風に吹かれて

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映画「家族はつらいよ」

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山田洋次監督の映画を観るのは久しぶりである。
2014年に観た「小さいおうち」以来なので、4年ぶりということになる。
調べてみると、「小さいおうち」以後は、「母と暮らせば」(2015年)と「家族はつらいよ」(2016年)が撮られている。
ちなみに「家族はつらいよ」はその後シリーズ化されて、2017年に「家族はつらいよ2」、本年2018年に「妻よ薔薇のように 家族はつらいよⅢ」と続く。
こうやって並べてみると、1年ごとに新作を撮っているわけだ。
80歳を超えてなおこのペースで映画を撮り続けているというのは、ほんとうに驚きである。
過去には100歳を超えてなお現役といったマノエル・ド・オリヴェイラや新藤兼人もいたが、これは例外中の例外。
またハリウッドでは86歳のクリント・イーストウッドや、81歳のウディ・アレンといった例もあるが、それでもやはり稀なこと。
いかに高齢化社会といえども、映画を撮るのはかなりのハードワーク。
気力体力知力が充実していなければ、とても覚束ないもの。
長年の蓄積とたゆまぬ努力といった使い古された言葉しか浮かばないが、それでもやはりその通りである。
そのことには素直に頭が下がる。
但しそのことと映画の出来不出来はまた別物。
作り続けることだけでも、もちろん価値はあるのだろうが、それ以上に内容が問われるのは当然のこと。
「年寄りの冷や水」的なことにならなければとの危惧が多少頭を掠めたが、それはまったくの杞憂であった。
(名匠に対してこの表現は畏れ多いとは思うが、敢えて)

最近の山田作品を見てみると、ほとんどがシリアスな作品ばかりが続き、本来の持ち味であるコメディはほとんど見られなかった。
そう意味では原点帰り、久しぶりのコメディである。
現代版落語の世界である。
山田監督にとっては、自家薬籠中のもの。
肩の力の抜け具合が心地いい。
しかしだからといってけっして軽く撮っているわけではない。
軽いものが軽く作られるわけではないというのは自明の理。
ひょっとすると最近のシリアスな作品以上に熱を込めて作ったのではなかろうか。
そんなことを想像してしまう。
いずれにしても楽しい映画である。
いたるところに遊び心があり思わずニヤリとしてしまう。
熱を入れながらも楽しんでいる。
そんな様子が伝わってくる。
円熟した職人技。
老いたるといえども、まだまだしなやかさを失っていない。
そう思うと続く「家族はつらいよ2」、「妻よ薔薇のように 家族はつらいよⅢ」も観たいという気持ちになってくる。
どんな映画になっているか、期待すること大である。


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映画「恋の渦」

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製作費10万円、製作日数4日、全員無名の俳優という極小規模の映画である。
監督は大根仁、岸田國士戯曲賞を受賞した三浦大輔の舞台劇が原作で、映画の脚本も三浦自身が担当している。
企画は「シネマ☆インパクト」。
大根監督の作品を後追いするなかで、この映画を観ることになった。

まずは「シネマ☆インパクト」の説明から。
2012年から始まった映画監督山本政志が主宰する実践映画塾である。
そこに大森立嗣、瀬々敬久、鈴木卓爾、深作健太、橋口亮輔、ヤン・イクチュン、山下敦弘、松江哲明、熊切和嘉、廣木隆一、いまおかしんじ、といった監督たちが参加し、受講生と共に限られた時間と予算のなかで実践的に「映画作り」を行うというもの。
そこから生まれたのが、この映画である。
プライベートフィルムと呼んでもいいような規模の映画だが、これがとてつもなく面白い。
こうしたた種類の映画が陥りがちな独りよがりやチープさといったものはなく、また全員無名の俳優とはいえ、けっしてシロート臭はなく、今風の若者を生き生きとリアルに演じていて、躍動感がある。

