東野圭吾「白夜行」

東野圭吾の小説の人気ランキングをすれば、ベスト5には必ず入るという作品である。
その人気のほどは、累計200万部以上を売り上げているという数字からも伺える。
またドラマ化や映画化がされていることも、それを裏付けている。
物語は1973年に大阪で起きた質屋殺しから始まる。
しかしこの事件は多くの謎を残したまま迷宮入りになってしまう。
そこから被害者の息子・桐原亮司と容疑者の娘・西本雪穂の、その後19年間の物語が綴られていくことになる。
この小説は、先日読んだ「幻夜」と登場人物のキャラクターや事件の展開など、多くの点で似通ったものがある。
そこから「幻夜」は「白夜行」の続編ではないかと言われているが、作者はこのことについて次のように語っている。
<どちらから読んでもらってもいいのですが、両方読めば両方読んだなりの面白さがあると思います。ただ『白夜行』の「続編」にはしたくなかったので、『幻夜』を書くとき、そこは苦労しました。ズバリ書いてしまうのは無粋。両方を読んだ人同士でいろいろ想像して盛り上がってくれればいいな、と思っています。>
ミステリー作家らしい謎を含んだコメントである。
そして作者の意図した通り、ファンの間では様々な解釈が飛び交い盛り上がる話題のひとつとなっているようだ。
いずれにしても犯罪を足懸かりにのし上がっていこうとする女と、それを陰から支える男という共通の図式によって生み出されたこれらの小説は、両方読むことでさらなる楽しみが生まれるということになるのだろう。
そんな作者の意図に乗っかって、番外の楽しみを享受するのも一興かもしれない。


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