風に吹かれて

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近藤史恵「サクリファイス」

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自転車のロードレースが盛んなのはヨーロッパである。
世界最大のレース、ツール・ド・フランスをはじめ、ジロ・デ・イタリア、ブエルタ・ア・エスパーニャなど、名だたるロードレースが目白押しである。
いずれも長い歴史をもつヨーロッパ伝統のスポーツである。
しかし、日本でのロードレースはまだまだ認知度が低く、一般にはほとんど知られることなく行われているというのが実情である。
そんなマイナーなスポーツであるロードレースの世界を舞台に描いたのが、「サクリファイス」という小説である。

作者は近藤史恵、この小説で初めて知った女流作家である。
大阪府出身、大阪芸術大学文芸学科卒業後、1993年に小説家デビュー、主にミステリーを書いているが、歌舞伎にも造詣が深く、歌舞伎を題材にした作品も数多く書いている。
果たして女性がロードレースの世界をどんな風に描くのだろうと、読む前には幾分危惧する気持ちもあったが、読み始めると、作者が女性などということは、どこかに行ってしまい、どんどんと物語の世界に引き込まれていった。

ロードレースという競技はチームを組んで走る団体競技ではあるが、また個人競技でもある。
チームのなかにはエースと、それをサポートするアシストがおり、アシストはあくまでもエースを勝たせるために走る陰の存在である。
自分の成績を犠牲にしても、エースをサポートする。
それがアシストとしての役割である。
主人公白石誓はそんなアシストとしての役割を忠実に守る新人レーサーである。
そして「アシスト」として走ることに生きがいと充実感を感じている青年である。
彼は高校時代は陸上の中距離の選手であった。
インターハイで優勝し、将来はオリンピックも夢ではないと期待されていた。
しかしそうした期待に次第に重圧を感じるようになっていく。
そんなときに出合ったのが、ロードレースであった。
そしてエースとアシストという立場を守りながらレースを展開していくロードレースという競技に言い知れぬ魅力を感じ、陸上競技からの転向を決意したのであった。

「サクリファイスsacrifice」とは「 いけにえ、犠牲」という意味である。
この小説ではエースとアシストとの関係を表している。
そのエースとアシストとの間に生まれるさまざまな確執と葛藤を軸に、物語は意外な結末へと進んでいく。

ロードレーサーに乗り、自転車を趣味としている自分にとって、実に興味深い小説であった。
特別心躍らせて読み進んでいった。
(昨晩の強風で夜中に目が醒めたので、そのまま朝まで一気に読んでしまった。)
しかしロードレースに関心のない人が読んでも、じゅうぶんに楽しめる内容である。
青春小説としての側面とミステリーとしての側面をもっているので、そうした小説好きにはおススメの一冊である。
なお続編に「エデン」という小説もあるとのこと。
こちらもいずれ読んでみたいと思っている。

またアニメ「茄子 アンダルシアの夏」などをいっしょに観るのも、いいかもしれない。
よりロードレースの世界が分かって参考になるだろう。


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テーマ : 読書記録  ジャンル : 小説・文学

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