出演者は男5人に女4人。
今どきの若者の今どきの生活を、それぞれのアパートを覗き見するような形で進行させていく。
そしてそこを男女が入れ代わり立ち代りするうちに、人間関係の裏の部分や隠された本音が露わになっていく。
最初は底が浅く軽薄な会話の連続に、いささか辟易させられたが、観ているうちに俳優たちが演じているのか、地のままの姿なのかが分からなくなってしまうほどのリアルさに、どんどんと引き込まれていった。
ドラマというよりもドキュメンタリーのような肌触りと臨場感である。
まさに彼らの本音や嘘や弱さや強さが「渦」のようにうねる世界に巻き込まれ、あっという間の2時間20分であった。
これはやはり演出の力と脚本の力によるもの。
土台がしっかりしている映画は揺るぎない。
描かれているのは薄っぺらで刹那的な若者たちのどうしようもない世界ではあるが、それが深い人間観察と洞察によって裏打ちされることで、強い説得力のある映画になっている。
限られた予算と時間であっても、これだけの映画が出来てしまう。
そのことをまたあらためてこの映画によって教えられたのである。


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映画「0.5ミリ」

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ある事件で職を失った介護ヘルパーが、町で見かけた訳あり老人の家に押しかけて、身の回りの世話をするという物語。
主演の介護ヘルパーの女性サワを演じているのが安藤サクラ、そして監督が姉の安藤桃子という映画である。
登場する老人は、4人、織本順吉、井上竜夫、坂田利夫、津川雅彦、柄本明といった個性的な面々。
一筋縄ではいかない年寄りたちばかりだが、サワとともに生活するうちに、次第に心を開いていく。
そんなエピソードが連作短編のように繰り返される。
この映画を観ているうちに、ふとこれに似た映画があったことを思い出した。
百万円と苦虫女」である。
蒼井優演じるフリーターの女の子が、仕事で百万円貯まると別な土地に移るというルールに従って、ひたすら旅を続ける映画であった。
監督はタナダ・ユキ、こちらも女性監督である。
どちらもロードムービーではあるが、行く先々で居つき、そこで生活をしながらも、次々と居場所を変えていく。
また主人公が心に鬱屈をもちながらも、めげずに逞しく生きていく。
そんな共通点からの連想であった。
ところでこの「百万円と苦虫女」といい、安藤サクラの「百円の恋」といい、この映画のなかに出てくる百万円のエピソードといい、偶然だがいずれも百という数字に縁のある映画ばかり。
意味のないことかもしれないが、こうやって揃うと「百」という数字が何かの符号か、ラッキーナンバーのように思えてくる。
ついでにいえば、題名も「0.5ミリ」ということで、やたら数字が気になってしまうのである。

「介護」を題材にしているが、それだけに焦点を絞っているわけではない。
そこから見えてくるのは、超高齢化時代を迎えた現代社会が抱え持つ様々な問題であり、歪である。
そしてそこに安藤サクラ演じるサワという女性が関わることで、さらに複雑な現実が浮かび上がってくる。

「介護」が題材となると、どうしても重苦しくなりがちだが、この映画はそこがちょっと違う。
主人公サワのバイタリティー溢れるキャラクターや、コミカルな味付けが、この映画をよくありがちな「介護」映画とは一線を画したものにしている。

主人公サワは介護だけに限らず、年寄りの扱いには手慣れており、卒がない。
その扱いに年寄りたちが手もなく慣らされていく様は、まるで野良犬を手懐ける様で、手際がいい。
彼女が最初にやることは、手料理を提供すること。
まずは食い物から攻めていくのである。
だいたいの男は、手料理には弱い。
ましてや毎日貧相な食事ばかりの老人となればなおさらである。
サワは若さに似合わず料理の腕が抜群に上手いという設定になっており、美味そうな手料理が食卓に上がる。
もうそれだけで相手の気持ちをがっちりと掴んでしまう。
説得力がある。
押しかけヘルパーという強引で、現実離れした行動も、これで妙に納得してしまう。
その料理のコーディネートをしているのが、安藤姉妹の母親である安藤和津。
さらにいえば、父親の奥田瑛二もエグゼクティブ・プロデュサーを務めている。
加えて安藤サクラの義理の両親である柄本明と角替和枝も出演するなど、家族総出で若いふたりを支えているのである。

