風に吹かれて

My Life & My Favorite things

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今月観た映画と読んだ本(5月)

観た映画

「戦う幌馬車 THE WAR WAGON」 (1967年アメリカ 監督:バート・ケネディ 出演: ジョン・ウェイン/カーク・ダグラス )

「白昼の決闘 DUEL IN THE SUN」 (1946年アメリカ 監督:キング・ヴィダー 出演: グレゴリー・ペック/ジェニファー・ジョーンズ/ジョセフ・コットン/ライオネル・バリモア/リリアン・ギッシュ )

「神様のカルテ」 (2011年日本 監督:深川栄洋 出演: 櫻井翔 /宮崎あおい/要潤 /柄本明 )

「パーマネント野ばら」 (2010年日本 監督:吉田大八 出演: 菅野美穂 /小池栄子 /池脇千鶴/宇崎竜童 )

「真昼の死闘 TWO MULES FOR SISTER SARA」 (1970年アメリカ 監督:ドン・シーゲル 出演: クリント・イーストウッド/シャーリー・マクレーン )

「キャプテン・フィリップス CAPTAIN PHILLIPS」 (2013年アメリカ 監督:ポール・グリーングラス 出演: トム・ハンクス /バルカド・アブディ/バルカド・アブディラーマン )

「カラスの親指」 (2012年日本 監督:伊藤匡史 出演: 阿部寛 /村上ショージ /石原さとみ /能年玲奈 )

「あいつと私」 (1961年日本 監督:中平康 出演: 石原裕次郎/芦川いづみ/轟夕起子/宮口精二/小沢昭一/渡辺美佐子/滝沢修 )

「チップス先生さようなら GOODBYE, MR. CHIPS」 (1939年アメリカ 監督:サム・ウッド 出演: ロバート・ドーナット/グリア・ガーソン/ジョン・ミルズ/テリー・キルバーン )

「仔鹿物語 THE YEARLING」 (1946年アメリカ 監督:クラレンス・ブラウン 出演: グレゴリー・ペック/ジェーン・ワイマン/クロード・ジャーマン・Jr/チル・ウィルス/クレム・ビヴァンス )



読んだ本

「川あかり」(葉室麟 時代小説)

会いたかった人(中野翠 コラム)

カラスの親指(道尾秀介 ミステリー)

新参者(東野圭吾 ミステリー)

赤い指(東野圭吾 ミステリー)

「悪意」(東野圭吾 ミステリー)

分身(東野圭吾 ミステリー)

「宿命」(東野圭吾 ミステリー)

容疑者Xの献身(東野圭吾 ミステリー)

幻夜(東野圭吾 ミステリー)

手紙(東野圭吾 現代小説)

「魔球」(東野圭吾 ミステリー)

「予知夢」(東野圭吾 ミステリー)



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東野圭吾「容疑者Xの献身」

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第134回直木賞受賞作。
東野圭吾は過去6回直木賞の候補になっているが、この作品でようやく受賞した。
ちなみにそれまでの候補作は、「秘密」、「白夜行」、「片思い」、「手紙」、そして「幻夜」である。

「容疑者Xの献身」は探偵ガリレオシリーズの第3作目に当たる作品で、ガリレオと呼ばれる物理学者の湯川学が、その推理力を働かせて旧友である天才数学者石神が仕掛けた鉄壁のアリバイを切り崩していくというもの。
こちらも「手紙」同様、映画を先に観た。
ただ「手紙」と違ってトリックやどんでん返しの妙を味わうミステリーなので、その仕掛けを知っているだけに驚きは少なかった。
こういう小説の場合、種明かしを知っているとどうしても面白さは半減してしまう。
おそらくそれを知らずに読んでいれば、かなりの衝撃だったかもしれないのだが。
そういう意味では、いささか残念な気もするが、それにしてもこうした巧妙で途轍もないトリックを考え出すとは、やはり東野圭吾は並みのミステリー作家ではない。
その実力は、相当なものだと改めて認識した次第。

「人に解けない問題を作るのと、その問題を解くのとでは、どちらが難しいか」
これから読む人は、天才同士の攻防とその衝撃の結末をじっくりと味わってほしい。


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東野圭吾「手紙」

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思いっきり泣かされた。
「赤い指」に続いての号泣であった。
「赤い指」は父と子の話であったが、こちらは兄と弟の話である。
そういえば、東野作品には家族を扱ったものが多い。
これまで読んだわずかの作品のなかにも、家族のことを書いたものがいくつかあったことに気がついた。
おそらく東野作品においてそれは重要なテーマのひとつになっているのではなかろうか。

