風に吹かれて

My Life & My Favorite things

Category: 月別観た映画と読んだ本

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今月観た映画と読んだ本(2017年2月)

観た映画


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「シノーラ」(DVD)
1972年アメリカ 監督:ジョン・スタージェス 出演:クリント・イーストウッド/ジョン・サクソン/ロバート・デュヴァル/ドン・ストロード


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「ジョン・ウィック」(DVD)
2014年アメリカ 監督:チャド・スタエルスキ 出演:キアヌ・リーヴス/ウィレム・デフォー/イアン・マクシェーン/ミカエル・ニュークヴィス


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「男の出発」 (BSプレミアム)
1972年アメリカ 監督:ディック・リチャーズ 出演:ゲイリー・グライムス/ビリー・グリーン・ブッシュ/ルーク・アスキュー/ボー・ホプキンス


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「Re:LIFE リライフ」(DVD)
2014年アメリカ 監督/脚本:マーク・ローレンス 出演:ヒュー・グラント/マリサ・トメイ/ベラ・ヒースコート/J・K・シモンズ/クリス・エリオット


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「海よりもまだ深く」(DVD)
2016年日本 監督/脚本:是枝裕和 出演:阿部寛/真木よう子/樹木希林/小林聡美/リリー・フランキー/池松壮亮/吉澤太陽/橋爪功


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ハドソン川の奇跡(DVD)
2016年アメリカ 監督:クリント・イーストウッド 出演:トム・ハンクス/アーロン・エッカート/ローラ・リニー/アンナ・ガン/オータム・リーサー/ホルト・マッカラニー


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チャイルド44 森に消えた子供たち (DVD)
2015年アメリカ 監督:ダニエル・エスピノーサ 出演:トム・ハーディ/ゲイリー・オールドマン/ノオミ・ラパス/ジョエル・キナマン/パディ・コンシダイン/ジェイソン・クラーク/ヴァンサン・カッセル


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「シシリアン」 (BS朝日)
1969年フランス 監督:アンリ・ヴェルヌイユ 出演:ジャン・ギャバン/アラン・ドロン/リノ・ヴァンチュラ/イリーナ・デミック/アメディオ・ナザーリ/シドニー・チャップリン/マルク・ポレル


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ローマの休日 (BSプレミアム)
1953年アメリカ 監督:ウィリアム・ワイラー 出演:グレゴリー・ペック/オードリー・ヘップバーン/エディ・アルバート/ハートリー・パワー/ハーコート・ウィリアムス/マーガレット・ローリングス


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「エンド・オブ・キングダム」(DVD)
2016年アメリカ=イギリス=ブルガリア 監督:ババク・ナジャフィ 出演:ジェラルド・バトラー/アーロン・エッカート/モーガン・フリーマン/アンジェラ・バセット/ロバート・フォスター/アロン・モニ・アブトゥブール


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麗しのサブリナ(DVD)
1954年アメリカ 監督/脚本:ビリー・ワイルダー 出演:オードリー・ヘップバーン/ハンフリー・ボガート/ウィリアム・ホールデン/ウォルター・ハムデン/ジョン・ウィリアムス/マーサ・ハイヤー


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クロワッサンで朝食を(DVD)
2012年フランス= エストニア=ベルギー 監督/脚本:イルマル・ラーグ 出演:ジャンヌ・モロー/ライネ・マギ/パトリック・ピノー/フランソワ・ブークラー/フレデリック・エポー


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愛と青春の旅立ち(BSプレミアム)
1982年アメリカ 監督:テイラー・ハックフォード 出演:リチャード・ギア/デブラ・ウィンガー/デイヴィッド・キース/リサ・ブロント/ルイス・ゴセット・ジュニア/リサ・エイルバッチャー/ロバート・ロギア/トニー・プラナ



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「インデペンデンス・デイ リサージェンス」(DVD)
2016年アメリカ 監督:ローランド・エメリッヒ 出演:リアム・ヘムズワース/ジェフ・ゴールドブラム/ビル・プルマン/マイカ・モンロー/トラヴィス・トープ


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「ディストラクション・ベイビーズ」(DVD)
2016年 監督/脚本:真利子哲也 出演:柳楽優弥/菅田将暉/小松菜奈/村上虹郎/池松壮亮/北村匠海/三浦誠己/でんでん




読んだ本


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手のひらの音符(藤岡陽子 現代小説)


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「シャドウ」(道尾秀介 ミステリー)


