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風に吹かれて

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Category: 日本映画

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映画「夜空はいつでも最高密度の青色だ」

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いわゆるボーイ・ミーツ・ガールものではあるが、よくある恋愛ものとは一線を画した作品。
それらがもつ輝きや感傷といったものはここにはない。
ドラマチックなものとは無縁の、地味で不器用な物語。
しかしそこには今を生きるリアルな男女の姿がしっかりと捉えられている。

青年・慎二(池松壮亮)は建設現場で日雇い労働者として働いている。
古いアパートで一人暮しをしており、左目がほとんど見えない。
そんなこともあって社会に適応できないでいる。
唯一交流があるのは、建設現場での同僚3人。
年上の智之(松田龍平)、中年の岩下(田中哲司)、そして出稼ぎフィリピン人のアンドレス(ポー ル・マグサリン)。
その3人と出かけたガールズバーで、美香(石橋静河)という女性と知り合いになる。
美香は病院に勤務する看護師だが、夜になるとアルバイトとしてガールズバーで働いている。
彼女も心に鬱屈や不安を抱えて生きている。
そんなふたりが、偶然の出会いを繰り返すなかで親しくなっていく。
そして東京という都会の中で自分の居場所を見失ったふたりが、真剣に向き合うなかで、次第に自分達の居場所を見つけていく、というのがおおまかなストーリーである。

この映画を観ているうちに、以前観た「オーバーフェンス」のことをふと思い出した。
どちらの主人公も先行きの見えない人間で、偶然知り合い、その触れ合いの中で確実なものを手にするようになっていく、という共通点からである。
またふたりが知り合うきっかけになったのが、女性が働くバーというのも共通するところ。
さらに慎二が働く工事現場の同僚たちの存在が重要な要素として描かれるが、それも「オーバーフェンス」の職業訓練所と共通するものがある。
そういえば工事現場の同僚のひとりを松田龍平が演じているが、「オーバーフェンス」でも同僚のひとりを松田龍平の弟である松田翔太が演じている。
また夜の町を、主人公ふたりが自転車に乗って走るという印象的な場面が出てくるのも、共通するところ。
「オーバーフェンス」でオダギリ・ジョーが移動手段として使っているのが自転車だったが、この映画でも石橋静河が同じく自転車を移動手段として使っている。
そんないくつかの共通点から出てきた連想であった。

監督および脚本は「舟を編む」などの石井裕也。
原作は2008年に21歳で中原中也賞を受賞した注目の詩人・最果(さいはて)タヒの同名の詩集。
それゆえ物語自体はまったくのオリジナルで、詩集のなかで使われた言葉がいくつかセリフのなかに挿入されることで、その世界観を表わしている。
昨年度のキネマ旬報日本映画ベスト・テン第1位、そして脚本賞と新人女優賞(石橋静河)を受賞している。
今観るべき、そして今という時代をリアリティ豊かに描き出した「最高密度」の作品である。


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