観る前は3時間16分はあまりにも長いと思っていたが、観始めるとあっという間であった。
いや、逆にまだまだ観ていたいと思ったほど面白かったのである。


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2017年邦画ベスト9

1位:オーバーフェンス
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2位:バクマン
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3位:湯を沸かすほどの熱い愛
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4位:起終点駅 ターミナル
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5位:淵に立つ
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6位:柘榴坂の仇討
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7位:永い言い訳
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原作が面白かったので、期待したが、残念ながら小説の面白さには届かなかった。それでもやはり見応えのある映画であった。竹原ピストルという新しい才能がこの映画で花開いた。


8位:ヒメノアール
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昨年のTSUTAYAの日本映画人気ランキング1位ということで借りた映画。よくある青春ものかと思ったが、かなり重い内容の映画。「ヒメノアール」とはトカゲの一種で小動物のエサになる小型のトカゲのこと。この映画の根底には陰湿ないじめの問題が潜んでいるが、それでも悲惨なだけではなく、笑いの要素もあって楽しめる。一筋縄ではいかない映画である。


9位:何者
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朝井リョウの直木賞受賞小説を映画化した作品。就活というものを通して描いた現代の若者たちの姿。彼らの不安や焦りから見えてくるものはいったい何か。ドラマとは無縁とも思える就活を舞台に、こうしたひねりの利いたドラマを生み出したことに拍手。



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映画「淵に立つ」

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心を逆撫でされるような映画である。
そして謎の多い映画である。
一見何も起きないように見える日常のそこ此処に、破綻の兆しを漂わせながら話は進んでゆく。
その鍵となるのが、浅野忠信演じる八坂という男。
町工場を営む夫婦(古舘寛治、筒井真理子)の前に、ある日突然現れ、工場の仕事を手伝いながら同居を始める。
言葉遣いが丁寧で礼儀正しく、清潔感あふれる八坂だが、時折見せる態度にはどこか胡散臭いものがある。
何を考えているのか分からない不気味さがある。
その隠された本性を、いつ現すのかという危うさを纏いながら、家庭は徐々に侵食されてゆく。
そしてついに決定的な事件が起きる。
その事件をきっかけに、八坂は姿を消し、8年を経た後半部では姿を見せることはなくなるが、それでいて残像が色濃く残っており、その存在を強く意識させられる。
映画は全編八坂を中心に廻ってゆくが、いったい八坂という人物は、何者だったのか。
彼が何をしたのか。
そして姿を消した後、どこへ行ってしまったのか。
いずれも結果が示されるだけで、詳しく説明されることはない。
謎は放置されたまま、絶望のなかへと突き落とされる。

暴力など過激なものは、いっさい描かれない。
ただ淡々と、ありふれた日常が描かれるだけだ。
それなのに、いつの間にか張り詰めた不安や怖さに包まれていく。

監督の深田晃司によれば、この映画は彼が所属する劇団「青年団」の平田オリザが語った言葉、「芸術とは断崖の淵に立って人の心の奥底を覗き見るようなもの」に大きく触発されたのだという。
その言葉通り、突き放され、救いのない絶望の淵に立たされてしまう。
映画が放つ暗い魅力に、今なお囚われ続けている。


