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風に吹かれて

My Life & My Favorite things

Category: 日本映画

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映画「散歩する侵略者」

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風変わりな映画である。
SFと言うには、ちょっと戸惑いがある。
といってリアルな物語というのでもなく、何とも形容しがたい。
簡単にいうと、宇宙人による地球侵略の映画なのだが、よくあるSFもののような宇宙船や宇宙人が現れることはなく、地球人との戦闘が描かれるわけでもない。
映画の大半はごく普通の日常生活が描かれるだけ。
そこに普段の日常とは違ったものが唐突に侵入してくる。
侵略という事実は、単にセリフによって知らされるだけ。
宇宙人の実像はなく、宇宙人に体を乗っ取られた人物がそのセリフを口にするが、そんな冗談ともつかないような言葉は、誰も本気にしない。
だが確実に侵略の日は近づいている。
そんな不思議な映画である。

伊坂幸太郎の「終末のフール」や「フィッシュ・ストーリー」といった小説と似た肌触りというか設定である。
これらの小説もリアルな日常生活が主な舞台として描かれるが、そこに地球滅亡という危機がからんでくる。
その事実を省くと、ごく普通の小説と何ら変わらない。
そこがこの映画と共通するところだ。

主人公を演じているのは、松田龍平、そしてその妻を長澤まさみ。
松田龍平は宇宙人に体を乗っ取られ、地球侵略のために地球人がもつさまざまな概念をリサーチするという役目を担っている。
彼のヌーボーとした地の部分が、役によく合っており、なかなかの適役。
そして訳の分からなくなってしまった夫を持て余しながらも、見捨てることもせず、地球滅亡の最後まで彼から離れずにいる妻役をよく演じて、こちらも適役。
このふたりに絡むのが、ちょっと斜に構えた記者を演じる長谷川博己。
彼も宇宙人に体を乗っ取られた若いふたり(高杉真宙、恒松祐里)と行動を共にしている。
その5人を中心に追いつ追われつの逃走劇があり、そしてついに地球侵略の日を迎えることになる。
そして意外な結末へと向かってゆく。

監督は黒沢清。
得意のホラー演出を随所に見せながら、徐々に危機感を募らせていくところは、やはりベテランならではの味わいがある。
不安や不可解なことの多い今の時代、ひょっとするとこういうこともありかも、と思わせるような説得力がある。
終末感を漂わせる画面に釘付けになってゆく。
そして張り詰めた後に来る静かなラストでは、ホロリとさせられた。
荒唐無稽なだけでは終わらせない。
さすがである。


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Category: 外国映画

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映画「パターソン PATERSON」

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愛すべき小品。
繰り返される単調な日常を淡々と描いただけの映画なのに、なぜか愛おしくなってしまう。
朝決まった時間になるとベッドから起き出して、キッチンでシリアルだけの朝食をとる。
弁当箱ひとつを下げてバス会社まで歩いて出勤、定時になるとバスを発車させる。
そして運転中のバスの中で交わされる乗客たちのたわいない会話に耳を傾ける。
仕事が終わると定時に帰宅、夕食の後は、愛犬マーヴィンを連れて夜の散歩に出かける。
そして行きつけのバーで1杯だけビールを飲む。
そんな判で押したような日常が、淡々と繰り返されていく。
たったそれだけの映画が、何とも愛おしくて心温まる。

主人公はパターソンに住むパターソンという名前の男。
年齢は30代半ば、もしくは後半くらいか。
市バスの運転手をしており、イスラム系の妻ローラと小さな家で暮している。
子供はいないが、マーヴィンという名のブルドッグを飼っている。

パターソンはバスの運転手だが、詩人でもある。
一冊のノートを常に携帯しており、時間を見つけてはノートに詩を書きつけていく。
その詩が町の風景とダブって時々画面に挿入される。
日本でいえば、俳句や短歌をものにするシロート詩人といったところ。
それが判で押したような日常の、鮮やかな句読点になっている。
彼は自分が書く詩で有名になりたいとか、誰かに認められたいといった野心を持って書いているわけではない。
どこかに発表しようといった気持ちなどはなく、唯一妻に読んで聴かせるだけ。
一方妻は対照的に野心満々で、カップケーキを焼いて近く開かれるバザーに出品、それを契機にいずれ店を開いて成功させたいと考えている。
またデザイン好きで、服やカーテンを自作したり、室内を塗り替えるなど、まことに行動的というか衝動的。
パターソンの弁当も彼女が作っているが、そのユニークさもなかなかのもの。
さらに通販でギターと教則本を買って、歌手として成功したいとも考えているが、どこまで本気なのか判然としない。
無邪気な夢見る少女と変わりがないようにも見える。
そんな陽気で楽天的な妻と、穏やかで感情を露わにしないパターソンとの取り合わせが微笑ましい。