家族というのは時に足枷になることもあるが、支えにもなる。
けっして切り離すことのできないものである。
良くも悪くも家族によって人生を左右されることになる。
この小説では、兄の犯した犯罪によって、唯一の家族である弟がどんな人生を歩まねばならなくなったかが描かれている。
そこから罪を償うということ、罰を受けるということはどういうことなのか、そうした重いテーマが描かれていく。

強盗殺人犯の弟という立場が、どういうものか、それが克明に描かれていく。
そこに横たわる差別と偏見、そうした過酷な現実がこれでもかと襲い掛かってくる。
しかもそれらはすべて自分が原因で起きたことではない。
それにも関らず、強盗殺人犯の弟というだけで、厳しい現実を甘受しなければならない。
そしてそうした理不尽さは、どこまでいっても付きまとい、消えることはないのである。

この作品は以前映画で観た。
その時は、それが東野圭吾の原作だということは知らなかったが、その重い内容に深く心を奪われたのであった。
それ以来、映画のことを思い返してはいろいろと考えさせられることになったのである。
そうした印象に残る映画であっただけに、今更原作を読むのはどうかなという気持ちがあった。
映画での感動が深かっただけに、小説でその印象を変えられたくないといった気持ち、また同じ話をもういちど繰り返して読むことに果たして意味があるのか、といった考えが過ったのであった。
しかし読んでみると、そこには映画以上の感動があったのである。
登場人物たちの心の動きや思いといったものがより深く理解でき、そこで展開される人間ドラマに激しく心揺さぶられたのであった。
気が進まないままに読み始めた小説ではあったが、やはり読んでよかったというのが率直な気持ちであった。

東野作品はまだ僅かしか読んでいないが、それでもこの小説は間違いなく自分にとってのベスト1の作品になるのではないかと思っている。
これでますます東野作品の魅力にのめりこむことになりそうである。

最後にこの小説について語った作者の言葉を書き添えておくことにする。

<私は小説の中で主人公をいじめ続けた。その中から彼がどんな答えを出すのか、自分でもわからぬままに筆を進めた。
だが結局、小説の中では明確な答えを出すことはできなかった。
書き終えた時に気づいたことは、これは答えのない問題だということだった。
初めから矛盾を含んでいた。どういう矛盾か。
それは、人との結びつきなしには生きていけない人間が、別の人間を殺した、という矛盾だ。
ところがこの世は、そうした矛盾に満ちている。
だからこそ我々は苦しむ。
答えのない問題に直面し、立ち尽くさねばならなくなる。>

作者のこうした深い思いは痛いほど伝わってきた。
そして読み終わり、立ち尽くしたところに、ジョン・レノンの「イマジン」が、静かに聞こえてきたのである。

「しかしね、本当の死と違って、社会的な死からは生還できる」
「その方法は一つしかない。こつこつと少しずつ社会性を取り戻していくんだ。他の人間との繋がりの糸を、一本ずつ増やしていくしかない。君を中心にした蜘蛛の巣のような繋がりが出来れば、誰も君を無視できなくなる。その第一歩を刻む場所がここだ。」


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東野圭吾「分身」

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東京と北海道に住むふたりの少女が、事件に巻き込まれながら、それぞれの出生の秘密に迫っていく。
物語は、双葉と鞠子というふたりの少女の視点によって語られていく。
そこから次第に隠された秘密が浮かび上がり、まったく同じ顔と身体をもつお互いの存在を知ることになる。
そして様々な困難を越えた後に、「分身」としての互いを求め合うようになっていく。

今回は遺伝子操作、体外受精といった医療問題が扱われており、近未来風な味付けがなされている。
こうしたテーマを掲げるところは、やはり理工系出身の作者らしいところ。
そしてこうしたテーマでこういう小説を書いてしまうのは、やはりストーリーテリングに長けた作者だからこそ。
これまで読んできたものとはまた一味違った世界が展開されており、これで東野圭吾のまた新たな一面を味わうことができた。
SFタッチで、現実離れしたところもあって、いささか深みに欠けるところはあるものの、エンターテインメントとしては時間を忘れて楽しめた。

