Category: 日本映画
映画「仁義の墓場」

渡哲也が亡くなった。
享年78歳、直腸がん、大腸がん、心筋梗塞の手術のほか胸膜炎、呼吸器疾患など、長きにわたる病の連続、その闘いの末の逝去であった。
ご冥福をお祈りいたします。
渡哲也主演の映画の中でいちばん印象に残っているのは、日活作品ではなく、1975年に製作された東映作品「仁義の墓場」である。
戦後の混乱期を狂犬のように生き、30年という短い生涯に自ら幕を引いて逝った、伝説のヤクザ・石川力夫の壮絶な生き様を描いた作品である。
それを深作欣二監督が躍動感あふれる映像で描き上げている。
主人公石川力夫はやくざさえもが手を焼くやくざ。
いちど走り出したら誰も止めることはできない。
まさに「荒ぶる魂」を抱え持った狂犬のようなやくざである。
それを渡哲也がただならぬ殺気を漲らせて演じている。
その狂気の姿には、ただただ息を呑むしかない。
日活での「無頼」シリーズのやくざ人斬り五郎の殺気も凄かったが、それを上回る迫力である。
そして自滅への道をひたすら走り抜けてゆく。
最後に残された石川力夫の辞世の句「大笑い 三十年の馬鹿騒ぎ」が哀しくも強烈な印象として今も残っている。


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