風に吹かれて

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Category: 日本映画

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小沢昭一さん死去

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俳優の小沢昭一さんが先日10日に亡くなった。

小沢昭一という人は、俳優、タレント、エッセイスト、ラジオ・パーソナリティ、芸能研究家、俳人など、様々な顔を持った才人だが、私にとっては、50年代後半から60年代にかけて日活、大映などの映画のなかで、様々な怪演で楽しませてくれた脇役俳優としての印象がいちばん強い。
なかでも川島雄三監督と今村昌平監督の映画に出演した際の存在は忘れがたい。
たとえば川島雄三監督作品だと「幕末太陽傳」、「わが町」、「洲崎パラダイス 赤信号」、「しとやかな獣」、今村昌平監督作品では「果てしなき欲望」、「にあんちゃん」、「豚と軍艦」、「にっぽん昆虫記」など。
そしてそのほとんどが、物語の本筋とはあまり関係のない添景的な人物といったものばかり。
それでいて彼がいるのといないのでは、画面の奥行きがまったく違うものになってしまうといった存在感の大きさを醸し出している。
けっして先頭に立つことはなく、陰で秘かに、しかも全体のバランスを壊すことなく、しっかりと支えるのが、小沢昭一という役者の真骨頂なのであった。
判る人には判るという、まさに通好みの役者であった。

また早稲田大学の同級生で芝居仲間でもあった今村昌平監督とは、その作品のほとんどに出演するという親密な関係であった。
それを象徴するのが、日活から独立した今村監督が、独立プロ第1回作品として撮った「エロ事師たちより・人類学入門」であった。
これは今村監督が長年作品をともにした盟友・小沢昭一のために立てた企画であった。
この映画により小沢昭一はキネマ旬報、毎日映画コンクール、ブルーリボン主演男優賞など、数多くの賞を受賞、後に今村監督の自宅を訪ね、「一生に一度のことだと思いますが、ありがとうございました」と頭を下げたそうだ。

またふたりの監督以外では「痴人の愛」「冷飯とおさんとちゃん」なども強く印象に残る映画であった。
彼には下降癖というか下降趣味というか、埋もれたもの忘れ去られたもの、底辺で蠢くさまざまなものに対する強いシンパシーと愛着を持ち続けた人であった。
彼が演じた人物たちも、ほとんどがそうした種類の人物たちであり、またライフワークであった放浪芸を追い続けたこともそうしたことの表れであったように思う。
またハーモニカを愛し、ほとんど歌われなくなった童謡を復活させようと努めたことや、ラジオ番組「小沢昭一の小沢昭一的こころ」を長年続けたことも、そうしたことの延長線上にあったことなのではなかろうか。
そして地面低く、地べたから批評精神旺盛に世の中を眺め、それを面白おかしく俎上に乗せるということを生涯を通してやり続けたのである。

とにかく遊び心の旺盛な人、生涯遊び心を失わず、心ゆくまで人生を楽しんだ人というのが、小沢昭一という人物に対する私の印象である。
そしてその楽しむ姿を披露することで、われわれファンの心をも楽しませてくれたのである。

数年前に講演のために来弘、軽妙な笑いで語られた講演と、講演後に披露してくれたハーモニカの演奏が、今となっては貴重な思い出である。

ご冥福をお祈りします。
合掌。


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テーマ : 俳優・男優  ジャンル : 映画

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