参考までに、本作が「小説すばる」連載時には、「ドッペルゲンガー症候群」というタイトルであった。
ちなみに「ドッペルゲンガー」とは、「自分とそっくりの姿をした分身」、「自分がもうひとりの自分を見る現象」という意味である。


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東野圭吾「幻夜」

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上下2段で500ページという長篇だが、まったく飽きさせない。
途中だれることもなく一気に読んだ。
これだけの長さを破綻なく、しかも読み手の興味を逸らすことなく読ませてしまうのは、やはりこれは東野圭吾の持てる力量のなせる技だろう。
考え抜かれたストーリー、登場人物たちの際立った人物造型、ストーリー展開の手際よさ、どれをとってもずば抜けている。
これまで東野圭吾を連続して読んで思うのは、彼がベストセラーの常連というのは、さもありなんということ。
ミステリー作家としては、間違いなく当代一流の作家だということである。
作品を読むごとに、その考えが確かなものになっていく。

阪神大震災、地下鉄サリン事件といった時代背景をうまく生かしているのはさすがだ。
とくに阪神大震災の混乱を利用して、まったくの別人となって成り上がっていこうとするストーリーは、水上勉の「飢餓海峡」を思わせる。
巧妙に仕掛けられたアリ地獄のような罠、そしてそこに絡め採られた人間たちが意のままに操られていく展開の妙。
また安易に勧善懲悪として終わらせないところも、なかなかのもの。
おそらく多くの人たちにとって、こうした終わり方は釈然とせず異論のあるところだろうが、ピカレスクロマンとしてここまで徹底すると、むしろ爽快ですらある。
悪は滅びず、というのもまた有りなんと思う。

謎解きやどんでん返しといったミステリー本来の面白さは少ないものの、これだけ集中して読ませる内容には、心底満足させられた。

姉妹編と云われている「白夜行」が果たしてどんなものなのか、こうなるとそちらを読むのが俄然楽しみになってきた。


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東野圭吾の小説

先日「新参者 」「赤い指」を読んで以来、東野圭吾の小説に嵌ってしまった。
とにかく読み出すと面白くてやめられなくなり、次々と読まずにいられなくなってしまう。
遅ればせながらの「東野圭吾」三昧の日々である。

「赤い指」のあとに読んだのが「悪意」「分身」、そして今日「宿命」を読み終わったところである。
そこで次は何を読もうかなと考え、参考のためにネットで調べてみることにした。
そこで見つけたのが、「読者1万人が選んだ 東野圭吾作品人気ランキング」というものであった。
これは2012年2月に講談社から発売された公式ガイドブックのランキングである。

それによると
第1位が「容疑者Xの献身」、第2位は「白夜行」、第3位「流星の絆」、第4位「新参者 」、第5位「マスカレード・ホテル」となっている。
ちなみに第5位から第10位までは、「手紙」、「秘密」、「赤い指」、「時生」、「真夏の方程式」と続く。

このなかで読んでいないのは6作品。
まずはそれらを全部読むことから始めようと考えて、図書館に行ったところ、第1位の「容疑者Xの献身」を借りることができた。
これは以前映画化されたものを観ており、粗筋が分かっているので、ミステリーの場合そういうのはどうかなとは思ったが、いちおう代表作ということなので敢えて読んでみることにしたのである。
果たしてどんな結果がでるか。
それは読んでからのお楽しみといったところである。


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東野圭吾「赤い指」

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先日の「新参者」に続いて加賀恭一郎シリーズを読んだ。
シリーズ第七作目に当たる「赤い指」である。
「新参者」とはまた違った面白さで、一気に読んでしまった。

この小説は冒頭から犯人が明かされるという倒叙法で書かれている。
その事件を加賀恭一郎がどのように真相に迫り解決していくか、その姿が丹念に描かれていく。

テーマは介護や引きこもりや断絶といった家族の問題である。
それが犯人の家族と加賀刑事の家族の姿を同時進行で描くことで次第に炙り出されていく。

今回の加賀恭一郎は松宮という新米刑事と組んで捜査に臨むことになる。
この松宮脩平という刑事、実は加賀恭一郎のいとこになる。
ふたりにとってはこれが10年ぶりの再会である。
そしてそこには幾分込みいった事情が隠されていることが分かってくる。
それは加賀恭一郎の父親・加賀隆正のことである。
現在加賀隆正は癌で入院中である。
甥であり、隆正のことを尊敬する松宮は、足しげく病院を訪れているものの、息子の恭一郎は一度も顔を見せた事がない。
父親と息子の間には、長年に亘る確執があることがそれとなく匂わされており、そうした態度を見せる恭一郎に、松宮は不信感を持っている。
そんなふたりがコンビを組んで、事件の捜査に当たることになるのである。

