風に吹かれて

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Category: 読書

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山本文緒「なぎさ」

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先日読んだ「本の雑誌」に山本文緒の「なぎさ」という小説が、昨年度のベスト1に選ばれたという記事が載っていた。
興味をひかれたので、読んでみた。
山本文緒の小説を読むのは、これが初めて。
1962年生まれの41歳、『恋愛中毒』で吉川英治文学新人賞、『プラナリア』で直木賞を受賞しており、人間関係の微妙なズレから生じる喪失や慈しみが、彼女の小説の大きなテーマのようだ。
どんな小説なのか、興味深々で読んでみた。

故郷を離れ、今は三浦半島の海辺の町に住んでいる同窓生夫婦の冬乃と佐々井。
そこに、冬乃の妹で元マンガ家の菫(すみれ)が転がり込んでくる。
そして菫が「なぎさカフェ」という名の喫茶店を始めることになる。
そこに菫のボーイフレンドで得体の知れない男モリと、佐々井の職場の後輩で元お笑い芸人の川崎が関ってくるという話。

小説は冬乃とモリと川崎の、3人の視点によって語られていく。
そのなかで仕事や結婚、家族といったものが持つ様々な問題が描かれていく。
特別劇的なことが起きるわけではない。
それでもそこそこ波風が立ち、それぞれの思い惑う姿が淡々と描かれていく。
けっして珍しい話ではない。
誰もが直面しそうなごく当たり前の話ばかり。
それだけに親しみのある手触りが感じられる。
そんな親近感が、この小説の大きな魅力になっている。
そうしたことが、今を生きる女性たちから大きく支持される所以なのではなかろうか。
しかし66歳のおじさんにとっては、いささかかったるい。
数十年前なら、もっと切実に読んだかもしれないのだが。

「なぎさ」とは、これからどうやって生きていこうかと思い惑う人生の岐路、分れ道を象徴している言葉なのだろう。
寄せては返す波を前に人は心細い思いに捉われる。
しかし、いつか確実な一歩を歩みださねばならない時が来る。
その時、人はどう決断し、どう踏み出していくべきなのか。
様々な思いが過ったのであった。


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