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羊と鋼の森(宮下奈都 現代小説)


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「若松孝二・俺は手を汚す」(若松孝二 語り下ろし)


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銀の街から(沢木耕太郎 映画評論)


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私小説 from left to right(水村美苗 現代小説)


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役者は、一日にしてならず(春日太一 インタビュー集)


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春日太一「役者は一日にしてならず」

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時代劇研究家、春日太一が「週刊ポスト」に『役者は言葉でできている』と題して連載したインタビューをまとめたものである。
取材した俳優はぜんぶで16人。
登場順に書くと、平幹二郎、千葉真一、夏八木勲、中村敦夫、林与一、近藤正臣、松方弘樹、前田吟、平泉成、杉良太郎、蟹江敬三、綿引勝彦、伊吹五郎、田村亮、風間杜夫、草刈正雄、全員が還暦を越えたベテラン俳優ばかりである。
ちなみにこの登場順は生年月日順でもある。
このうち平幹二郎、夏八木勲、蟹江敬三、そして松方弘樹はすでに鬼籍に入り、結局これがそれぞれの生前最後のインタビューということになった。
今となっては貴重な資料となるわけで、それを思うとこれからもこうした作業を続けていってもらいたいと願うところである。

俳優の道に入るきっかけや道筋は、それぞれではあるが、ほとんどが積極的に俳優を目指したというわけではない。
しかしいったんこの世界に入り、そこで生きていこうと決めてからはじっくりと腰を据え、俳優道に邁進していく。
その方法についてはこれといった決まりがあるわけではなく、各自それぞれが現場で揉まれながら手探りで見つけ出していくしかないのだが、なかでも大きいのは人との出会いである。
経験豊富な先輩俳優やスタッフたち、そうした人たちの芸や技術を肌で感じ取り、アドバイスを受けることで自ら咀嚼しながら芸を身に着けていく。
そうした経験が様々なエピソードを交えながら興味深く語られていく。
「運鈍根」という言葉があるが、それを実践しながらしぶとく生き抜いてきた人たちである。
なるほど、まさに「役者は一日にしてならず」なのである。


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休日は映画の日

仕事が休みの日は、家内とふたりで映画を観ることにしている。
特に冬は雪に閉じ込められ、外出も面倒なので、これがいちばんの過ごし方である。
昨日がその休日であった。
さっそくDVDを借りてきた。
「クロワッサンで朝食を」と「麗しのサブリナ」の2本。
「クロワッサンで朝食を」はフランス映画。
ジャンヌ・モローが久しぶりに出演した映画である。
「麗しのサブリナ」は先日「ローマの休日」を観て印象が強かったので、またもういちどヘプバーンの映画を観てみたいということで借りた。

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まずは「クロワッサンで朝食を」から。
題名から受ける印象では明るく軽めの映画を想像していたが、予想外に重くてシリアス。
原題は「パリのエストニア人」。
ジャンヌ・モローが演じるのは、パリに住むエストニア出身の裕福な女性。
老いてひとりでは生活できないのだが、手のつけられないわがままから家政婦が次々とやめて居つかない。
そこへエストニアから次の家政婦として50代の女性がやってくるというのがストーリーである。
老いや孤独をテーマにしているが、見どころはやはり85歳になるジャンヌ・モローの存在。
独りよがりで、自分の主張をけっして曲げない偏屈ぶりは、実際のジャンヌ・モローもそうなのではと思わせるものがある。
長年映画界の第一線で活躍してきた名女優ならではの威厳と貫禄である。
無駄に歳はとってない。
年齢から考えると、これが最後の主演映画になるかもしれない。

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続いて「麗しのサブリナ」を観ようとしたが、ちょうどBSで「愛と青春の旅立ち」の放映があった。
そこで予定を変更してそちらを先に観ることにした。
これは80年代を代表する映画。
主題歌とともに思い出に残る映画である。
ラブ・ロマンスとしての側面もあるが、どちらかといえば軍隊物の映画。
原題が「An Officer and a Gentleman」、訳すると「将校と紳士」。
すなわち劣悪な家庭環境に育った青年がその境遇から抜け出すために海軍士官学校に入り、そこで地獄の猛特訓を受けるというのが本筋である。
そしてそこでの試練を乗り越えることで、人間的に成長していく姿を描いている。
教官役の鬼軍曹を演じたルイス・ゴセット・ジュニアの迫力満点のシゴキぶりと、それに反撥しながらもけっして諦めないリチャード・ギアの男同士のやりとりがこの映画のいちばんの見どころ。
ルイス・ゴセット・ジュニアはこの役でアカデミー助演男優賞を受賞した。
30年ぶりに観ることになったが、印象深かった映画だけにかなりのシーンを記憶していた。
すぐに忘れてしまう映画が多いが、いい映画というのは時間が経っても鮮明に憶えているものだ。

