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風に吹かれて

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忌野清志郎・追悼番組

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一昨日、昨日とNHKで忌野清志郎の追悼番組があり、連日それを観て、忌野清志郎三昧の毎日を過ごしている。
それを観ることで今まで知らなかった歌や、人間としての側面をいろいろと知ることができた。
こういう特集番組をすぐに作れるところが、NHKのすごいところ。
貴重なライブ映像がつぎつぎと映し出される。

一昨日の番組は「愛し合ってるかい? キング・オブ・ロック 忌野清志郎」と題して放送された。
それは“キング・オブ・ロック”忌野清志郎のデビューからの足跡を、ライブ映像を交えながら追っていくというもの。
「雨あがりの夜空に」「スローバラード」「トランジスタ・ラジオ」といった代表曲がつぎつぎと歌われる。
それを聴きながら、横では妻が早くも涙を流している。

見た目は過激であるが、彼が歌う歌の内容は、少年の夢や思いを歌ったナイーブなものばかりが並ぶ。
忌野清志郎の歌のまず第一にいいのは、その詞の内容のよさにあると思う。
そこには青春がもつ感動や喜び、そして不安や迷いといったものが、光り輝いて存在している。
使い古された言葉で謂うならば、「青春の光と影」である。
それがロックのリズムに乗って、聴く者のハートに心地よく響いてくる。
詞の内容がダイレクトに届かなければ、いい歌とは云えないのではないかと常々考えているが、忌野清志郎の歌はそのことを十分に知り尽くた者が作り、歌われている歌だと思う。
そんなことを彼の歌を聴きながら考えた。

2日目の昨日の番組は昨年2月に病気療養から復活した際に行われた「SONGS」のスタジオ・ライブの再放送であるが、本番前のリハーサルでうたわれた「「ダンスミュージック☆あいつ」」とアンコールの「上を向いて歩こう」を加えた完全版という形での放送である。
この他に歌われたのは、「雨あがりの夜空に」「スローバラード」「毎日がブランニューデイ」「誇り高く生きよう」「JUMP」の5曲。
サービス精神旺盛な忌野清志郎のライブパフォーマンスに乗せられて、スタジオの観客と同じように、彼の歌を十分に堪能した50分だった。
この元気な姿からわずか1年でこの世を去ってしまうとは、ほんとうに考えられないほどの元気さである。
今となっては、このライブはほんとうに貴重な映像となってしまった。

ところで話題は変わるが、先日忌野清志郎の訃報を知った時、最初に思ったことは、小説家の角田光代はこのことをどう受けとめているだろうか、ということだった。
というのもつい最近、どこかの誌面で角田光代が忌野清志郎の熱狂的なファンだという記事を読んだばかりだったからだ。
そして訃報の翌日の新聞を開くと、偶然にもそこに角田光代が書いた忌野清志郎の死を追悼した文章が掲載されていた。
小説家らしい押さえた筆致ながら、彼の死をいちファンとしての立場を滲ませながら悲痛に悼んでいる。
それを読んで思わず胸が締め付けられてしまった。
ちょっと長くなるが、その文章を紹介しようと思う。

忌野清志郎がいない

 「どうしよう」まるで迷子  角田光代

 訃報を聞いて真っ先に思ったのは、どうしよう、ということだった。清志郎の生の声が聴けない世界で、私はいったいどうすればいいのだ。
 私は音楽とまったく関係のない仕事をしているが、でも、小説家としてもっとも影響を受けた表現者は忌野清志郎である。
八六年に日比谷野外音楽堂でライブを見てから、ずっと彼の歌を聴き、彼の創る世界に憧れ、彼の在りように注目していた。
 あまりにも多くのことを教わった。ロックは単に輸入品でないということも、音楽は何かということも、日本語の自在さも、詩の豊穣さも、清志郎の音楽で知った。それから恋も恋を失うことも、怒ることも許すことも、愛することも憎むことも、本当にその意味を知る前に私は清志郎の歌で知った。
 二〇〇六年夏、清志郎が喉頭癌で入院したというニュースを聞いたときは、神さまの正気を疑った。でも彼は帰ってきた。二〇〇八年の完全復活ライブで、今まで以上にパワフルな清志郎のライブアクトを見て鳥肌が立った。神さまだってこの人には手出しできないんだと思った。それで、信じてしまった。このバンドマンはいつだって帰ってきて、こうして歌ってくれる。愛し合っているかと訊いてくれる。癌転移のニュースを聞いても、だから私は待っていた。完全再復活をのんきに待っていた。
 忌野清志郎は、変わることも変わらないこともちっともおそれていなかった。彼の音楽はつねに新しく、でも、つねにきちんと清志郎だった。不変と変化を併せ持ちつつ先へ先へと道を拓き、私たちは安心してその道をついていけばよかった。清志郎のことを思うと私はいつも魯迅『故郷』のラストの一文を思い出す。「もともと地上に道はない。歩く人が多くなれば、それが道になるのだ」。道なき地上の先頭を、清志郎はいつも歩いていた。この人をすごいと思うのは、そのあとを歩くのが音楽にかかわる人ばかりではないからだ。あまりにも多くの人が、それぞれに清志郎の影響を受け、その影響を各々の仕事のなかで生かしている。
 訃報が流れた深夜、写真家の友人から電話をもらった。私はただの一ファンだが、この写真家はずっと清志郎の写真を撮っていた。私よりずっと深くかなしんでいるだろうに彼は「だいじょうぶ?」と私に訊いた。私と同世代の彼も、清志郎をいつも仰ぎ見て自身の仕事をしていた。「もう清志郎の声が聴けない、どうしよう」私が言うと彼も「どうすればいいんだろうね」と言った。深夜、私たちは迷子になった子どものように途方に暮れていた。きっと多くの人がそうだろうと思う。清志郎のいない世界で生きていかねばならないことに、心底途方に暮れている。このバンドマンが創ったものが失われることはない。私たちはこの先ずっと清志郎の音楽に触れその声を聴くことができる。わかっていても、今はただただ、どうしよう、と思うばかりだ。
  (かくた・みつよ、作家)

読売新聞 2009年5月4日掲載記事より転載




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テーマ : 忌野清志郎  ジャンル : 音楽


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