風に吹かれて

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百田尚樹「海賊とよばれた男・上」「海賊とよばれた男・下」

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出光興産の創業者・出光佐三をモデルにした小説である。
先日第10回本屋大賞を受賞したばかりの話題の本である。
図書館で予約待ちをしていたが、人気作品ということで待つこと久しく、やっと順番が回って借りることができた。

さっそく読み始めたが、面白さに手放せなくなり、2日間で読み切ってしまった。
さすが希代のストーリーテラー百田尚樹である。
どんどんと引き込まれていくところは、これまでの小説同様である。
とにかく彼の小説には外れというものがない。
どの本も期待以上の面白さで楽しませてくれる。
「小説は面白くなければいけない」「夢や希望をもてるような小説を書く」という百田尚樹の面目躍如といった小説であった。
なるほど本屋大賞受賞は納得の面白さであった。

この小説がどのような経緯で生まれたか、そしてそこにはどんな思いが込められているのか、そうしたことについての作者自身の言葉がある。
くどくどと感想を述べるよりも、これを読むほうがどんな小説なのかがよく判る。
それを書き留めておくことにした。
これを読むだけで作者の熱い思いと、小説の面白さが伝わってくる。

<二年前のある日、テレビ関係の友人と雑談している時、「日章丸事件って知ってる?」と訊かれました。知らないと答える私に、彼女が概要を説明してくれたのですが、それは俄かには信じられない事件でした。
いまだ戦争の痛手から立ち直れないでいた昭和28年、「七人の魔女」と呼ばれる強大な力を持つ国際石油メジャーと大英帝国を敵に回して、堂々と渡り合い、世界をあっと言わせた「日章丸」というタンカーがあったというのです。
興味を抱いた私は早速調べてみましたが、事件の全貌を知るにつれ、驚愕すると同時に震えが止まらなくなりました。
そこには現代の日本人が忘れかけている「勇気」「誇り」「闘志」そして「義」の心を持った男たちの姿があったからです。
しかしそれ以上に私を驚かせたことがありました。それは、そんな男たちを率いた一人の気骨ある経営者の人生です。
その九十五年の生涯はまさしく凄絶としか言いようのないものでした。
――なんという凄い男がいたんや!
私は「この男を書きたい!」と心から思いました。いや――書かねばならない!この素晴らしい男を一人でも多くの日本人に知ってもらいたい!それが作家としての使命だ。
気が付けば、取り憑かれたようにワープロに向かっていました。小説家になって六年、執筆しながらこれほどの充実感を覚えたことはありません。
この作品は「小説」という形を取っていますが、登場人物はすべて実在しました。そしてここに描かれた出来事は本当にあったことです。
この奇跡のような英雄たちの物語が、一人でも多くの日本人に届くことを心から願っています。 >


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百田尚樹「風の中のマリア」

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エンターテインメントの名手、百田尚樹がハチの世界を舞台に描いた小説である。
主人公がハチとは、これまた斬新な発想である。
百田尚樹は、書くたびにそれまでとはまったく違った世界の物語を描く作家である。
「永遠の0」では第二次世界大戦のゼロ戦のパイロットを、「ボックス!」ではアマチュア・ボクシングの世界を、「モンスター」では美容整形の世界を、そして「影法師」では時代劇を、といった具合である。
そんな風に手を変え品を変えて新しい物語を紡ぎ出す名手だが、それにしてもまさかハチが主人公とは。
読む前はいったいどんな物語が展開するのかと半信半疑で読み始めたが、これがなかなか面白い。
飽きさせず最後まで読ませるのはさすがである。
いつもの百田作品と変わらずいっきに読み終えた。
ただ欲をいえば、もうひとつ突き抜けた面白さがないのが、いささか物足りないところではあった。

ここでこの本から仕入れたハチの生態について書いてみる。
ハチといってもさまざまな種類があるようだ。
アシナガバチ、ニホンミツバチ、セイヨウミツバチ、また同じスズメバチでもコダカスズメバチやキイロスズメバチといったぐあいである。
主人公となるマリアはオオスズメバチという種類のハチで、学名はヴェスパ・マンダリニア、スズメバチのなかでも最大の大きさを誇り、優れた戦闘能力をもったハチである。

ハチの世界は女王蜂として生まれたハチたちが、生まれ故郷の巣から旅立つところから始まる。
そこでは巣立ちを察知したオスたちが女王蜂との交尾を目指して待ち構えている。
しかしメスのワーカーたちはそれを許さず、女王蜂を守り、阻止しようと闘う。
そしてその激しい戦いのなかから淘汰された強いオスだけが、女王蜂との交尾を成し遂げることができるのである。
こうして強い因子が受け継がれていく。