いっぽう犯人一家では、息子が犯した殺人を両親が隠蔽しようと画策する。
しかし恭一郎に疑いの目を向けられ、追い詰められた結果、ある最終手段をとることになる。
それを恭一郎が見事に突き崩していく。
「刑事というのは、真相を解明すればいいというものではない。いつ解明するか、どのようにして解明するか、ということも大切なんだ。」
「この事件の真相は本人たちの手で暴かれなければ意味がない」
恭一郎が松宮に向かって言ったこの言葉がどういうことを意味するのか、そしてそこからどのように真相を究明していくのか、嫌が上にも期待が高まっていく。

さらに恭一郎と父・隆正との確執の行方はいったいどうなっていくのか。
果たしてふたりに和解の時は訪れるのだろうか。
そしてそれはどのような展開を見せていくのだろう。
こちらも事件の解決以上に期待が高まっていったのである。
そして明かされた結末のある一行を目にしたとたん、思わずあっと胸を衝かれてしまった。
そして大げさでなく、そこで号泣してしまったのである。
まんまと作者の術中に嵌ってしまったというわけである。
小説でこんなに泣かされたのはいつ以来のことだろう。
気持ちよく涙を流したのであった。
そしてその大満足な余韻に、しばし時間を忘れて浸っていたのであった。


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東野圭吾「新参者」

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ミステリーというよりも人情小説といったほうがいいような内容。
本筋の事件よりも、脇道である地道な聞き込み捜査のほうがメインになっており、ミステリーとしては変形の部類。
しかしそれがかえってこの小説のよさを、引き出しているように思える。

第一章から第九章までそれぞれが独立した短篇となっているが、中心となっているのはひとつの事件であり、連作短編という形になっている。
そしてそれぞれがジグゾーパズルのピースの役割を担っており、最後のピースが収まることですべてが完成されることになる。
よくできた構成であり、地味ながら読み応え充分であった。
また舞台となっているのが、日本橋界隈で、主人公の刑事加賀恭一郎が道案内となって町の中を巡り歩く。
そこで描かれる日本橋の風景が、これらの人情話をより情緒あるあるものにしている。

「事件によって心が傷つけられた人がいるのなら、その人も被害者だ。そういう人を救うのも、刑事の役目です」という加賀のセリフがあるように、一見事件と無関係に思える人々に注がれる視線には、作者の熱い思いが込められており、心温まるものを感じさせられた。
こうしたアプローチには、これまでのミステリーとはまた違った趣きがあり、新鮮であった。

先日読んだ「流星の絆」も面白かったが、どちらかといえばこちらの方が好みである。
この小説は加賀恭一郎シリーズの第八作目の作品である。
このシリーズを読むのは、これが初めて。
引き続きシリーズの他の作品も読んでみたいと思っている。


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道尾秀介「カラスの親指 by rule of CROW’s thumb」

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昨日大学病院で定期診断があった。
予約はとってあるが、時間通りに行われることはなく、いつも必ず長い時間待たされる。
そこで待ち時間には、本を読むことにしている。
昨日持って行ったのは道尾秀介の「カラスの親指」という小説であった。
これは家内から何か面白いミステリーを借りてきてほしいというリクエストがあったので、いろいろと調べた結果借りてきた本である。
それを読み終わり、「絶対にオススメ」とのお墨付きがあったので、読んでみることにしたのである。
読み始めるや、その面白さに引き込まれ、やめられなくなってしまった。
そして病院の診断が終わった後も読み続け、結局最後まで手放すことなく、夜中までかかってようやく読み終わったのであった。

詐欺を生業とする中年二人組の物語である。
しかもいずれもがヤミ金融によって人生をめちゃくちゃにされた者同士であった。
このふたりの棲家に、ひょんなことからスリを働く少女が居候をすることになる。
さらにその姉と姉の恋人までが転がり込んでくる。
そこには単なる偶然ではない、運命的なものが横たわっていることが次第に明らかになってくる。
そして最後は悲惨な過去を清算するための、ヤミ金融組織を相手にした大仕事が行われることになる。