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そして次が「麗しのサブリナ」。
先日観た「ローマの休日」の翌年の1954年に作られた映画である。
監督はビリー・ワイルダー。
ヘプバーン演じるサブリナは、世間知らずの純情な娘で、これは「ローマの休日」のアン王女の延長線上にあるキャラクター。
また相手役がハンフリー・ボガートとウィリアム・ホールデン、こちらも「ローマの休日」でのグレゴリー・ペック同様の組み合わせ。
すなわち純真無垢な夢見る娘と、人生経験豊富な成熟した男という組み合わせである。
こうした設定はヘプバーンの後の映画でも引き継がれていくものである。

以上3本を観た後に、さらに午後9時からBSで「パニック・イン・スタジアム」が放映された。
これも昔観て面白かった映画。
こちらは寝床に入って観ることにしたが、やはり予想したように、途中で眠気に誘われて最後まで観ることはできなかった。
一日3本が限度のようだ。
だがどの映画も面白く、満足の一日だった。


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水村美苗「私小説 from left to right」

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副題にある「from left to right」とはいったい何か?
読む前に感じた疑問であるが、これはこの小説が横書きで書かれていることによるもの。
なぜ横書きかといえば、文章に頻繁に英文が挿入されるからである。
すなわちこれは十代から三十代までをアメリカで過ごした日本人女性の物語なのである。
さらに「私小説」とあるように、作者自身の体験に基づいた小説でもある。
そこでまずは水村美苗のプロフィールから。

1951年東京生まれ。
12歳のとき、父親の仕事の関係でアメリカに渡る。
ボストン美術学校、イェール大学フランス文学部を経て、イェール大学大学院仏文科博士課程を修了。
その後プリンストン大学で講師、ミシガン大学とスタンフォード大学で客員教授として近代日本文学を教える傍ら、小説を書き始める。
最初の小説は夏目漱石の未完の小説『明暗』の続きを書いた『續明暗』である。
そしてこれが1990年の芸術選奨新人賞を受賞。
続く『私小説 from left to right』で、1995年野間文芸新人賞を受賞。
さらにエミリー・ブロンテの『嵐が丘』を戦後日本に書き換えた『本格小説』で、2003年読売文学賞を受賞。
また次の『新聞小説 母の遺産』では2012年大佛次郎賞を受賞と、書いた小説すべてが賞を受けている。
そして2009年には評論『日本語が亡びるとき』でも小林秀雄賞を受賞するなど、輝かしい経歴を残している。
しかしそこに至るまでの生活は、けっして華々しいものではなく、孤独の中で悶々と悩める日々であった。
そうした生活を書いたのが、この小説である。

大学近くのアパートで一人で住む私が、雪の降る寒い夜、ニューヨークに住む彫刻家の姉に電話をかけ、お互いの傷を舐め合うように長電話をする。
そのなかで、記憶を蘇らせながらアメリカでの20年の生活を思い起こしていく。
そこで語られる家族の姿や家庭崩壊といった問題。
さらには日本とアメリカの間で、いったい自分は何者なのかと思い悩むアイデンティティの問題などが深い孤独とともに時に深く、時に軽やかに語られていく。
取り立てて劇的というわけではなく、起伏の少ないストーリーではあるが、辛辣で皮肉のきいた語り口には、ぐいぐいと読ませる力強さがある。
いつまでもアメリカの生活に馴染めず、漱石や一葉などの近代日本文学を読み耽ったという作者の文学的蓄積を感じる。
また過去の記憶をたどりながら、時空間を自在に行き来する展開を読んでいると、水村美苗自身が卒論に選んだというプルーストの『失われた時を求めて』の影響を見ることができる。
最初は英文まじりの文章にいささか抵抗があったが、読み慣れてくるにしたがって気にならなくなった。
そして久しぶりに本格的な文学を味わったという満足感に浸ったのである。
こういう傑作が知らずにまだ眠っていたという感慨とともに、それに出会った幸運を、心から悦びたいと思う。