女王蜂はこのたった一度の交尾で得た精子をもとに、つぎつぎとタマゴを生んでいく。
そのための新しい巣作りが始まる。
そしてつぎつぎとタマゴを生み、育て、子孫を増やしていく。
これらのハチは成長するとすべてワーカーと呼ばれるメスの働き蜂になって女王蜂を助けて働く。
ある者は幼虫の世話に専念し、ある者は戦士として餌探しに奔走する。
餌になるのはバッタやカマキリといった昆虫たちで、ときには同じハチを襲うこともある。
目指す相手を見つけると、その鋭い顎で相手を噛み殺し、また毒針で刺し殺す。
こうして得た獲物はすぐその場で肉団子にして巣に持ち帰る。
そして育房室で待つ幼虫たちに餌として与えるのである。
ワーカーたち自身はそうした肉団子を食べることはない。
彼女らの栄養源は幼虫が出す体液や樹液である。
こうして巣は一塊の生命体となって機能し、次第に巨大な帝国へと育っていくのである。

しかしそうして巨大化した帝国も、女王蜂の衰えとともに終息の時を迎える。
それに備えるように、それまでとは異なったメカニズムが働いて、新たな女王蜂となる幼虫が生まれてくることになる。
そしてワーカーたちは、次代の女王蜂となる幼虫の子育てに全力を注ぐことになる。
同時にそれは帝国の兵士たちの生存を賭けた最後の戦いともなる。
ワーカーの幼虫とは違い、女王蜂の幼虫は身体が大きく、それまでの餌の何倍もの餌が必要になってくる。
そのためワーカーたちは、危険で手をつけなかった新たな餌物獲得の戦いにも手を染めなければならなくなってくる。
それは死を賭けた戦いである。
それに勝ち抜いた先に、初めて女王蜂たちの旅立ちが待っているのである。
そこには何百ものワーカーたちの死があり、情け容赦のない淘汰が存在するのである。

ワーカーたちは生涯交尾もせず、また自らタマゴを生むこともない。
ただ女王蜂が生んだタマゴから孵化した妹たちを育てることだけで一生を終わる。
しかもそのほとんどが厳しい生存競争のなか、ある者は戦いのなかで敗れて命を落とし、またある者は巣に帰還することができずに命を終える。
そんな儚い一生だが、彼女たちは自らの使命に忠実に、務めを全うしていく。
そうした生涯を疑いもせず、哀れとも思わず、誰を怨むこともなく、与えられた短い一生を精一杯に生き切るのである。
その一途な姿には思わず頭が下がってしまう。
そこから学ぶべきものはけっして小さくはない。
そんな思いを抱きながら、この小説を読み終わったのであった。


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百田尚樹「錨を上げよ」下巻

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先日読んだ上巻に続いて下巻を読み終わった。
上巻は4日かかったが、下巻は2日でいっきに読んでしまった。
それほどこの小説は面白かった。
どこまで行っても飽きさせない。
稀代のストーリーテラー百田尚樹の面目躍如といった小説であった。

行き当たりばったりの生き方、おまけに金がなくなるまでは働こうとしない怠け者、そんな主人公だが、いったんこれと決めた目標ができると持ち前の行動力と集中力で猛烈に邁進していく。
その行動力と集中力は見上げたものである。
爽快感すら覚えてしまう。
中学、高校と劣等生で、まったく勉強もしたことのない彼が、突然大学を目指そうと奮い立ち、短期間の受験勉強の末に見事大学に合格してしまう顛末などは、まさにそれの最たるものである。
その思いつきに最初は誰も本気にしなかったが、彼の常識外れの受験勉強を見ているうちに、これは冗談ではなく、ひょっとするとその言葉通りになってしまうのではないかと思わせる。
これなども作者、百田尚樹自身の姿が大きく反映されているようだ。
彼自身中学、高校と劣等生で、大学へ進めるような成績でなかったものの、猛烈な受験勉強の末に大学に合格、しかしその後は生来の怠け癖もあって5年かかって卒業、大学時代に興味を覚えて出場したテレビ番組がきっかけで、卒業後はバラエティー番組の放送作家になっている。
そして仕事柄読書の必要性を感じた彼は猛烈に本を読み始める。
その結果、自分にも小説が書けるかもしれないと思って書いたのがこの「錨を上げよ」の基になる小説であった。
1年半かけて書いた原稿は2200枚、それが25年たって、ようやく出版されることになったというわけである。