パターソンは、ニュージャージー州にある人口15万人ほどの町。
古い町で、静かで寂れた街並みが、イギリスの古い炭鉱町のように見える。
町の中にグレートフォールズという雄大な滝が流れていて、主人公パターソンはこの滝を見るため、しばしばそこを訪れる。
そしてそこで静かに詩作をする。
古びて薄汚れた町だが、いかにも住み易そうだ。
またこの町は様々な有名人を輩出しており、行きつけのバーではパターソンに関連した人物たちの写真や雑誌や新聞記事の切り抜きが、「殿堂の壁」と名づけられた壁に貼られている。
たとえば凸凹コンビで有名なアボット・コステロのひとり、ルー・コステロ。
パターソンと妻が観に行く映画も、彼が出演している「凸凹フランケンシュタインの巻」である。
さらに黒人ボクサーのルービン・ハリケーン・カーター。
殺人の冤罪で逮捕されたという人物で、そういえば、以前観た「ハリケーン」という映画では、デンゼル・ワシントンが演じていたことを思い出した。
また詩人のアレン・ギンズバーグもこの町の出身。
さらに詩人のウィリアム・カーロス・ウィリアムズが、この町を題材に「パターソン」という詩集を出しているが、主人公パターソンは、その詩集を座右の書として大切にしている。

こうした背景の中で月曜から始まって月曜に終わるパターソンの単調な生活が描かれていくわけだが、これといって大きな事件が起きるわけでも、ドラマチックなことが起きるわけでもない。
それでいて目が離せないのは、彼が代わり映えのしない毎日をけっして不満に思っているわけではなく、いやむしろそんなささやかな生活を愛おしくさえ思っていることが伝わってくるからである。
詩人としての目を通して見れば何もないと思える日常が、別な輝きをもって見えてくるのだろう。
たとえば映画の冒頭で語られる詩は、彼が集めているマッチの中の「オハイオ印のブルーチップ」というどこにでも転がっているようなマッチについて書くことから始まっているが、それが次第に「愛の詩」という詩に結実されていく。
また朝ベッドで目が醒めた奥さんが「双子の夢を見た」と呟けば、町のあちこちでいろんな双子たちと出会うようになる。
それが幻想なのか、妄想なのか、あるいは現実なのか、判然とはしないが、ついつい笑いを誘われる。
そしてそのなかでいちばん印象に残るのが、詩を書く少女との出会い。
エミリー・ディキンソンの詩が好きだというこの少女が、自作の詩を読んで聴かせる。
その詩にパターソンは強い印象を受け、触発される。
そこに現れたのが少女の母親と姉、すると姉妹はなんと双子であった。
ここでもつい笑いを誘われる。
こうした微苦笑は、映画のあちこちに散見され、いい味付けになっている。
そして心優しい人たちとの交流。
バーのマスターであるドク、別れ話でもつれているマリーとエヴェレット、コインランドリーで自作のラップを唄う男、皆アフリカ系アメリカ人ばかり。
そしていつも不平不満ばかりを口にする同僚のインド系アメリカ人。
静かな日常のなかで、彼らとの交流だけが小さなさざ波のような変化をもたらしている。

パターソンを演じているのは、アダム・ドライヴァー。
今いちばん気になる俳優である。
最近映画でよく見かけるが、いちばん最初に彼を見たのは、「フランシス・ハ」という映画だった。
以来気になる俳優のひとりになった。
そして最近では「ヤング・アダルト・イン・ニューヨーク」や「沈黙」といった映画で出会い、そして今回のこの映画である。
パターソンはまさに適役。
そして妻のローラを演じているのが、イラン人女優のゴルシフテ・ファラハニ。
調べてみると、パターソンという町はイスラム系の人が多く住む町として知られている。
そんなところから、イラン人女優の彼女が起用されたのだろうが、この映画に登場する人たちが全員マイノリティというところは、パターソンの偏見をもたない人間性を表していて好感が持てる。
そして特筆すべきは、愛犬マーヴィンを演じたブルドック。
何とも愛らしく、何度も笑いを誘われた。
主役のふたりに次ぐ存在、いやそれ以上の存在感を示した演技であった。
この映画には欠かせない重要なキャラクターになっている。
こんな可愛い犬と過ごせるのであれば、やはりそれは何物にも代えがたい生活ということになるだろう。
そう思わせる存在であった。


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映画「夜空はいつでも最高密度の青色だ」

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いわゆるボーイ・ミーツ・ガールものではあるが、よくある恋愛ものとは一線を画した作品。
それらがもつ輝きや感傷といったものはここにはない。
ドラマチックなものとは無縁の、地味で不器用な物語。
しかしそこには今を生きるリアルな男女の姿がしっかりと捉えられている。

