風に吹かれて

My Life & My Favorite things

Category: 読書

Comment (0)  Trackback (0)

大崎善生「聖の青春」

satosinoseisyun.jpg

「将棋の子」に続いて読んだのが、「聖(さとし)の青春」であった。
こちらも大崎善生が描いた将棋の世界の話である。
「将棋の子」はプロ棋士を目指しながらも、夢やぶれて将棋の世界を去らなければならなかった少年たちのことを書いたものだったが、こちらはその関門を見事乗り越えてプロの棋士になったある若者のことについて書いたものである。
順番からいけば「聖の青春」が先で、その後に書かれたのが「将棋の子」である。
しかし読んだのは逆であった。
だが結果的には「将棋の子」を先に読んだことで、将棋の世界の厳しさがより詳しく判り、良かったのではなかったかと思っている。

「聖の青春」はネフローゼという重い腎臓病を抱えながらもプロの棋士となり、29歳で夭折した天才棋士、村山聖のことを描いたノンフィクションである。
村山聖は5歳の時にネフローゼを発症、長い入院生活のなかで将棋と出会う。
そしてみるみるうちに実力をつけ、こども名人戦で4回連続優勝、13歳で森信雄棋士に弟子入り、翌年奨励会入りを果たし、17歳にしてプロの棋士となっている。
以後は大型新人として数々の名勝負を繰り広げ、生涯の夢である名人獲得が目の前に迫りながらも、道なかばにしてこの世を去ることになってしまう。

将棋と病、ふたつの敵と闘わざるを得なかった彼の生涯は、まさに壮絶のひと言である。
しかしだからこそ、自らの短い生涯を予感していたかのごとく生き急いだ村山聖の姿に胸を打たれる。

彼を支え続けた家族や師匠、そして友人たちとのエピソードの数々、そこから見えてくる村山聖のユニークな個性には、ときに呆れ、ときに感動させられる。
純な子どもの心を持ったまま成人したような村山聖の個性は、支離滅裂なところがあるものの、それでいて周りの人たちにそれを受け入れさせてしまう大らかさがある。
そんな奇妙な魅力にどんどん惹きつけられていった。
そしていつしか棋士、村山聖のファンとなって彼の対局の応援をするような気持ちになっていったのである。

東の羽生、西の村山と言われ、天才、羽生善治と並び称された怪童、村山聖。
29年という短い生涯ではあったが、けっして夢を諦めず、苦しみに耐えながら最後まで闘い続けた彼の姿を知ることで、深い感動と勇気をもらったのであった。


ブログランキング・にほんブログ村へ 
  ↑ クリック、お願いします。 ↑
スポンサーサイト
テーマ : ブックレビュー  ジャンル : 小説・文学

Newer Entry新鮮な野菜 Older Entry大崎善生「将棋の子」
Comments






カレンダー
07 | 2017/08 | 09
- - 1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31 - -
プロフィール

cooldaddy

Author:cooldaddy
住んでいるところ:青森県弘前市
出身地:香川県
年齢:今年(2008年)還暦です。
性別:男

還暦という節目を迎え、何か新しいことを始めようとブログを開設しました。
趣味のこと、生活のこと、心に残ったことなど、My Favorite thingsを、気ままに書いていこうと思います。
末永くおつき合いください。

映画サイト「マイ・シネマ館」もやっています。
こちらもよろしく。

ランキングサイトに参加しています。
もしよければクリック、お願いします。↓
ブログランキング・にほんブログ村へ 

cooldaddyの本棚
FC2ブログランキング
ブログ内検索
QRコード
QRコード

1234567891011121314151617181920212223242526272829303108 2017