そんな作者自身の性格や経験をさらに大きく膨らませて作り上げたのが主人公、作田又三である。
作者の経験や願望が込められた作田又三の冒険譚は痛快きわまりない。
その軌跡は目まぐるしく変転してゆく。
暴走族との乱闘、大学では過激派と衝突、イカサマ麻雀であぶく銭を稼ぎ、ヤクザと揉め事を起こし、上京しての浮浪者生活、右翼の仲間になったりホストになったり、パチンコ屋での住み込、レコード店での輸入の仕事、そしてある日偶然テレビで見たタラ漁に心揺さぶられ突如北海道へと渡ってゆく。
そこで出会ったウニの密猟で一攫千金を手にするようになる。しかしそれも数年後にはヤクザの手によってすべてを奪われてしまう。
そして大阪に帰り着いた彼はビリヤード屋で知り合った女性と結婚、昔の友人と偶然出会ったことからテレビの世界へと足を踏み入れ、放送作家の道を歩んでいくことになる。
ようやく手に入れた穏やかで平和な生活に満ち足りていたものの、あることがきっかけでこれも壊れてしまう。
とにかく作田又三のやることなすことすべて失敗の連続なのである。
行動力と集中力によっていちどは栄光を手にするものの、(もちろん数々の恋愛も同様だ。)最後はすべて跡形もなく崩れ去ってしまう。
それもすべて作田又三という人間の身から出た錆ということになるわけだが、それでもどこまで行っても彼はけっしてめげることはない。
深い傷を負い、立ち上がれそうもないダメージを受けるものの、そのたびに全身の力を振り絞って立ち上がる。
けっして絶望に陥ることはない。
その姿はリングで倒されたボクサーが渾身の力で立ち上がり、けっしてKOされまいと闘う姿のようである。
そのしぶとさ、自分を曲げない強さとその裏に隠し持った子供のようなナイーブさ、そうしたものを武器にあらゆるものぶつかっていく作田又三の短絡的で無鉄砲な生き方には、時に反発を覚えながらも痛快さを禁じえなかった。
そして作者は最後にこう書くのである。
「ぼくはその瞬間、勇気を感じた。そして人生は生きるに値するものだという強い思いに胸を貫かれた。
 人生の長い航路は、これから始まるのだ。」

作者、百田尚樹の25年前の生々しい声が聞こえてくる。そんなエネルギーに満ちた小説であった。

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百田尚樹「錨を上げよ」上巻

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4日前から読み始めた百田尚樹の「錨を上げよ」上巻を今朝読み終えた。
上下巻1200ページの大長篇だが、おもしろさに一気に読み終えた。

昭和30年、大阪で生まれた風雲児、作田又三の物語。
主人公、作田又三は以前読んだ「BOX!ボックス!」の主人公たちと共通する硬派な男。
上巻では彼の小学校時代から大学までの破天荒な生き方が描かれている。
昭和23年生まれの自分と時代が重なるので、そうした点でも興味深かった。
当時のことを色々と思い出しながら読み終えた。

今日はまた図書館に行って下巻を借りようと思っている。
どんな話が続くのか、今から楽しみである。

テーマ : 文学・小説  ジャンル : 小説・文学


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Tags: 百田尚樹  短編小説集  

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百田尚樹「幸福な生活」

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百田尚樹の短編集、というよりもごく僅かの時間で読んでしまえるショートショート集である。
昔読んだ星新一のショートショートを思い出した。
ありふれた日常を題材に、そこに展開するちょっと意外性のある話を、皮肉やブラックな味つけをしてうまくまとめている。
ギョッとしたり、ゾーッとしたり、ニヤニヤ、ドキドキしながら読んだ。
全部で18話、すべて最後に落ちがついており、その一行で状況がすべて逆転する。
落語の小話に、ミステリーの意外性をプラスしたような面白さであった。

それにしても百田尚樹という作家は、話の語りがうまい。
飽きさせず、どんどん話のなかに引きずりこんでいく。
エンターテインメントが何かを、よく心得た作家である。
それほど深刻にならず、肩の力を抜いて、こういう作り話に興ずるのも悪くはない。
ちょっとした息抜きに読むのには最適な一冊であった。


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プロフィール

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Author:cooldaddy
住んでいるところ:青森県弘前市
出身地:香川県
年齢:今年(2008年)還暦です。
性別:男

還暦という節目を迎え、何か新しいことを始めようとブログを開設しました。
趣味のこと、生活のこと、心に残ったことなど、My Favorite thingsを、気ままに書いていこうと思います。
末永くおつき合いください。

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