まさに騙しのテクニックのオンパレードである。
登場人物も騙されるが、同時に読者もまんまと騙されてしまう。
どんでん返しに次ぐどんでん返し、最後は見事に騙されてしまった。
まさかこう来るとは。
呆気にとられながらも、気持ちよく騙されてしまった。
そして大向こうを唸らせるようなその結末に、「お見事!」と声を掛けたくなってしまったのである。

タイトルになっている「カラス」とは?そして「親指」とは?
読んでみて、なるほどと納得のタイトルであった。

なおこの小説は映画化もされている。
次は映画のほうも観てみようかなと考えている。


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Tags: 中野翠  エッセイ・評論  

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中野翠「会いたかった人」

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<私は文筆業だが、確固とした思想を持っているわけではない。たいした主義主張があるわけではない。
 いや、むしろ思想(のようなもの)を持っているときは何も書けなかった。大学を卒業して十年以上たって、自分の頭の中にあった左翼的イデオロギーの建築物がカタガタに崩れて、「私はやっぱり頭のいいほうじゃあない。頭より身体のほうがまだしも信頼できそうだ」と悟ったとき、初めて何かを書けるような気がしてきたほどだもの。
 今でも、自分の頭よりは自分の体のほうを頼りにしている。手がかりにしている。私の体をこわばらせたり、むずがゆくさせたりするものは、どんなに世間がほめちぎっているものでも「ダメなもの」だと思ってしまう。「嫌いだ」と思ってしまう。ただ、こういう仕事をしている限り、「ダメ」だの「嫌い」だの並べ立てているだけでは面白くも何ともないので、しようがないから少しは頭を使って、どこがどうダメなのか、どこがどう嫌いなのかを自問してひとりリクツこねて、文章にしているだけなのだ。>

なるほど、よく解かる。

そして<私は時どき、ほんとうにたまにだが、自分を宇宙人のように感じることがある。地球上にポーンと送られて来て、人間観察記を書かされている宇宙人のような気がする。と、自分で書いて、凄いなぁと呆れるが。人間のやることなすことが「キューリアス」に見える。他の人たちは何とも思わないらしいが、私は心の中で「変わってる~。笑っちゃう~」とつぶやくことが多い。>

そんな著者中野翠が、「関心の方向が似ていてとても他人とは思えない」が、もうすでに死んでしまって会えない人達について書いた本である。
採り上げられているのは、29人。
そのうち事件の犯人2人と著者自身の祖母を除いた26人が、作家や俳優やデザイナーといった著名人。
そのなかで名前を知っているのは17人、あとの9人はこの本で初めて知った人たち。
いずれ劣らぬ曲者ぞろい、中野翠好みの濃厚な人物ばかりである。

参考のために名前をメモしておくと、まずは知っている17人というのは、ジョージ・オーウェル、ココ・シャネル、樋口一葉、左ト全、田中清玄、古今亭志ん生、プレストン・スタージェス、ピーター・ローレ、熊谷守一、今和次郎、佐分利信、P・G・ウッドハウス、福地桜痴、福田恆存、松廼家露八、徳川夢聲、中里介山。
そして知らなかった9人は、チェルヌィシェフスキイ、ロバート・L・フィッシュ、エルザ・スキャパレッリ、淡島寒月、ダイアン・アーバス、三田平凡寺、内田魯庵、依田学海、ジェイムズ・サーバー。
なるほどと唸らされるバラエティに富んだ人選である。
こうした人物たちの「他人とは思えない」部分を手がかりに、それぞれが持つ魅力を中野流に解き明かしていく。
いずれも、なるほどと納得させられるものばかり。
さすが中野翠、見事な筆捌きである。
読んでいるうちに、なるほどこうした人たちなら、中野翠ならずとも自分もいちどは会ってみたかったと思えてきた。


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トム・ロブ・スミス「チャイルド44 上下巻」

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2009年の「このミステリーがすごい! 海外編」で第1位になった作品である。
またこの本の訳者田口俊樹は、先日読んだマット・スカダー・シリーズの翻訳者でもある。
それでこの本を選んだというわけではないが、読後にその事に気づいたのである。

