風に吹かれて

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Category: 読書

Tags: エッセイ・評論  

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齋藤慎爾「読書という迷宮」

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何か面白い本がないかと探すとき、最近はネットで検索することが多い。
手っ取り早く探し出せるという意味では至極便利である。
しかしこれで探すとなると、どうしても一般的に評価されている分り易いものばかりに集中してしまうきらいがあって、いささか物足りない。
そうした時〈書評〉集などを無性に読みたくなってくるのである。
そうやって借りたのが、この本であった。

著者の齋藤慎爾氏は俳人である。
さらに編集者でもあり、文芸評論家でもある。
無類の「読み巧者」として知られた人だそうだ。
そのことをこの本の案内で知ったが、なるほどそういわれるのも納得の深い内容であった。

「出版ニュース」誌に1990年から連載されたもののなかから厳選された52篇が収められている。
大家から無名の作家まで様々な作品が採りあげられているが、そのジャンルは詩、評論、小説、エッセイ、戯曲、映画、音楽など多岐に亘っている。
どれを読んでも興味深く、知的好奇心を大いに搔き立てられた。
そしてぜひ読んでみたいという気持ちにさせられた。
まさに「読書という迷宮」に足を踏み入れて過ごした至福の時間であった。

著者による後書には次のような味わい深い言葉が書かれている。
これを読むことでこの本の魅力の一端に少しでも触れることができるのではなかろうか。
参考までに書き記しておく。

<百人がいれば百人の読解が一冊の本について成り立つように、〈書評〉集を購入する理由もひとそれぞれであろう。ちなみに私は、〈書評〉集の著者が取りあげる作家・作品にまず注意する。目次に自分のこころをかって震わせた本が一冊でもあったら、衝動買いをしてしまう。その〈書評〉集を介して、私は出会いの力学---書評家と作家と自分との三位一体となった至福を味わう。これ以上の何を望みえよう。
 私は常々、詩人真壁仁の「美しき邂逅のために遍歴せよ」よいう章句を愛誦している。邂逅(出会い)の対象は、師・友人・恋人・映画・書物など何でもいい。だがこの章句は一期一会ともいうべき運命的な出会いには、内的遍歴が必要であることを告知している。自分と言うものをつかみきれず焦燥していた学生時代、私は『マルドロールの歌』のロートレアモンのように、自分に似た魂を探しあてるためには巷のゴミ箱の中を浚うことも辞さずというふうに振舞っていたように思う。〈書評〉集を買う読者の行為の心の深層には、その種の孤独な内的衝迫というものが息づいているのではないだろうか。書評の内容、書評子の一知半解などはそこでは問題にもならない。ある「一冊」を取りあげているその心根が、こちらの琴線を響かしてくれさえすれば!!その「一冊」を介して、私たちは未知の作者と「生きるとはわかち合うことだ」(エリュアール)という詩の真実を確認することができるのである。>


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Author:cooldaddy
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年齢:今年(2008年)還暦です。
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還暦という節目を迎え、何か新しいことを始めようとブログを開設しました。
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