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映画「湯を沸かすほどの熱い愛」

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昨年度の日本アカデミー賞をはじめ各種映画賞を受賞、またこれが中野量太監督のメジャーデビュー作ということで話題になった映画である。
宮沢りえが余命数ヶ月の母親役を演じていることから、よくある難病ものかと危惧したが、古い銭湯が舞台で、オダギリジョー共演というところにひかれて観ることにした。
死を宣告された主人公が、残される家族のために孤軍奮闘するというのが、この映画のメーンストーリーであるが、そのエピソードの作りや出し入れが、新人監督らしからぬ手際のよさである。
いささか感動の押し売り的なところがなきにしもあらずだが、幸いそれがリズムを乱すというところまでは至らない。
それよりもひねりのきいたストーリーや巧みな伏線、抑制の利いた演出など、バランスのとれたさじ加減は、やはり並みの新人ではない。
そして役者のうまさ(とくに宮沢りえと杉咲花)が、それを強力に後押しをする。
そんなアンサンブルがファンタジーとも思えるような物語に、リアルな説得力を生み出している。
全員が疑似家族、血の繋がりのない子に注がれる宮沢りえの熱く逞しい愛情に、心の底からほっこりとさせられた。
評価の高さは、けっしてダテではなかった。
期待を込めて次回作を待ちたいと思う。


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映画「オーバー・フェンス」

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偶然だが最近、北海道を舞台にした映画を観ることが重なった。
先日観た『起終点駅ターミナル』『愛を積む人』そしてこの映画である。
『起終点駅ターミナル』は釧路、『愛を積む人』は美瑛、そして『オーバー・フェンス』は函館が舞台になっている。

『オーバー・フェンス』は『海炭市叙景』『そこのみにて光輝く』に続く佐藤泰志原作の映画化作品である。
いずれも函館が舞台で、函館三部作と呼ばれているが、監督である山下敦弘、熊切和嘉、呉美保の全員が大阪芸術大学芸術学部映像学科の中島貞夫ゼミの出身者である。
さらに同大学出身の近藤龍人がすべての撮影を担当している。
そうした共通点があり、いずれ劣らぬ秀作ぞろいではあるが、好みからいえば今回の『オーバー・フェンス』がいちばん印象に残った。

結婚に失敗し、傷心のまま故郷函館に帰郷した主人公の白岩(オダギリ・ジョー)は、職業訓練学校に通いながら次の一歩を模索する日々である。
しかしあまり積極的とは言えず、実家にも寄りつかず、アパートでひっそりとひとり過ごす毎日である。
そんななか風変わりでエキセントリックなホステス・聡(蒼井優)と知り合い、その予測不能で突飛な行動に振り回されるが、それがきっかけで白岩の鬱屈した心に変化が生まれる。
そうした日々が函館の街を背景に描かれるが、そのゆったりとしたリズムが心地いい。
人生を半ば諦めたような男が主人公ということで、ひたすら暗いが、そんな暗さとは無縁に街の風景は明るく静かである。
その街を主人公が移動するのが自転車というのは、この映画にはよく似合っている。
スピードを出すのではなく、ただひたすらゆっくりと進んでいく。
また白岩が通う職業訓練学校の同じ建築クラスの生徒たちも、いずれも人生のやり直しを目ざしながらも、特別肩ひじを張って頑張っているというわけではない。
むしろダラダラとやる気のなさばかりが目立つ。
趣味で通っていると思われる定年退職者(鈴木常吉)、元ヤクザ者(北村有起哉)、大学の中途退学者(満島真之介)、元営業マン(松田翔太)、今どきの若者(松澤匠)と、いずれもひと癖ありそうな輩ばかりである。
ダメ人間を描かせたら天下一品の山下敦弘監督の腕が、ここで冴えわたる。
そうした男たちを見るだけでも、この映画を観る価値がある。
そして主役のオダギリ・ジョー。
中途半端に生きる彼の所在無げな姿がいい。
人と距離を置こうとするごまかし笑い、聡を見つめる優しい笑い、そうしたいろんな笑いが自然でいい絵になっている。
そして訪ねてきた元妻(優香)と会った後の号泣。
オダギリジョーは「ゆれる」での泣きもよかったが、この映画での泣きもまたいい。
泣きの似合う俳優である。
「失うものは何もないから」が切なく胸に響く。
そしてこうした鬱屈を晴らすことになるクライマックスのソフトボール大会。
「オーバー・フェンス」の意味が最後に炸裂するシーンが爽やかだ。
これでまた山下敦弘監督の代表作に、新たなものがひとつが加わった。