スターリン体制下のソ連を舞台にしたミステリーである。
主人公は、国家保安省の捜査官レオ・デミドフ。
欺瞞と恐怖に満ちた監視国家のなかで、職務に忠実な捜査官として働いていた。
だが、その仕事は無実の人間を反逆者として捕らえ、強制収容所送りにするといった無残なものであった。
それを彼は理想国家実現のためには必要な犠牲なのだと自らに言い聞かせ、正当化しようとする。
そして時には薬物を服用し、感覚を麻痺させるてまで役目を遂行しようとするのであった。
そうした行動はすべてエリートとしての自分に課せられた役目であり、その職務に忠実であることは、自らの身の安全を守るためには必要不可欠なことであった。
誰もが他人を監視し、わずかなミスが命取りになってしまう社会、親兄弟さえも信用できない監視社会、そんな身動きのとれない状況のなか、必死にバランスを取りながら綱渡りしようとするデミドフの危うさが痛々しい。
そしてそんな彼にも、ついに試練の時がやってくる。
彼をやっかむ狡猾な同僚から理不尽な告発をされ、地方の民警へと追放されてしまうのである。
そこで猟奇連続殺人事件と出会うことになる。
そしてその捜査を続けるうちに、彼自身も国家の反逆者として追われる身となってしまうのである。

圧倒的な迫力で迫ってくるミステリーである。
またサイコ・サスペンスであり、冒険小説でもある。
まさに一級のエンターテインメント小説である。

これは旧ソビエト時代に実際に起きたウクライナの猟奇連続殺人事件、チカチーロ事件をモデルにしたものである。
連続殺人事件の深い闇と独裁国家の恐怖が、酷寒の地を舞台に不気味に迫ってくる。
その暗さと寒さが、ふたつの狂気をさらに絶望的なものに感じさせる。

こうした社会においては、いちど信用を失った者は2度と浮かび上がることはない。
どこまでも落ちていくしかない。
そして一旦は逃れたとしても、権力は決して諦めることなく、どこまでも執拗に追いかけてくる。
そうした過酷な状況のなか、主人公デミドフは僅かな手がかりを頼りに事件の核心へと迫っていく。
それは、事件解決への道であるのと同時に、自らの人間としての再生の道でもあった。
二転三転する攻防戦は手に汗を握る展開で、圧倒的な面白さ。
まさに釘付けになって読み進んでいった。
さすが「このミステリーがすごい!」第1位の作品である。
読書の醍醐味を、これ以上ないほど味わわせてくれたのであった。


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「じゃこ家」で映画談義

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両親の法事が終わった日の夜、弟夫婦に連れられて丸亀の居酒屋「じゃこ家」に行った。
その名の通り瀬戸内の魚をおいしく食べさせてくれる店である。
弟夫婦行きつけの店で、帰省の度に立ち寄っている。
今回も酒と魚を味わうために連れて来られたが、目的はもうひとつあった。
弟の友人Hさんと会うためであった。

丸亀在住のHさんは無類の映画好きで、弟とはこの店で知り合った人である。
以来店で顔を合わす度に、映画談義に華を咲かせるといった間柄である。
そして同じ映画好き同士ということで、数年前に帰省した折に紹介され、「じゃこ家」で酒を酌み交わしながら映画談義をしたことがあった。
その続きをまたもういちどやりたいというH氏のリクエストに応えての顔合わせであった。

さっそく駆けつけてくれたH氏と久しぶりの再会を祝って乾杯、映画の話が始まったが、5年もの時間が経ったとは思えない。
まるで昨日の続きのような気分で話が弾んだ。

H氏は年下ではあるが、同じく団塊の世代に属している。
同じ時代の空気に触れ、影響を受けた者同士の共感からか、話題には事欠かない。
お互いに持てる限りの薀蓄を傾けての映画談義で盛り上がった。
普段映画についてこんなに話す機会などないだけに、時が経つのも忘れて話し込んだのであった。
そしてあっという間に時間が過ぎ、そろそろお開きとなったものの、お互いまだまだ話足りない気分であった。
そこで弟夫婦といっしょに帰らず、そのままふたりで店に居残り、話の続きをやることになったのである。
そして小一時間話し込んだ後、ようやくにしてお開き、「じゃこ家」のマスターにクルマで送ってもらいホテルへと帰り着いた。
四国最後の夜は、こうして楽しく過ぎていったのである。
またの会える日を願い、そしてこうした席を設けてくれた弟に感謝しながら眠りに就いた。


