Category: 日本映画
映画「百円の恋」

低予算でマイナーな映画ながら、昨年度(第39回)の日本アカデミー賞最優秀脚本賞(足立岬)と最優秀主演女優賞(安藤サクラ)を受賞した作品。
話題作ながら、レンタルショップに置いてある本数が少ないため(どの店でもたった1本のみ)なかなか借りることができなかったが、ようやく借りて観ることができた。
女性が主人公のボクシング映画といえば、イーストウッド監督の「ミリオンダラー・ベイビー」がすぐに思い浮かぶ。
ヒラリー・スワンクの熱演ぶりが、印象に残る映画だが、「百円の恋」の安藤サクラの熱演もそれに負けてはいない。
いやむしろそれを上回るものがある。
生半可ではない女優魂を見ることができる。
この映画の成功は、ひとり彼女の熱演に負っているといっても言い過ぎではない。
それほど彼女の存在感は印象に残る。
自堕落で、家族から鼻つまみにされるどうしようもない30女が、ボクシングと出会ったことで生きる気力や目的を見出していくというこの映画には、人生を投げてしまったようなダメ人間ばかりが登場する。
題名に「百円」とあるように、チープな人間ばかりなのである。
だがそんなチープな人間でも、ひとたび夢中になれるものに出会えば、これほどひたむきに、そして精彩を放つことができるのだということを見せてくれるのである。
そしてそれを見ているうちに、いいようのない感動が押し寄せてくることになるのである。
それはけっして爽やかな姿というわけではない。
歪な人間が歪なまま、しかし正真正銘のひたむきさでボクシングの世界へとのめり込んでいく。
カッコ悪さが、こんなにもカッコいいのだということを、この映画が久しぶりに思い出させてくれた。


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