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映画「ローマの休日」

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一昨日BSプレミアムで「ローマの休日」が放映された。
これまで繰り返し何度も見たが、テレビで放映されるとやはり観てしまう。
そして気がつくと映画の世界にどっぷりとはまってしまっている。
笑いあり涙あり、そしてため息が出るような名場面の連続、まさに名画中の名画である。

監督は名匠ウィリアム・ワイラー、そして脚本はイアン・マクレラン・ハンター。
これはすなわちダルトン・トランボの偽名である。
当時ダルトン・トランボはレッドパージによってハリウッドから追放されていたため、偽名を使わざるを得なかったのである。
ちなみにトランボはこの頃4つの偽名を使ってシナリオを書いていた。
この名前はそのなかのひとつ。
さらにもっと正確に言えば、イアン・マクレラン・ハンターというのは友人のシナリオライターの名前である。
その名前を借りて「ローマの休日」を書いたのである。
そしてそれがアカデミー賞の最優秀脚本賞を受賞することになった。
いろいろと複雑な事情がからみあっているようだが、この辺の経緯を描いたのが、最近封切られた映画「トランボ ハリウッドに最も嫌われた男」である。
これは必見。
ちなみにダルトン・トランボが最初にこの作品を書いたとき、監督はウィリアム・ワイラーではなく、フランク・キャプラであった。
キャプラはこの作品を、50年代版の「或る夜の出来事」にしたいと考えていたようだ。
それがなぜかキャプラの手を離れ、ワイラーの元へと渡ってしまったのである。
これには諸説あるようだが、有力なのは作者が「ハリウッド・テン」のトランボであることを知ったキャプラが、トラブルを避けたためではないかといわれている。
いずれにしても以後キャプラが関わることはなくなった。
ファンとしてはそちらも見てみたかったと思わぬでもないが、しかしそれだとオードリー・ヘプバーンのアン王女は生まれなかったわけで、そうなるとこれほどの名作たり得たかどうか、いささか疑問である。
ちなみにキャプラ版での配役はケーリー・グラントとエリザベス・テイラーであった。
いずれにしてもこの映画でのヘプバーンの登場は、映画史に残る輝かしいものであり、この映画と彼女の存在はけっして切り離すことのできないものである。
それほどスクリーンの中の彼女は可憐で美しく輝いている。
この映画のために天上から舞い降りてきた妖精なのではなどと思ってしまうほどだ。
そしてそれを優しく受け止めるグレゴリー・ペックの男らしさ。
ふたりの絶妙のやりとりに胸踊るが、これを可能にしたのがウィリアム・ワイラーの卓越した腕の冴えであることは言をまたない。
優れたシナリオと演出、そして巧みな演技、これらが三位一体となって映画史に残る名作が生まれたのだということを今回も強く実感したのである。
以前観たときは涙を流すことはなかったが、今回は何度も繰り返し胸が熱くなり、涙を流してしまった。


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沢木耕太郎「銀の街から」

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沢木耕太郎は朝日新聞で毎月1回映画について書いている。
2007年から始まった連載である。
そして2014年に180回を迎えた。
最初の90回までの連載が「銀の森へ」というタイトルで、次の90回が「銀の街から」というタイトルであった。
そこでその連載を2冊に分け、それぞれのタイトルをつけて出版することになったのである。

この本で取り上げられた映画のうち、観た映画を数えてみると41本。
約半分近くを観ていることになる。
観ていないものは拾い読み程度にサラッと読み、観ているものはじっくりと読んでいく。
観ていないものの情報はできるだけ少なくしたいというのがその理由だが、今後その映画を観るかどうかの目安になる情報だけは取得するようにしている。
この連載を始めるにあたって作者が考えたことは「その作品を見てみたい」と思わせるものにしたい、というものであった。
その考えはよく分かる。
自分もブログに映画や本の感想を書く時は、漠然とではあるが、それを読んだ人が少しでもその映画に関心をもってくれればいいなと思いながら書いている。
そういう人がひとりでもいれば成功だと思っている。
そしてその文章がもういちどその映画について考えるきっかけになってくれればいいという思いがある。
またそれは同時にこうした映画について書かれた本を読むときの心構えでもある。
人(作者)はその映画をどう見たか、どういうことを思ったか、そうした考えを読んでみたいと思うのである。
そして自分では気づかなかった観方や異なった観方に出会うことで、さらにその映画の世界を深く考えるきっかけにしたいと思うのである。
今回のこの本でもそうした場面に度々出会うことになった。
なるほどこうした見方もあるのか、あれはそういうことだったのか、と大いに参考になった。
そしてあまり面白いとは思わなかった映画が、評論を読むことで少し違ったものに見えてくることもあった。
映画は観てそれで終わりというものではない。
そこからまたもうひとつの映画が始まるのである。
それがこうした本を読む醍醐味である。


