風に吹かれて

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Category: 読書

Tags: 葉室麟  時代小説  

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葉室麟「散り椿」

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葉室麟の直木賞受賞作品「蜩ノ記」を図書館で予約待ちにしているが、依然として10人待ちといった状態である。
読めるのは、まだまだ先のことになるなあと考えていたところ、受賞後第2作目の「散り椿」を偶然見つけたので借りてきた。
さっそく読んでみたが、面白くていっきに読み終えてしまった。

ある事件で藩を追われた主人公瓜生新兵衛が、妻の死を看取った後、妻の最後の願いをかなえるために、18年ぶりに故郷へ帰って来たところから物語は始まる。
そしてそれが引き金になったように、藩内抗争が再び頭をもたげることになる。
そのなかで、かつて同じ道場で四天王と並び称された旧友たちが、いずれも騒動の犠牲となって死んでいく。
それは「散る椿は残る椿があると思えばこそ見事に散ってゆける」と、今は側用人として藩の重責を担っている、かつての友、榊原采女が呟いた言葉どおりの散り方であった。
普通の椿は花ごと落ちるが、「散り椿」という椿は花びらが一片一片散ってゆくそうだ。
その椿に行く人、去る人、さまざまな武士や女たちの思いを託して物語が語られていく。
そこに込められた深い思いが胸を打つ。
そしてその思いは新兵衛とともに藩の抗争へと巻き込まれることになった甥、坂下藤吾へと託されていくことになる。

藤吾の父、坂下源之進は一年前、使途不明金を糾弾された末に、自害してこの世を去った。
そのため家禄は大きく減らされ、朋輩からは冷たい目で見られている。
そうした屈辱の日々を送っているだけに何とか出世の糸口を探しあて、家を再興することを願っている。
そこへ突如18年前に不祥事から藩を出奔した伯父が帰ってきたのである。
出世を願う藤吾にとって、そうした伯父の存在は迷惑以外の何ものでもない。
当初はやっかい者と蔑んでいたが、藩の抗争に否応なく巻き込まれるなかで、伯父の真価を目にすることになる。
そして、しだいにその人間的魅力に惹き込まれ、男として成長していく。
そうした成長物語がサイドストーリーとしてあるのも、この小説の面白さのひとつである。

久々に胸躍らせて読んだ時代小説であった。


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テーマ : 読んだ本の感想等  ジャンル : 小説・文学

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