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映画「柘榴坂の仇討」

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桜田門外の変に関わった、襲った側と襲われた側の武士ふたり。
その後の13年間を描いた映画である。
この13年は、幕末から明治となった激動の時代。
すべての価値観が大きく変わった時代である。
しかし主人公ふたりの時間は、桜田門外の変の時で止まったままである。
時代に翻弄された彼らは、どちらも時代に見捨てられ孤独の中で生きている。
敵同士ではあるが、ふたりは合わせ鏡のように似た者同士であることが見えてくる。
そうしたふたつの孤独な魂が、まるでお互いが片割れを捜し求めていたかのように巡り合うことになる。
そしてクライマックスの対決となる。

中井貴一、阿部寛が素晴らしい。
今は車夫となった阿部寛が雪の降る夜道のなか、中井貴一を乗せた車を曳いてゆく。
その道中で交わされる問わず語りの会話は、闘いの前哨戦ともいえるもの。
ふたりの争いはすでに始まっている。
緊迫感溢れるその一語一語を、聴き洩らさないように神経を集中させてゆく。
ふたりと同調するように、こちらの緊張感も高まってゆく。
そしてついにふたりの死力を尽くした真剣勝負のときがやってくる。
静と動との鮮やかな転換、そして桜田門外の変と同じく雪のなかで繰り広げられる迫力ある殺陣、見応えじゅうぶんである。
久しぶりに本格的な時代劇を堪能した。

原作は浅田次郎による短編集『五郎治殿御始末』。
この本は読んだ憶えがあるが、残念ながら内容については、あまりよく憶えていない。
原作になった短編だけでも、もういちど読んでみようかなと思っている。


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映画「起終点駅 ターミナル」

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桜木紫乃の小説、初の映画化作品である。
先日桜木紫乃の「氷平線」を読んだ後、彼女のことを調べているなかで、この映画の存在を知ったのである。
さっそく借りてきた。

主演は佐藤浩市。
ひとり暮しの初老の弁護士、鷲田完治を演じている。
20年前には新進の裁判官だったが、ある事情から裁判官をやめ、今は国選弁護しか引き受けない弁護士として、ひっそりと生きている。
そんな彼の元に弁護を担当した若い女性が、頼みごとと称して訪ねてくるが、仕事以外での人との関わり合いを極力さけようとする鷲田は、その依頼を受けようとはしない。
しかし心ならずも彼女と深く関わることとなり、そのことがきかけとなって新しい一歩を踏み出していこうとする。

舞台は桜木紫乃の地元である釧路。
その雪景色のなかに人生を早々と降りてしまった孤独な男として佐藤浩市が立つと、もうそれだけでふつふつと悲しみが滲み出してくる。
こういうシチュエーションで真っ先に思い出されるのは、高倉健である。
しかし彼がいない今、佐藤浩市はそれを表現できる数少ない俳優のひとりであろう。
そしてこの映画はまさに彼あってこその映画でもある。
罪の意識を抱え、まるで自分を罰するようにひたすら自分を抑えて生きる男のたたずまいを見ているだけで、胸が熱くなってくる。
映画としては、いくつか疑問を呈したくなる部分がなきにしもあらずだが、佐藤浩市の抑えた演技を味わえただけで大満足であった。


