風に吹かれて

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Category: 読書

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桜木紫乃「ホテルローヤル」

hotel-royal.jpg

直木賞受賞作である。
「ラブレス」では直木賞を逃したが、2年後のこの「ホテルローヤル」で、その雪辱を晴らしたというわけである。

物語は、釧路湿原を見下ろす高台に建つ「ホテルローヤル」という名のラブホテルを舞台に、そこで繰り広げられる人間模様を描いた連作短編集である。
今は廃屋となったホテルから始まり、時代を逆回転しながら、最後は40年前のホテル建設の舞台裏へと遡っていく。
7つの短編から成っているが、経営者、従業員、客など「ホテルローヤル」に関わった人たちの姿が描かれる。
ラブホテルという淫靡で胡散臭い世界が舞台だが、そこで繰り広げられる人間模様はどれも行き止まり間のある切実なものばかり。
世間から目を背けられる日陰の場所だからこそ、そうした人間の本性が自然と現れるのだろう。
赤裸々に語られていくが、それは時に愚かしく、時に切なく、そして時に滑稽である。
そうした悲喜こもごもを読んでいるうちに、そこに暗さだけではない優しさや愛しさを感じるのは、これまでの桜木作品同様である。

ところでこの「ホテルローヤル」というのは、実在したホテルがモデルになっている。
桜木紫乃の父親が始めたという同名のホテルである。
高校生だった桜木紫乃は、学校から帰ると部屋の掃除などの家業を手伝ったそうだ。
小説の中でホテルの仕事が、細部に至るまでリアルに描写されているのは、そうした経験に裏打ちされているからだろう。
この小説に限らず、桜木紫乃の小説では、どれもこうした仕事の細部が丁寧に描き込まれているのが大きな特徴だ。
さらに舞台となる北海道の気候風土や風景が、独自の感性で巧みに表現されていることも、もうひとつの大きな特徴になっている。
小説世界がよりリアルなものとして立ち上がってくるのはそのためである。
そうしたことが多くの人を惹きつけてやまない大きな要因になっているのだと思う。


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