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宮下奈都「羊と鋼の森」

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昨年度の本屋大賞を受賞した小説ということで、図書館に予約したのが2か月前のこと。
ようやく順番がまわってきた。
本屋大賞受賞ということと同時に興味をそそられたのは、そのちょっと謎めいた題名である。
読んでみてわかったが、これはピアノのことを表した言葉であった。
羊はピアノの弦を叩くハンマーに付いている羊毛のこと、鋼はピアノの弦、そして森はピアノ本体の木材を指している。
その言葉が示すように、この小説はピアノの調律に魅せられた青年が調律師となり、一人前の調律師へと成長していく物語である。
その姿を通して調律師の世界やピアノという楽器のもつ奥深さ、そして同時に音楽の豊かさや美しさを描いている。

どんな世界にも表に出ることなく、陰で支える人たちというのが存在する。
そうした人たちがいて初めて表に立つ人の活躍が可能になるわけで、調律師もそうした存在である。
しかもその仕事はけっしてたやすいものではなく、果てしないほど奥深い。
その仕事に熟練するためには、近道などはなく、律儀にコツコツと積み上げていくしかない。
結局仕事というものの多くはそういうものだということが、文章の端々から伝わってくる。
そうしたところが多くの人たちの共感を呼んだのではなかろうか。

ところで調律師の話ということですぐに連想したのが村上春樹の短編小説「偶然の旅人」である。
ただしこちらは主人公が調律師の仕事をしているというだけで、特別その仕事の内容に深く踏み込んでいるわけではない。
さらに「羊と鋼の森」にはかなり多くの比喩が使われているが、そのことからも村上春樹のことを連想してしまったわけである。
またこれは余計なことかもしれないが、題名に「羊」という言葉が使われているところもそうした連想を後押しした。
そして思ったのは、文章表現としての比喩の難しさ、使い方ひとつで効果的にもなるが、それが邪魔をしてしまうこともあるのだということ。
この小説ではそれが美点にもなっているが、流れを阻害する弱点にもなっている。
そんなことを思いながらこの小説を読んだ。


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映画「チャイルド44 森に消えた子供たち」

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この映画の原作であるトム・ロブ・スミスの小説は3年前に読んだ。
2009年の「このミステリーがすごい! 海外編」で第1位になった小説である。
その圧倒的な面白さは、3年経った今でもはっきりと憶えている。
それを映画化したのが、この映画である。
だが果たしてその面白さがどの程度再現されているのか。
観る前はいささか不安であったが、その心配は映画が始まるとすぐに解消された。

1953年のモスクワが舞台であるが、その時代の再現が素晴らしい。
戦後間もないスターリン独裁政権下の暗さと恐怖がしっかりと描きこまれており、これがアメリカ映画ということを忘れてしまう。
そして何よりも主役のレオ・デミドフを演じるトム・ハーディがいい。
「楽園に殺人は存在しない」、「殺人は資本主義の病だ」とする社会の中で、真実を追い求めようと孤軍奮闘する姿はとてもスリリングだ。
そしてギリギリのところで、血の通う人間として生きようとする姿には強い共感を覚える。

昨年観た「マッドマックス 怒りのデス・ロード 」「ウォーリアー」そして「レヴェナント 蘇えりし者」と、作品ごとに多彩な魅力を見せてくれたが、今回もまたそれらとは違った新しい面を見せてくれた。
彼は単なるアクションスターというだけではなく、そこに人間的な深みを感じさせてくれる俳優である。
こうしたことは、意図してできるというものではなく、やはり資質の問題であろうと思う。
彼にはそうしたものが自然と身についている。
現在イチ押しの俳優である。

いずれにしても一筋縄ではいかないこのミステリーの映画化としては、間違いなく及第点である。
映画として十分に楽しめた。


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藤岡陽子「手のひらの音符」

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初めて読む作家である。
この本を読むまで、知らなかった。
それほど知名度のある作家ではない。
著者紹介によると、1971年京都府生まれ。
スポーツ記者として勤務した後、すべてをリセットすべくタンザニア・ダルエスサラーム大学に留学。
帰国後、慈恵看護専門学校に入り、看護師資格を習得。
さらに大阪文学学校で小説を学び、2006年「結い言」で第40回北日本文学賞選奨を受賞。
2009年『いつまでも白い羽根』でデビュー。
<いまもっとも注目されている著者のひとり>とある。
かなり特殊な道を歩んできた作家のようだ。