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映画「バクマン」

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かつてマンガ少年だった。
小学生の頃の愛読書は月刊マンガ雑誌「少年」。
その他にも「少年クラブ」「冒険王」「少年画報」「少年ブック」「ぼくら」といった月刊誌があり、手塚治虫をはじめ横山光輝、竹内つなよし、桑田次郎、関谷ひさし、ちばてつや、石ノ森章太郎といった漫画家たちのマンガを夢中になって読んでいた。
やがて月刊誌は衰退をはじめ、それに代わって登場したのが、「週刊少年サンデー」と「週刊少年マガジン」。
昭和34年(1959年)のことである。
またそれらの陰でひっそりと存在していたのが貸本マンガ。
そこで出会った白土三平、さいとうたかお、小島剛夕、辰巳ヨシヒロ、池上遼一、平田弘史といった漫画家たち。
ちなみに「劇画」という言葉はこの貸本マンガから生まれたものだ。
そしてその貸本マンガが、後の「ガロ」へと引き継がれていく。
60年代、70年代のことである。
そこまでが自分のマンガとの付き合いである。
以後あまり読むこともなく、今に至っている。
そういうわけで現在のマンガ界の状況やマンガについての知識はなく、まったくの門外漢である。

そこでこの映画である。
舞台になるのは、週刊少年ジャンプの編集部である。
少年ジャンプの創刊は1968年。
「少年サンデー」や「少年マガジン」に遅れて創刊されたが、次第に部数を伸ばし、やがて600万部を超えるほどの雑誌に育っていった。
当然のことながらこの雑誌に馴染はない。
調べたところその特徴は、次のようなもの。
対象とする主な読者層は、小学校高学年から高校生。
キーワードは「友情」「努力」「勝利」。
掲載するすべての作品に、このテーマに繋がるものを、必ずひとつ入れることが編集方針になっている。
またもうひとつの大きな特徴としては、「アンケート至上主義」がある。
読者から寄せられるアンケートを最重要視しており、それを参考に編集の方針を決めていく。
そしてアンケートの人気投票の結果が悪ければ、即打ち切りということを大前提としている。
当然激しい生存競争が毎週のように繰り広げられるわけで、映画でもそれがストーリーの大きな柱になっている。
その弱肉強食の洗礼を浴びながら、マンガ家の世界に足を踏み入れた高校生ふたりが必死になって頂点を目指そうとする姿が、コミカルかつ熱気あふれるスタイルで描かれていく。
これまでにも「トキワ壮の青春」や「黄色い涙」といったマンガ家を主人公にした映画はいくつかあったが、そのどれとも違って、様々な映像を駆使することで動きのあるダイナミックなエンターテインメントとなっており、大いに楽しませてくれる。
またマンガが出来上がるまでのプロセスや、業界内部の仕事の仕組みといったバックグラウンドも、かつてのマンガ少年としては興味津々であった。

監督は大根仁(ひとし)。
「モテキ」で見せた切れの良さが、ここでも如何なく発揮されている。
実はこの映画を観たのは、監督が大根仁ということが決め手であったが、その選択に間違いはなかった。
また俳優陣も適役ぞろい。
主役ふたりの高校生役の佐藤健と神木隆之介をはじめ、ライバル役の染谷将太、さらには桐谷健太、新井浩文、皆川猿時といったマンガ家たち。
また佐藤健のおじさんでマンガ家が宮藤官九郎、ジャンプの編集者が山田孝之と編集長がリリー・フランキー。
そして紅一点のマドンナ役が小松菜奈。
こうして並べてみると芝居上手な旬な役者ばかりである。
適材適所で生き生きと演じているのが伝わってくる。
やはりいい映画の俳優は輝いて見える。


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プロフィール

cooldaddy

Author:cooldaddy
住んでいるところ:青森県弘前市
出身地:香川県
年齢:今年(2018年)70歳です。
性別:男

還暦(10年前)という節目を迎え、何か新しいことを始めようとブログを開設しました。
趣味のこと、生活のこと、心に残ったことなど、My Favorite thingsを、気ままに書いていこうと思います。
末永くおつき合いください。

映画サイト「マイ・シネマ館」もやっています。
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