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通学路散策

法事が終わりホテルへ帰った後は、夜までやることが何もない。
せっかくなので丸亀の町を、少し歩いてみることにした。

ホテルを出て通町(とおりちょう)商店街を、お城に向かって歩いていった。
ここは高校時代によく立ち寄った商店街である。
なかには同級生の実家の店もある。
しかしほとんどの店がシャッターを下ろしており、営業している店はほとんどない。
かつては町いちばんの商店街だったが、今やその面影はない。
完全なシャッター通りとなって、人通りもなく閑散としている。
時代の波は否応なく町の表情を変えてしまったのである。
致し方ない事とはいえ、切ないものがある。

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商店街を抜けると正面に丸亀城が見えてきた。
高い石垣の上に天守が聳え立つ。
帰省のたびに列車の窓から見るいつもの姿である。

丸亀城は日本一高い石垣を持つ城として知られている。
4層に重なった石垣の高さは66メートル。
また天守は数少ない現存天守である。
現存天守は全国に12ヶ所あるが、そのなかの松本城、犬山城、彦根城、姫路城の四つは「国宝四城」と呼ばれている。
残る八つは重要文化財に指定されており、「重文八城」と呼ばれている。
そのひとつが丸亀城である。
ちなみに弘前城も「重文八城」のひとつである。
不思議な縁を感じてしまう。

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その丸亀城を左手に見ながら濠沿いに歩いて行くと、道路の突き当たりが母校、丸亀高校である。
近づくと昨年12月に完成したばかりの新校舎が見えてきた。
新しく建て替えられることになるという話は、伝え聞いていたので、どんな校舎になったのか興味深々であった。
ところが校門前で目にした時、それが新校舎だとは気づかなかった。
まだ古いままで建替えはされていないのではないか、一瞬訝しく思った。
しかしよくよく見ると、間違いなくそれは新しく建て替えられた校舎であった。
それほど新校舎は旧校舎とよく似ていたのである。
おそらく以前のイメージを引き継いだ形でデザインをされたのであろう。
多くの卒業生たちが持つ校舎への思い入れを、壊さずに残しておこうといった配慮がされているのかもしれない。
そんな気遣いを感じさせる新校舎であった。
しばし高校時代を思い出しながら見学をした。


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法事

朝食にうどんを食べ、道隆寺でおせったいを受け、「新・滑稽堂」を覗いた後は、10時から行われる法事のために弟の家に向かった。
法事が行われたのは、両親が最後に住んでいた家である。
そこの仏間が会場であった。
今回は父親の7回忌と母親の3回忌の両方を合わせて執り行うことになっており、親戚17人が集まっての法事が始まった。

CIMG2031.jpg

お住(じゅっ)さんの念入りなお経が終わった後は、供花と線香を携えてお寺の墓地へと移動、そこでもお経をあげてもらったが、こちらは先ほどとは別のもうひとりのお住(じゅっ)さんだったので、お経は短く切り上げてくれた。
先のお経があまりに長かったため、気を利かせて短めに端折ってくれたのかもしれない。
長いからとダメ出しするわけではないが、それでもあまり長いと、こちらの気持ちも散漫になってしまい、早く終わってほしいという気になってしまう。
そうなると自然と有り難味が少なくなってしまうような気がしてしまう。
せっかく念入りにやってくれたのに、そんなことを言うのは憚れるが、正直なところそれが本音である。
しかし考えてみれば、それもいい思い出だ。
今回のことを思い出す度に、おそらくこのことが語り草になるに違いない。
そう考えると、それはそれでよしという気持ちになってくる。
いずれにしても、これで法事は無事滞りなく終わったのであった。
後は、弟たちが準備してくれた宴会場に場所を移しての会食が残されているだけであった。
本日の行事はそれですべてが終了であった。

CIMG2039.jpg

両親のために集まってくれた親戚の皆さんには、ほんとうに感謝です。
また法事のすべてを準備し、取り仕切ってくれた弟夫婦と姪と甥には改めてお礼を言いたいと思います。
ほんとうにありがとう。そしてご苦労さまでした。


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プロフィール

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