところである。
大美術展の裏側でどんな仕事や駆け引きがなされているか、経験者だからこそ書けたであろう美術界の舞台裏が興味深い。

アンリ・ルソーの最後の作品は「夢」である。
その作品とうりふたつの幻の作品「夢をみた」の真贋を巡って、MoMAのアシスタント・キュレーター、ティム・ブラウンと日本人研究者、早川織江の2人が競うというのが物語の骨子だが、そのなかで若き日のピカソと無名の画家ルソーとの隠された関係が明らかにされていく。
さらにルソーの絵のモデルであり、永遠のミューズであるヤドヴィガとその夫、そして詩人のアポリネールなどが絡み、20世紀美術の変革期であった当時の熱気が伝わってくる。

アンリ・ルソーは遅咲きの画家であった。
長年パリ市の税関の職員を務めていた彼が、画家として本格的に出発したのは、税関を退職した49歳の時からであった。
しかし遠近法を無視し、一見幼児が描いたようにも見える彼の絵は、生前正当に評価されることはなかった。
「日曜画家」、「税関吏」などと呼ばれて揶揄されるばかりであった。
そんな彼の絵の数少ない理解者のひとりが、パブロ・ピカソであった。
早くからルソーの絵の革新性を見抜いていたピカソは、貧しい生活の中で懸命に絵を描き続けているルソーを何くれとなく気遣い続ける。
そんなふたりの関係が克明に描かれていく。
そしてその交流の中から生み出されたと思われる幻の作品「夢をみた」の謎が、次第に浮かび上がってくるのであった。

原田マハの小説を読むのは「キネマの神様」に続いてこれが2冊目である。
「キネマの神様」は映画に対する愛に満ちていたが、こちらは美術への愛に満ち溢れている。

直木賞候補作、そして山本周五郎賞受賞作である。


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