主人公は45歳の独身の女性。
貧しい子ども時代を送ったが、今は念願叶って新進の服飾デザイナーとして活躍している。
しかし会社の方針で服飾部門の撤退を告げられる。
人生の岐路に立った彼女が、今後の生き方に悩みながら過去を回想することになる、というのが物語の骨子である。
そこに登場してくる幼なじみの4人の少年たち。
共通の貧しさの中でともに励ましあった記憶が蘇る。
そして服飾デザイナーとなる道を開いてくれた恩師との出会い。
そうしたことを通して語られる家族や貧困やいじめといった問題。
それらが違和感なく物語に散りばめられて話が進んでいく。
そこから浮かびあがてくる生きることの困難さ。
普通の人が普通に生きるだけでも、厳しい現実が容赦なく立ち塞がってくる。
それにどう立ち向かい克服していくか。
そうしたことをこの小説は優しく教えてくれる。

「人によって、闘い方はそれぞれ違うんや。だから、自分の戦い方を探して実行したらええねん。自分に合ったやり方を見つけたら、とことんそれをやったらええんや。無理することはないって。」という言葉が心に響く。

なるほど著者紹介にある<いまもっとも注目されている著者のひとり>というのは、けっして大げさな売り文句というだけではなさそうだ。


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映画「ハドソン川の奇跡」

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ニューヨーク、マンハッタン上空で、飛行不能に陥った旅客機が、ハドソン川に緊急着水するという事故が起きたのは、2009年1月のことである。
そうした大変な事故であったにも関わらず、ひとりの犠牲者も出すことがなったというニュースが全世界に流れた。
そのニュースを驚きと感動で受け止めたことはまだ記憶に新しい。
それを題材に映画化したのがこの作品である。

監督はクリント・イーストウッド。
「アメリカン・スナイパー」以来2年ぶりの監督作である。
主演はトム・ハンクス。
イーストウッド作品ではこれが初出演であるが、適役。
苦悩するヒーロー、サレンバーガー機長を見事に演じて、間違いなくこれは彼の代表作になる。

前作「アメリカン・スナイパー」もそうだが、イーストウッドの最近の映画には実話の映画化が多い。
「ジャージー・ボーイズ」はボーカル・グループ“ザ・フォー・シーズンズ”、「J・エドガー」はFBI初代長官ジョン・エドガー・フーバー、そして「インビクタス 負けざる者たち」は南アフリカ共和国ラグビーチームとネルソン・マンデラ大統領と、いずれの作品も実在の人物を題材にした物語。
そしてそのいずれの作品も主人公たちを単なるヒーローとして描くのではなく、等身大の人間として描いている。
そのスタンスはこの映画でも変わらず、次第に追い詰められていくサレンバーガー機長の葛藤や苦しみをけっして大げさではなく、抑制のきいた手法で描いており、イーストウッド監督の演出のさらなる円熟味を感じさせてくれる。

それにしても全世界から賞賛を浴びたこの事故の裏側に、これほどの事実があったということは初めて知った。
同時に多くの人命を預かるパイロットの仕事がいかに重責であるかということも。
それだけにどんな小さな過失もけっして許されてはならないわけで、そこでこの映画のようなスリリングなドラマが生まれることになる。
そしてその難題に立ち向かうサレンバーガー機長のプロ魂が、さらなる奇跡を呼び起こす。
題名にある「奇跡」にはそうした2重の意味がこめられているように思う。

上映時間は96分という短さ。
2時間を超える上映時間が当たり前で、3時間になる映画も珍しくない今、この短さはある意味驚きだ。
しかしその短さを感じさせない充実な内容に、長時間の映画を観るのと変わらない重量感があった。
時に感動の涙を流しながら眼をくぎ付けにされた、濃密な96分だった。


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プロフィール

cooldaddy

Author:cooldaddy
住んでいるところ:青森県弘前市
出身地:香川県
年齢:今年(2008年)還暦です。
性別:男

還暦という節目を迎え、何か新しいことを始めようとブログを開設しました。
趣味のこと、生活のこと、心に残ったことなど、My Favorite thingsを、気ままに書いていこうと思います。
末永くおつき合いください。

映画サイト「マイ・シネマ館」もやっています。
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