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Category: 読書

Tags: ミステリー  

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横山秀夫「64(ロクヨン)」

64rokuyon.jpg

先日の「第三の時効」に続いて、また横山秀夫の小説を読んだ。
「64(ロクヨン)」である。
本年の本屋大賞第2位、昨年の『このミステリーがすごい』では第1位を獲得した小説である。
図書館で予約待ちしていたが、予想以上に早く順番がまわってきた。
さっそく読んでみた。

「第三の時効」と同じくこちらも警察小説である。
ただ「第三の時効」が犯罪捜査の最前線にいる刑事たちを描いていたのとは違って、こちらは広報室勤務の警察官が主人公である。
広報室はいわば事務系の職場である。
さらに「記者の手先」「警務部の犬」などと呼ばれる地味で胡散臭い存在である。
情報の一元化を司る部署でありながら、入ってくる情報と速度は制限されたものであり、それを知る記者たちからは当然のごとく軽視されている。
また同じ警察内部の者たちからも、「記者をおだてて夜な夜な飲み歩く。事件現場に現れても汗一つ掻かず、傍観者然として記者と雑談に興じている。そんな彼らを組織の一員と認める気にはなれな」いなどと見なされている。
そうしたことから広報室は常に記者と警察との板挟みになり、その狭間で翻弄され続けているのである。
その広報室に20年ぶりに出戻り異動させられたのが、主人公の三上である。
それまで長年事件の最前線で捜査を続けてきただけに内心忸怩たる思いをもっている。
そんな三上の前に「64(ロクヨン)」と呼ばれる14年前に担当した誘拐事件の捜査が再び持ち上がってきた。
その扱いのなかでキャリアと地元の対立、また匿名問題をめぐる記者クラブと広報室の関係悪化と、県警内部は混乱の渦に見舞われていく。
そして事件の解決に向かって疾走していく。

最初は登場人物の多さと人間関係がよく判らず、それを把握するために時間がかかり、なかなか前に進んでいかなかったが、事件が佳境に入るや、どんどんと物語に没入していった。
群像劇というものはどうしてもそうした流れにならざるを得ないようだ。
しかしいったん物語に乗ると、後は流れに身を任せるだけでダイナミックな展開に没入することができた。

さすが元新聞記者というだけあって、警察内部のことには詳しく、知られざる内幕がリアルに活写されており、なるほどこういうものかと何度も納得させられた。

ところで作者はこの小説が出版されるまでに7年間のブランクがあったそうだ。
その間、心筋梗塞、鬱、記憶障害などに見舞われ、もう小説は書けないという状態に追い込まれたそうだ。
一時は小説家廃業まで考えたそうだが、それを何とか乗り越え、ようやくにしてこの小説を完成させたのである。
そんな命がけで書いた作者の執念が確実に伝わってくる渾身の一作であった。


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テーマ : 読書記録  ジャンル : 小説・文学

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