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風に吹かれて

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Category: 読書

Tags: 角田光代  

角田光代「庭の桜、隣の犬」

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先月から始まったNHKの「私の1冊 日本の100冊」という番組で、タレントの光浦靖子が角田光代の「八日目の蝉」という本の紹介をしていましたが、そこで語られる小説の内容を聞いているうちに、この本に強く興味をひかれました。
角田光代という作家は以前から気になる存在で、いつか作品を読んでみたいと思っていた作家でしたので、この機会に読んでみようと、さっそく図書館へ行って、この本を探したのですが、残念ながら貸し出し中でした。
そこで代わりに借りたのが「庭の桜、隣の犬」という小説でした。
まず妻が先に読み始めたのですが、彼女はこれがいたく気に入ったようで、読み終わったあと、別の本をもっと読んでみたいということで、再度図書館へ行き小説3冊を借りてきました。
また妻が娘に電話で、この本のことを話したところ、娘も以前からの角田光代のファンだということでした。
そして角田光代の本4冊をすぐに届けてくれたのです。
そんなわけで妻はすっかり角田光代の小説に、はまってしまったのです。
そして私にもぜひ読むようにという強いお勧めがあったので、さっそく読んでみることに。

これは30代の夫婦の物語です。
どこにでもいそうなごく平凡な夫婦に訪れたちょっとしたほころびが、しだいに大きくなり、ついには夫婦の危機を迎えるまでになってしまうという物語です。
ごくありふれた日常を夫婦それぞれの異なった視点から描くことで、日常に潜むさまざまな問題を重層的に浮かび上がらせていきます。
日々の生活の中で何気なく浮かぶ妄想のようなもの、一見とりとめのない意識の流れを捉えていくことで、生きていることの手ごたえのなさ、ふと感じてしまう空虚感や寂しさといったもの、また幸せと不幸せがない交ぜになった日常の繰り返しのなかで、ふと顔を覗かせる生きることへの不安や煩わしさといったもの、そういった理屈を超えた言うに言われぬ感覚、矛盾した気持ち、そういったものが、実にうまく描かれています。
ほとんど事件らしいことが起こらないストーリーでありながら、その展開には緊迫感を感じてしまいます。
そしてそういったいびつな日常をただ嘆き悲しむだけではなく、それを受け止め、受け入れながら、いびつなままに生きていこうとする逞しさも同時に感じさせられるのです。
妻の言を借りれば、それは「抵抗しない強さ」ということになります。
中途半端な自分に苛立ちながらも、一方でそんな自分を醒めた目でみつめている自分の姿、平凡で幸せそうに見える家族のなかに内包する危なかしさ、微妙なバランス、そういったなかから現代を生きる人間のリアルな姿が浮かび上がってくるのです。

角田光代の小説が、若い女性のみならず、幅広い層のファンをもつ理由が、この一冊の本を読むことで理解できたように思いました。
「八日目の蝉」もぜひ読んでみたいと思いました。

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テーマ : 小説  ジャンル : 小説・文学


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還暦(10年前)という節目を迎え、何か新しいことを始めようとブログを開設しました。
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