風に吹かれて

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Category: 外国映画

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映画「弁護人」

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韓国は映画作りが盛んな国だ。
そしてその質も高い。
かつては日本に追いつけ追い越せという時代もあったが、今やそのレベルを超えて独自の道を歩んでいる。
そして数々の名作秀作を生み出している。

韓国映画の質の高さを初めて認識させられたのは、「韓流」ブームが起きる以前の2000年。
映画「風の丘を越えて 西便制(ソピョンジェ)」と「シュリ」を観たことがきっかけであった。
「風の丘を越えて 西便制(ソピョンジェ)」は韓国の伝統的な民俗芸能であるパンソリを唄いながら各地を流れ歩く旅芸人親子の物語。
「シュリ」は韓国の情報部員と北朝鮮の女工作員の悲恋を描いたスパイ映画である。
そしてこのふたつの映画の上映を契機に、多くの韓国映画が日本に進出するようになったのである。

この時のインパクトが強く、以来、話題になった韓国映画などを観るようになったが、といって特別熱心な韓国映画ファンというわけではない。
だが気になる存在としていつもあり続けている。
そんななかから印象に残った作品をあげてみると
「八月のクリスマス」、「ペパーミント・キャンディー」、「JAS」、「グリーンフィッシュ 」、「殺人の追憶」、「グエムル 漢江の怪物」、「チェイサー」、「息もできない」、「大統領の理髪師」、「ブラザーフッド」、「オアシス」、「母なる証明」など。
いずれも個性豊かな作品ばかり。
そしてそれらに続いて今回はこの「弁護人」である。

主演はソン・ガンホ。
先にあげた映画の中でも「シュリ」、「JAS」「グリーンフィッシュ 」「殺人の追憶」、「グエムル 漢江の怪物」、「大統領の理髪師」に出演しており、韓国映画を代表する名優である。
そして私にとっても馴染のある俳優である。

物語は80年代の韓国で実際に起きた国家保安法違反事件を扱っている。
国家保安法とは、反国家的な活動を取締る法律で、北朝鮮を念頭に置いて作られた法律である。

この映画では民主化運動に関わった学生たちが、司法の捏造によって国家保安法違反に問われる。
その暴挙に対して、たったひとりで立ち向かったのが、ソン・ガンホ演じるウンソクという弁護士。
ウンソクは高卒ながらも苦学して弁護士となった人物である。
ところが高学歴やコネがものを言う法曹界にあって、ウンソクはのけ者的な存在になっている。
そんな連中を何とか見返したいと考えたウンソクは、法律改正をきっかけに土地登記や税務の分野に進出、それが功を奏して売れっ子弁護士となった。
成功を収めたウンソクは、苦学時代に無銭飲食をした飲食店のことを思い出す。
そこで食堂を訪ね、かつての非を詫びるが、女店主のスネは過去のことは問わず、成功したウンソクのことをともに喜んでくれたのである。
以来、客として頻繁に店を訪れるようになったが、ある時、スネの一人息子が国家保安法違反容疑で検察公安に逮捕されてしまう。
スネは息子のための弁護人として法廷に立つようウンソクに頼むが、政治に関心を持たず、金儲けだけに奔走するウンソクは躊躇する。
だがスネの必死な訴えに折れて息子の弁護人となることを決意、裁判に関わることになる。
そのなかで国家権力の闇の深さを知ることになり、それが正義感の強いウンソクの心に火をつける。
そして「国家を敵に回しても無罪を勝ち取る」と猛然と立ち向かっていくことなる。

この事件のモデルとなったのは、1981年の「釜林(プリム)事件」。
軍事クーデターで大統領となった全斗煥が、「北朝鮮のスパイや不満分子たちが政府転覆を画策している」として全国的に取り締まりを強化したなかで起きた事件。
社会活動家たちが捕えられて不法に監禁拘束、拷問による自白をもとに裁かれたのである。
それを当時税務弁護士であった盧武鉉(ノ・ムヒョン)が、被告となった学生たちの弁護人となって活動した事実をもとに映画化した。
盧武鉉は後に第16代大統領となったが、収賄容疑に関わったとして弾劾、それがもとで投身自殺をした。
そうした背景を持つ難しい役をソン・ガンホは果敢に演じたのである。

ソン・ガンホは、特別容貌が目立つというような俳優ではなく、むしろ外見的にはごく普通で、どこにでもいそうな地味な人物である。
ところがそんな彼が、いったん役を演じると、とたんに強烈な熱気を発散する。
地味であるだけに、どんな役にも染まやすく、その役になり切り、目を見張るような演技を見せてくれる。
「弁護人」での弁護士役も、そうしたソン・ガンホの持ち味を充分に生かした適役である。
その熱演がこの映画の第一の見どころである。

これまで観てきた韓国映画で感じることは、やはり国が南北に分断されたという特殊な事実である。
そのことがどんな映画にも影のように付き纏って離れない。
だがそうした事実が、映画に大きな力を与えていることも確かで、そこが他の国、とくに日本映画と大きく異なるところだろう。

さらに韓国映画のもうひとつの特徴に、けっして観客を飽きさせないサービス精神がある。
その貪欲で過剰なまでのサービス精神が、時に空回りをすることもあるが、いったんツボにはまると予想を上回るエネルギーを発揮することになる。
韓流ブームが起きたのも、そうしたサービス精神に魅せられたところがあるのかもしれない。
この映画にもそうした特徴が随所に見られる。
それがこの映画の大きな力になっている。

しばらく遠ざかっていた韓国映画だが、これでまた韓国映画をいろいろと観てみたいという気持ちになってきた。


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