青年・慎二(池松壮亮)は建設現場で日雇い労働者として働いている。
古いアパートで一人暮しをしており、左目がほとんど見えない。
そんなこともあって社会に適応できないでいる。
唯一交流があるのは、建設現場での同僚3人。
年上の智之(松田龍平)、中年の岩下(田中哲司)、そして出稼ぎフィリピン人のアンドレス(ポー ル・マグサリン)。
その3人と出かけたガールズバーで、美香(石橋静河)という女性と知り合いになる。
美香は病院に勤務する看護師だが、夜になるとアルバイトとしてガールズバーで働いている。
彼女も心に鬱屈や不安を抱えて生きている。
そんなふたりが、偶然の出会いを繰り返すなかで親しくなっていく。
そして東京という都会の中で自分の居場所を見失ったふたりが、真剣に向き合うなかで、次第に自分達の居場所を見つけていく、というのがおおまかなストーリーである。

この映画を観ているうちに、以前観た「オーバーフェンス」のことをふと思い出した。
どちらの主人公も先行きの見えない人間で、偶然知り合い、その触れ合いの中で確実なものを手にするようになっていく、という共通点からである。
またふたりが知り合うきっかけになったのが、女性が働くバーというのも共通するところ。
さらに慎二が働く工事現場の同僚たちの存在が重要な要素として描かれるが、それも「オーバーフェンス」の職業訓練所と共通するものがある。
そういえば工事現場の同僚のひとりを松田龍平が演じているが、「オーバーフェンス」でも同僚のひとりを松田龍平の弟である松田翔太が演じている。
また夜の町を、主人公ふたりが自転車に乗って走るという印象的な場面が出てくるのも、共通するところ。
「オーバーフェンス」でオダギリ・ジョーが移動手段として使っているのが自転車だったが、この映画でも石橋静河が同じく自転車を移動手段として使っている。
そんないくつかの共通点から出てきた連想であった。

監督および脚本は「舟を編む」などの石井裕也。
原作は2008年に21歳で中原中也賞を受賞した注目の詩人・最果(さいはて)タヒの同名の詩集。
それゆえ物語自体はまったくのオリジナルで、詩集のなかで使われた言葉がいくつかセリフのなかに挿入されることで、その世界観を表わしている。
昨年度のキネマ旬報日本映画ベスト・テン第1位、そして脚本賞と新人女優賞(石橋静河)を受賞している。
今観るべき、そして今という時代をリアリティ豊かに描き出した「最高密度」の作品である。


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映画「新感染 ファイナル・エクスプレス」

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韓国初のゾンビ映画である。
そして舞台となるのが、ソウルからプサンへと走る高速鉄道の車内という、これまでになかった設定で、それによってパニック映画、サバイバル映画に加えて密室劇の面白さも味わえるという仕掛けになっている。
どちらかといえば苦手なゾンビ映画だが、それでも韓国映画歴代第12位、1,000万人以上の観客動員を果たした人気の映画ということで、観ることにした。
そして評判通りの面白いエンターテインメントであった。

特筆すべきはそのスピード感。
ゾンビといえば、足を引きづりながら覚束なく歩くというのが、お決まりだが、この映画はそこが違う。
確かに普段はゆっくりと動いているが、それでもいったん獲物を見つけると突然動きを速め集団で雪崩をうつように襲ってくる。
そしてその素早い動きが新幹線のスピードと連動、映画全体がまさにジェットコースターのようなスピード感で疾走、息つく暇もなくこれでもかと予想外の展開をみせて飽きることがない。
そうしたアクションに加え、登場人物たちに魅力的な人物を配し、さまざまな人間ドラマを見せていく。
パニック映画、サバイバル映画などではよくあるお決まりの手法ではあるが、その手際よさ、演出のうまさはなかなかのもの。
そのうまさに乗せられ、何度も胸を熱くさせられたのである。
それほど多くのゾンビ映画を観ているわけではないが、(最近では日本映画の「アイアムアヒーロー」やアメリカ映画の「ワールド・ウォー・Z」など)まさかゾンビ映画で泣かされるとは。
そんなわけで予想以上の面白さに大満足の映画であった。


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プロフィール

cooldaddy

Author:cooldaddy
住んでいるところ:青森県弘前市
出身地:香川県
年齢:今年(2018年)70歳です。
性別:男

還暦(10年前)という節目を迎え、何か新しいことを始めようとブログを開設しました。
趣味のこと、生活のこと、心に残ったことなど、My Favorite thingsを、気ままに書いていこうと思います。
末永くおつき合いください。

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